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モディさんウラジオへ、メルケルさん北京へ

2019-09-06 17:06:38 | アジア情勢複雑怪奇

ここ数日はウラジオストクで東方経済フォーラムが行われていた。例年通りで、今年はあんまり目玉もないだろうと思われていて、まぁ事実そんな感じはある。

が、経済フォーラムよりもインドとロシアの関係の親密度の方が圧倒的に目立った。

というか、多分ウラジオがネタ切れになってきて、西側の「ナチ・リベラル」が手ぐすね引いて、プーチンに陰りがだのロシアの極東開発はどうしたこうしたと言うことを見込んで、ここで、考えようによってはいつやってもいいインドとの交易のご披露となった、と考えることもできるように思う。

で、そのインド。ロシア製の兵器を145億ドル、つまり1兆5000億円ぐらい発注していた。

India orders $14.5 billion worth of weapons from Russia

https://tass.com/defense/1076419

さらに、ロシア極東開発に1000億円の信用枠を設定。

India-Russia eternal friendship takes a Pacific turn

1兆円以上何を買うんだろうというのがまた噂になってるんだけど、なんでしょうか。戦闘機、アパッチヘリ、潜水艦もアップグレード、フリゲート購入、ぐらいではまだ余る気がする。何か新造するんだろうか? インドは潜水艦はロシア軍とよくよく組んで自軍のイニシアチブを取れるようにしておくというのが非常に重要って気がする。

シンゾーとトランプの日米がインド・太平洋軍作りました~とかいってインドを入れるとしてもそれはインドのためにやってるのではなくて、インド洋を英米の海にしようって腹だから、それは長い目でみればインドの混乱、没落をもたらすに決まってる。ということなので、ソ連海軍と組んでた日々を思い出すのが吉であろう、インド海軍、と誰しも思うところだが、マジでそうなってるのかもしれない。

 

そんな中、メルケルが中国に行っていた。

Merkel’s visit to boost bilateral cooperation 

http://www.globaltimes.cn/content/1163809.shtml

中国とドイツの関係は、大きな企業が組んで他国で展開する、みたいなことまでやってるからまぁ盤石。

今回は何かエクスポがあったみたいだけど、折からのアメリカによる中国叩きに対する一つの抵抗として中国が見せることもわかった上でドイツは乗り出しているでしょう。

それを理解しているからなのか、中国は結構おとなしい報道をしているが、ロシアRTが面白いところをクリップしてきていた。

ドイツの対中方針は、香港でモロトフカクテル投げてるような人たちに決めさせることはない

German policy on China trade won’t be decided by ‘people who throw Molotov cocktails’ in Hong Kong

https://www.rt.com/news/468118-germay-china-merkel-trade/

 

これは別にメルケルが言ったわけはなくて、ウィリー・ウィマーというドイツの保守派の重鎮だった元政治家。前にプーチンがいる場にも出てきて対話してたりするぐらいで、要するに、西側だからという理由で無茶苦茶なことをやらされたりする際に出てきて、そうでない方向に持って行くためにひと肌脱いでるって感じの人。

いいですよね、こういう人がいるって。

 

で、実際問題、香港に関してはまさしくそうでしょう。今回の香港騒動はあきらかに外国勢力が作った、アメリカの対中カード作りでしょ? だから、あんな中学生みたいなのが出てきてぴーひゃらやってる話に話を預けられるか、ってところ。

それを言うなら、もちろん、ネオナチに引きずられてウクライナ騒動を作ったことも同じ。ウィリー・ウィマーもそうだと思うけど、ドイツの中には、ウクライナ騒動はドイツとロシアの仲を裂くためにやったと最初っから思ってる人が多い。実際そうでしょう。しかし阻止できなかった。

それでもドイツ産業界は頑として、ノードストリーム2は守っちゃう。

 

さらに、ジーメンスだのメルセデスだのがロシア内での大きなプロエクトを着工したり、完成させたりしてる。総じていえば、ロシア、中国抜きで21世紀のドイツは成り立たないというかなり固い決心をしていたというべき。

半年前にはこんなこともあった。

それどころか、今度はシーメンスが、ロシア国内でのタービン生産の比率をあげる、こうなったら100%ロシアで生産する、あと1年か1.5年でそうなるとか言ってる。

Siemens reviews accelerating localization of gas turbine production in Russia

http://tass.com/economy/1045375

 

つまり、西側各国にいると、アメリカが勝手に自分の国みたいに、これ守れ、ああせい、こうせい、これ売るな、あれ売ったら罰則だとかとひっかけて来るので、こうなったらロシアに入ってればいいんだという話でしょ(笑)。

すごい発想だと笑いが出るんだけど、実は、アメリカもやってる(笑)。

その筆頭はボーイングでしょう。ボーイングはロシアでの共同プロジェクトを止めない。止めないどころかかなり中核的な部分をロシアで設計したり、製造したりしてるのが現状。

面白いよね、ここらへん。メディアは絶対ボーイング批判とかしない。アップルには、中国から帰って来いのへちまと言うけど、ボーイングには言わない。

そして、前から書いてるように、ロシアのロスアトムという核の当局者の子会社は、アメリカの原発に燃料売ってる。

あれだけロシア企業を制裁しまくって、他国にはロシアと付き合うなどテロリストと付き合うのと同様とか物凄い制裁スキームを作って従わせるのに、自分んちの重要部分はスルー。

このへんが見えてるから、ドイツなんかは落ち着いて、アメリカの好きにさせるものかという発想にもなるんだと思う。

要するに、「ナチ・リベラル」のメディアを信じなきゃいいわけですね。あはははは。

米国のウラン燃料事情は結構お寒い

対ロシア制裁が見せてくれるロシアの多段階対応能力

 

■ 今年の煽り

去年のウラジオストックのフォーラムでは、日本の安倍ぽんに、というより平和条約、平和条約と言い募るだけ言い募ってるが何も動かない日本に、よーしだったら今すぐ結ぼうと言って、安倍ぽん、あわわわわになるの巻という事件があったわけですが、今年も煽ってる。

プーチンはトランプにこんなことを言ったと言ってる。

ドナルドにね、超音速の兵器売ってほしい?って言ったんだ。これですべてがバランスするじゃないかって。

“I’ve told Donald [Trump]: Do you want us to sell it [hypersonic weaponry] to you? And we would balance everything by that,” Putin said when asked how new Russian weaponry might fit into existing arms-control agreements.

 

もちろん、アメリカは自前のを作ろうと頑張ってる。だけどさ、とプーチンは続ける。

彼らは作るかもしれないね。でも、なんで金使うのよ。俺らは既に使って、自国の安全保障を傷つけずに見返りになんか得られる、バランスの創出を目的としてる、って時に、なんで金使うの?

“Well, maybe they will. But why spend money when we’ve already spent it and could have got something in return without hurting our own security and for the sake of creating balance?” Putin added.

 

これって、すべてにおいてアメリカ様が優位で、アメリカ様の心づもりですべてを支配できるのだと思ってる向きにとっては、引きつけ起こしそうな侮辱となるんだろうけど(想像すると笑える)、MAD(相互確証破壊)が確立した世界においては実にまったくその通り。

ロシアがアメリカを1回殺せる形を作った以上、アメリカがロシアを10回殺せる形を作っても無意味という話で、だから、もうこのフェーズを止めて足元見て暮らそうぜってこと。

プーチンの2018年一般教書演説:強制MAD


 

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6 コメント

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まったくno problem (ブログ主)
2019-09-08 16:18:35
蔵権さん、

別に何も気を悪くしたりしてません。意味ないかもですが、一応書いておきます。
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Unknown (蔵権)
2019-09-07 01:20:52
真相は絶対わからない上での想像なんでお気を悪くしたらごめんなさい!

北朝鮮のミサイル開発にかこつけて日本と韓国にMDを配備してロシアの核報復を無力化しようとしている流れで、北朝鮮がイスカンデルのようなモノを出してきた訳でしょ。もし、あれがイスカンデルならその技術をリークしたのが西側というのは辻褄が合わないと思うのですよねー。
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次元が違う (ブログ主)
2019-09-06 23:38:23
蔵権さん、

米露の話は米露にしか通じないレベルの話なので、コリアとは全然一緒にならない。米が受けるわけないことを分かり切ってるからプーチン入ってる。

その意味はお前んところの、Nuclear Fist Capabilitiesの追及をいいかげん諦めろ、でしょう。これこそ世界を物騒にしたアメリカの思想的固着。一般アメ人は自分たちがどれこどイカレテルのかまったく気づいてないのが困る。

コリアのはどうなんでしょうか。ロシアの感じはまったくしないですね。だって流れからいって仕掛けてきたのはアメリカですから。

ウクライナは昔はソ連、しかし現在アメリカが支配している、ついこの間まではウクライナの企業から中国が様々なものを買って関係が深い、といったことから考えると、中露米全部に可能性がある。また、北朝鮮はソ連圏の国ですから独自にウクライナと付き合いもある。
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Unknown (蔵権)
2019-09-06 22:42:25
北朝鮮が7月に発射した新型ミサイルがイスカンデルに酷似していて、ロシアから技術提供があったのではないかってミリタリー系サイトで噂になってる。実は韓国軍も玄武3という弾道ミサイルを保有しているんだけど、これがイスカンデルにそっくりで、ロシア(もしくはウクライナ)から技術を入手したのではという噂が……。韓国のミサイルについてはウクライナから流出したのかなとも想像してたけど、プーチンがトランプに発言したという話を聞いて、んっと思いました。コロラド博士さんが連載していて自分的にタイムリーな話題というのもそうなんだけど、プーチンはアンバランスな軍事力をバランスさせる目的ならミサイルを売ってもいいよという趣旨で話をしたんでしょ。その発想ならロシアが北と南の両方にミサイルを提供したとか??

ttps://hbol.jp/200703?display=b
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みんなで協力 (ブログ主)
2019-09-06 22:12:04
ローレライさん、

いやまさに、みんなで安定させられる恰好を作ってるんだと思います、中露は。

部分だけみるとパキvsインド、インドvs中国、果ては中vs露で対立点はあるけど仲介できる3点の恰好にしておけば(例:ロシアはインドとも中国とも仲がいい)、紛争を未然に防ぐ恰好になれる、と考えていると思う。

2人みたら仲を引き裂く英米路線に対するアンチテーゼだ。
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Unknown (ローレライ)
2019-09-06 21:11:36
ロシアイランと枢軸を組むインド!パキスタンの面倒を見る中国とロシアの役割り分担してアフガン平定でみんなで協力!
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