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変われないアメリカの変われない大統領

2021-03-26 14:14:00 | 太平洋情勢乱雑怪奇
バイデンが、昨日ようやく会見を開いていた。歴代大統領で最も遅い就任後初の会見となっているらしい(詳しい数字は知らない)。

ふと見てしまったんだけど、めぐりあわせ悪く、ライブをやってる動画をクリックした時フィリバスターの話をしていて、多分視聴開始1分後ぐらいに流れてきたバイデンの声は、when I came to the US Senate 120 years ago...(私が120年前米国上院に来た時)だった。

大変な会見なのかこれはと思って、ちょっとtwitterを見たら、同様に、ええええ?と大騒ぎをしている人は当然多数いるわけで、私の聞き間違いじゃないんだなと安心するが、これはもう、笑えない状況ではある。何を言い出すんだ、このおじいさん!!!とハラハラした。

とはいえ、ざっと見聞きするに、何かおかしなことを言う(どういう意味?と考えてしまうような)ことは他にもあったが、全体としてはとりあえず「普通」っぽい会見にはなっていた。

で、そういう細かいところじゃなくて、私が問題だと思ったのは、この人は飾りにしておくにしても、好きにしゃべらせたらかえって混乱を生むのでは?ということ。

内容を聞きながら、ああこの人は私が知ってる限りでいえば、90代の人だと思えばいいわけだなと思ったわけですよ。

わりと長命の家系らしく私の親族では90代に入ってしゃきしゃきしている人がけっこういる。その人たちを見ていて思うのは、90代ぐらいになると、コンディションが良くても、新しい事態を瞬時に認識して対応して言語化するというのは、多分、とっても大変なタスクになる。しかし、若い時からよく知ってて、何度も語ったようなこと、特に、概念化されたものなどは非常に上手に語ることができる。ゆうゆうと語ることができる。

10年以上早いけど、バイデンはそんなかんじだと思った。


で、そのバイデン爺の認識のプラットフォームは、基本的に、アメリカは強くて1極で、自由で民主主義で、皆を導く唯一の存在だ、みたいな感じだね。

だから、中国について語った時に、ノリとしては、習にも言って聞かせたんだ、みたいなノリになっちゃう。そして、習近平とプーチンはオートクラシー(専制主義)で、我々は民主主義だという括りがあって、だから、

あなたの子どもか孫は、民主主義と専制主義のどちらが成功したのかについて、論文書いていると思うよ、などと言ってみる。

これは多分、本人決め台詞のつもりで言ったと思う。

そこで主流メディアは

バイデン大統領 就任後初会見 “民主主義と専制主義の闘い”

とか書いちゃう。

こういうのって、90年代なら、そうだそうだと提灯持った行列が自発的に出てたかもしれないけど、アメリカ国民の半分ぐらいはまだ、不正選挙があった、少なくとも怪しい話だという点を完全には忘れてはいないわけで、そんなバイデンに民主主義語ってもらってうれしいか?という話。

また、現在は、イラクに侵攻して20年もたち、アフガニスタンはそれ以上、その他にリビア、シリア、ウクライナと戦線を拡大して、そのたびにみっともなくも傭兵を囲い込んでる状態。つまり、バイデンが認識するアメリカのその路線を追求した結果をどうするか、というのが現時点の問題なわけですよ。アメリカ人にとって、そして世界中の人々にとって。

そこから考えた時、数日前の、中国外交部によるアラスカの反撃とか、プーチンによる、見たところ穏健だが、考えれば考えるほど実はとっても深く入った杭みたいな言明は、これに対する、お前はまず自分がやってきたことを考えろという問いかけとも言えるでしょう。まぁ強烈なノーですが。

2015年に、プーチンが国連で、Do you realize what you have done?(あんたたち自分がしたことわかってますか? )といった、名高い事件があるわけですが、まさにその問いが続けられている。

プーチンの国連総会スピーチ動画とアメリカ人


バイデンは、そんな事情の中、自国民の訴え、疑問などまるでおかまいなしでふるまう。振り返ったり、認識を改めることができない心身の事情でもあり、また、民主主義者というよりも、カルトリーダーが苦境にもかかわらず、同じご宣託をしている、みたいな図ともいえるね。


■ 対立できない

で、民主主義と専制主義だとか言ってはみたものの、だがしかし、この政権は中国と正面切って対立する気なんかない。

最大の外交課題と位置づける中国についてバイデン大統領は「衝突は望んでいないが厳しい競争になる。中国は国際社会のルールにのっとり公平な競争や貿易をしなければならない」と述べました。

また、習近平国家主席について「頭のよい人だ。民主主義は機能せず、専制主義がこれからの潮流だととらえている」と評し、米中関係については「21世紀における民主主義の有用性と専制主義との闘いだ」と位置づけました。 

面白いよね。プーチンはkillerと呼べるけど、習近平は罵倒できない。同様に、ウィグルはジェノサイドとか言って制裁をしてるけど、中国共産党の中央機構に拘わらない公人レベルにしか制裁してない。本格的に怒らせるようなことをするガッツはない。ヘタレが遠くから叫んでる。

そして、ロシアのケースで、ロシアの中のプーチンに近いオリガルヒを操作して反プーチンを作って、ロシア人がそっちになびくように頑張って設計してきたのと同様、中国でも、習近平じゃない路線の、概ね共青団の路線に戻して、中国を米中仲良し路線に戻したいと思ってるのがアメリカさんでしょう。

一言でいうなら、エリティン時代はよかった!と叫んでると思ってみてれば大抵あたってる。

ちなみに、ロシア人の一部の政治言論環境の一部では、去年あたりこの中国国内の対立路線が話題になっていて、共青団をチャイナのコムソモールと呼んでた。確かに、青年団なんだからそうなんでしょう。そう書かれるとちょっと笑っちゃうけど。で、チャイナのコムソモールがグローバリスト路線なんだろう、というわけ。

実際、胡耀邦は中曽根と仲が良かったと伝えられているし、李克強は小沢と仲が良いみたいだから、この線は正しいんだろうと私も思った。つまり、李克強はロシアでいえばメドベージェフみたいなものでは?

■ 回避すらできない

どれだけ悪魔化しようとも、プーチンの言っていること、治そうと言ってるその態度と実行の方が、長い目でみれば正しいと思ってる人は、今日世界の最低でも半分どころか、実はもっといるというのが5年経って本当によくわかってきたという感じだな、などとも思う。

国連設立の経緯からはじまって、シリア問題に触れ、イラク、リビア、シリアと続いた混乱を丁寧に説明し、その過程で、「穏健な」民兵を探し求めて支援しようという西側の取り組みを批判した、2015年のスピーチは各国の人々の中からレジスタンスを生んだ、みたいなものでしょう。

国連総会70: プーチンのスピーチ

その答えがバイデン爺かよと思うと、そりゃもう、西側は沈没を回避することすらできねーんだな、って感じ。

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1 コメント

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認知症の怖さ (セコイアの娘)
2021-03-30 08:48:32
自分が大統領だということも忘れ、オバマが成年後見人役を務めるバイデン。
https://www.foxnews.com/politics/biden-white-house-communication-barack-obama
https://www.foxnews.com/politics/biden-calls-his-vp-president-harris
どうせ、アメリカの大統領なんて、作文を読むだけだから、誰でもいいのだろと思ったら、その作文さえまともに読めない始末。
私は仕事でも私生活でも認知症の高齢者が身近にいるようになって、しみじみ思うのだけど、認知症というのは単に記憶の問題ではなく、思考も柔軟性が失われ、極端に硬直化し、世間の常識からはずれた判断をする。しかも他人の言う事を全く聞かなくなる。(私もこれで日々苦労している。)バイデンの場合も、President Harrisとか120 yearsとかって言ってる分には、又かよで済むけど、本当に怖いのはこの硬直した思考で、とんでもない指示だしたらどうするの。
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