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敗戦の否認は実にリアル&ポーツマスも再考余地あり

2019-09-05 19:51:17 | 参考資料-明治

日本の五輪当局者が旭日旗を持ちこみOKにしたというのが話題になっている。

私としては、ほうら結局これなのよ、としか思わない。半端に反省したような、してないような、国を作り替えて新しい日本になったようないないようないい加減なことをしてきた結果が今可視化されたというもの。

 

要するに、大日本帝国は否定されているようなされていないような恰好で、いろんなところで日本国民のあずかり知らぬ間に、英米(GHQが出先)のエリート層と日本のエリート層との談合で、日本が英米の下に入る代わりに適当な処分をしましたって話だと思う。

 

■ 敗戦の否認は実にリアルだった

と、そういうふうに通して考えてみた場合、日本が敗戦し、大日本帝国は否定されたのだという考えを持たない人たちがず~っと命脈を保っていたのもまったく無理がないんだと思う。


最近になってようやく、白井聡さんが、おいおいおいおい、なんだこれは、とひっくり返してきたのが、考えてみれば実に新しい。そしてこうなったのは白井さんが論理的であることだけでなく、若いというのも相当大きいポイントだったんじゃないかと思う。

普通にみたらおかしいでしょ? だって俺たち負けたんだよ!!といえる人がやっと出てきたという感じ。

ヒトラー、ムッソリーニ、ヒロヒトなわけだが

 

で、この動きを引っ張ってるのは言うまでもなくいわゆる右派の歴史修正主義者というももったいないような、漫画日本の歴史、みたいなのを日本の歴史だと思ってる人たちで、それをいわゆる「リベラル」が批判している。

しかし、それらの「リベラル」勢も、日本とドイツは日独伊三国同盟を組んで東西からソ連を挟み撃ちする恰好になっていた1941年や、そもそもシベリア出兵という名のロシア極東略奪戦争こそ今に繋がる大原因だろうなどとは言い出さない。

東西挟み撃ち体制が見たくなかったらしい

1941年12月にはソ連に勝ってる算段だった

異論を述べるにしても、せめて、極東軍事裁判の記録ぐらい読めよと言いたい。

 

■ ポーツマス条約

そしてさらに、本日は宗純さんのページを開けたらポーツマス条約の話が縷々できていた。日露戦争の講和条約であるポーツマス条約締結の日であった由。

Japan Russia Treaty of Peace 5 September 1905.jpg

ポーツマス条約の内容に賠償金が1円も無かったことから、日露戦争での膨大な戦費の調達(戦時国債)で国家財政の危機に見舞われた日本では、『条約締結に強い不満を示し、戦争の再開と小村外務大臣の辞任を要求。東京では日比谷焼打事件に代表される暴動が荒れ狂った』などは教科書にも載っている良く知られた事実で日本人にとっては一般常識である。
ところが、その逆に、(4)、ロシア帝国から割譲された南サハリンにに日本軍の軍事要塞を建設出来ないとの条件付きだった事実は誰も知らない。
もっと知らないのが、
『(1)、ロシア帝国は、日本が大韓帝国の同意を得ずに、その主権に触れる措置はとらないことを条件に、朝鮮半島における日本の国益を認める。 (2)、満州からは日露の両軍ともが撤退する。』とのポーツマス条約の驚きの条件である。

https://blog.goo.ne.jp/syokunin-2008/e/d105cd371fea40902c70becb861ae54f#comment-list

 

お言葉ながら、私はだいたい知ってました。

特にサハリンの話は知ってる人は多少いるのではなかろうか? ただ日本で書かれた文章は常になんか、言い訳いっぱい悔しさ一杯で分けがわからないものが多い。でも、そもそも無理筋だったことは知る人ぞ知るだったのではなかろうかと思えます。

というのは、そもそもふと考えればわかる通り、日露戦争は基本的に日本海から渤海湾にみんなの目が集中してた戦争でしょ。そして事実その通り推移する。

日本にはそんな大層な陸軍も海軍もないから、びくびくしながら戦争してた。そこで、そもそもこの戦争をしかけたアングロ&ユダヤチームと近しいアメリカのセオドア・ルーズベルトがタオルを投げて仲介に立ってくれることとなった。

すると、交渉を有利に進めるだのへちまだのと日本の文書は書いたりしますが、要するに、なんの用意もなかったところに突如軍を入れてロシアの手薄の守備兵をなぎ倒して樺太を取ったんです。樺太の戦い

 

しかし、仲介に立ったアメリカも樺太全部を日本に認めさせることはなく、北緯50度以南に限定し、しかかも軍事化しないことを盛り込まれた。つまり、またチンピラ日本軍が攻めてこないことを条件に、民間人が交流する分にはおかまいなし、とした設計に見える。

率直にいって、誰もこの日本陸軍のふるまいを正当とも、良いとも思わなかったんじゃなかろうか、など思う。総力戦時代じゃないから余計におかしいわけですよ。

前に書いたけど、日本では日露戦争当時の日本軍は立派だったという根も葉もない判断が大っぴらに広まってますが、私はあまりそう思ったことはないです。日清戦争も異常だし。

総じてこう思ってる。

幕末、日本との交渉にあたったプチャーチンに随伴していた作家のゴンチャロフは、川路の聡明さを愛でる快活な文章を残している。そこからわずか50年の後、日露戦争の仲介人として英米がついたとわかった途端、なんの脈絡もなく樺太を攻めて占領する我らの日本軍がそこにいた。同じ民族とはとうてい思えないぐらいの変化をしたのは、ロシアではなく日本の方だと私は思う。

ロシア破壊願望をやめられない日本


■ 樺太に先にちょっかいをかけたのは日本

でね、この一件は今に続く問題と考えることもできると思う。

日本では、日露の北方の領土は基本的に、千島・樺太交換条約で決まってるのだ、だから千島は全部日本のものなのだ、といったことを言う人たちがいる。

しかしながら、この千島・樺太交換条約という、今日の言い方でいえばフレームワーク設定の条約を先にぶち破ったのは、知られている限りでは日本だと思うわけですよ。上の通り。

そして、この違反は、ポーツマス条約内に、日本の希望通りではないにせよ、果実として設定されている。多少は儲かったといったようなもの。

従って、千島・樺太交換条約を、現在の日本が、これに戻すべきだ、などとは主張できないと思う。

 

■ 原文書を読もう!

極東軍事裁判の話の時も書いたけど、とにかくまず原文を読みましょう。

ポーツマス条約の仏語正文

http://mjp.univ-perp.fr/traites/1905portsmouth.htm

ポーツマス条約の英語正文

http://www.portsmouthpeacetreaty.com/process/peace/TreatyText.pdf

 

ポーツマス条約はアメリカ合衆国が初めてエライ人みたいな役割ができ(いや、もっと言い方があるだろうが)、さらに、セオドア・ルーズベルトはこれでノーベル平和賞をもらっているため、結構な名誉なこととして扱われていたりもする。それそのもののサイトもある。

http://www.portsmouthpeacetreaty.com/

 

で、ロシアのスプートニクは、内容の1個目、朝鮮に関する部分を

(1) ロシア帝国は、日本が大韓帝国の同意を得ずに、その主権に触れる措置はとらないことを条件に、朝鮮半島における日本の国益を認める。

https://jp.sputniknews.com/opinion/201909056641179/

 

と書いてますが、まぁsubstance(実体)を取ればその通りですが、ちょっと簡単に言い過ぎかも。

ただ、日本が過去100年ずっと教えてきた、こういう書き方よりも遥かに正しい。これは今wikiから採ったもの。ポーツマス条約

講和内容の骨子は、以下の通りである。

日本の朝鮮半島に於ける優越権を認める。
日露両国の軍隊は、鉄道警備隊を除いて満州から撤退する。
ロシアは樺太の北緯50度以南の領土を永久に日本へ譲渡する。

 

原文は、第2条の部分が朝鮮の問題(第1条は、結びましたよという趣旨)。

The Imperial Russian Government, acknowledging that Japan possesses in Korea paramount political, military and economical interests engages neither to obstruct nor interfere with measures for guidance, protection and control which the Imperial Government of Japan may find necessary to take in Korea.

It is understood that Russian subjects in Korea shall be treated in exactly the same manner as the subjects and citizens of other foreign Powers; that is to say, they shall be placed on the same footing as the subjects and citizens of the most favored nation.

It is also agreed that, in order to avoid causes of misunderstanding, the two high contracting parties will abstain on the Russian-Korean frontier from taking any military measure which may menace the security of Russian or Korean territory.

 

今ざっと訳すとこんな感じ。あえて美文にしないでやってみた。

ロシア帝国政府は、日本が朝鮮に最重要の政治的、軍事的、経済的利益を有していることを確認しつつ、日本帝国政府が韓国で取る必要があると考える可能性のある指導(guidance)、保護(protection)、および管理(control)のための措置を妨害せず、干渉しないことを約束する。

朝鮮におけるロシア臣民は他の外国勢力の臣民および市民とまったく同一の方法で扱われるものと理解される。つまり、最恵国待遇の国の臣民と同等の立場におかれる。

また、誤解の原因を回避するために、両締約国は、ロシアと朝鮮の国境においてロシアと朝鮮の領土の安全を脅かす可能性のある軍事的措置を取ることを回避することにも合意する。

 

一読して思うのは、朝鮮は朝鮮のままという設定が前提で、朝鮮に対する日本の優越権....はあるといえばあるような、しかし別にそれは朝鮮の主権に及ぶような話までには読めない。

 

これは、現在の日本の立場を、アメリカとロシア、あるいはアメリカと中国が語っていると思って読むとわかりやすい気がする。

 

アメリカの日本における権益はとても大きいことをロシアは了解し、アメリカが日本にいろいろ指南するとしても干渉しない、妨害しない。

でも、それは日本とロシア双方の領土の安全を脅かすかもしんない軍事的措置をロシアとアメリカが取るような、そんな話じゃないからね、という前提はあるからね。

といった感じ。

 

あと満洲の地に関しては、前にも書いたけど、小田急をもらうことは神奈川県をもうらうことを意味しない、という話だと思う(笑)。

 


 

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1 コメント

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Unknown (ローレライ)
2019-09-06 12:18:30
日本を制裁する口実になる条約だった!事実日本はポーツマス条約破りを公然とした歴史がある訳ただ!
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