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2010年に炉心溶融の可能性を笑った保安院のおじさんの動画

2019-03-13 02:30:49 | 参考資料-平成

数日前、リテラが、

何度でも言う! 安倍首相こそが福島原発事故の最大の戦犯だ! 第一次政権で津波による冷却機能喪失対策を拒否

https://lite-ra.com/2019/03/post-4599.html

 

という記事を書いて、それを大勢の人がtwitterでシェアしているように思えたが、中に、そんなの安倍のせいじゃない、リテラが書くことは信じられな~いみたいなことを書いてる奴もいるわけで、このへんの事情は既に風化しつつあるんだなと思った。

少なくとも、2011年4月、5月ごろに多くの人が驚いたことは忘れられている感じがする。

リテラの記事が言うように、

しかし、実際にはそうではなく、原発事故の5年前に、国会質問でその可能性が指摘されていたのだ。質問をしたのは共産党の吉井英勝衆院議員(当時)。京都大学工学部原子核工学科出身の吉井議員は以前から原発問題に取り組んでいたが、2006年から日本の原発が地震や津波で冷却機能を失う可能性があることを再三にわたって追及していた。

吉井さんという原子力の専門家の議員さんが再三にわたって、様々な角度から電源喪失の危険性にウォーニングを投げていた(スマトラ地震があったため余計にリアルな懸念となっていた)。しかし、答弁する保安院も、安倍ちゃんも、そんなことは起こり得ない、あり得ないといった態度だった。

こういうのを時系列でよく知っていた人もごくごく少人数いたのだろうと思うが、私を含めて多くの人が、国会でこんなやり取りがあったのか!!! と驚いたのは2011年3月の事故から何週間か経ってから。あちこちでリンクされていたので見た人も結構いるのではないかと思う。

私の記憶では、吉井議員と安倍ちゃんが1対1で質疑応答をしていた動画があったように思うのだが、現在は見あたらない。これって、私の記憶違いではないと思うのだが・・・・。質疑の書面によるものは衆議院のサイトにある。

第165回国会 256 巨大地震の発生に伴う安全機能の喪失など原発の危険から国民の安全を守ることに関する質問主意書

 平成18年12月13日

http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/165256.htm

 

安倍ちゃんとの対決ではないのだが、吉井議員が、原子力保安院の寺坂信昭院長と行った対話は、動画がある。これが実に実に、おぞましい。

2010年5月に、つまり事故発生の9カ月前に、寺坂氏は、吉井議員に、各種の対策が取られているのかと詰めよられて文言上は切り返す。逃げる。しかし、吉井議員はベテラン議員さんのようで、ここでふと直球を投げたといった感じで、「最悪の場合炉心溶融ですね」と切り出す。すると、寺坂氏は、あきれたように、そんなことはあり得ないと、何をバカなことを言っているのだといわんばかりに半笑いで答える。

 

2010年5月26日 吉井議員が質問 衆院経済産業委員会 

原発 電源喪失で炉心溶融の可能性

 

7分あたりから

吉井 最悪の場合は炉心溶融ですね。

寺坂 あの、最悪といいますか(吹き出し笑いをして)、そもそもそういった事態が起こらないように、設計、あの工学上の設計、あの、そういったことはほとんどあり得ないだろうとぐらいまでの安全設計をしてございますが、論理的な世界におきまして、ゼロじゃないという、論理的な世界におきまして、え~外部電源がすべて喪失されて、今あの非常用の所内電源、ディーゼル発電機の話を申し上げましたけれども、隣の発電所からの電源融通ができないとかですね、いろんな悪い事態というものが、一つ一つ小さい確率のあるものを全部実現をして(薄笑い)、それで、外部電源が全部喪失されて、それで、冷却機能が失われると、いうことになりますと、もちろんあの、その時間によるわけでございますけれども、長時間にわたりますと炉心溶融といった、そういったことにつながるという、論理的には、考え得ると、そういうものでございます。

 

こんな程度なんですよ。日本の原子力行政のエライ人というのは。論理的な話でしかないと、無視してた、と。リアルな被害の可能性に思いが至らない。

安倍ちゃんの答弁もこの調子だったと記憶する。

肝は何かというと、そんなことはあり得ない、とか、日本の原発は多重防護が施されているから大丈夫、といったことをひたすら語ること。

しかし、安倍ちゃんも保安院(通産官僚だが)も現場がどうなってるのかなんて知ったことではない。であるのなら、それは重要な指摘なので、現場で確認をさせます、と何故言えないんだ、って話なんですよ。実にまったく。

そして、これは安全設計の問題ではなくて、具体的にどう運用されているのか、の問題でしょう。しかし、そこに降りて行く回路はない。

 

で、そうやって事件が起きたら今度は、これだけもあれだけも指摘されておきながら、「想定外」などと言い出し、結果的に、実のところ東電も経産省も、誰もなんにも責任を取らない。81兆円かかろうが、100年、1000年かかってその間人々が悲嘆にくれようが、日本列島のど真ん中にほとんど未来永劫使えなくなる土地ができようが、そんなことはどうでもいい。

白井聡ならずとも、1945年の敗戦とまったく同じことが起こっていると思うしかない。

81兆円想定:原発事故から8年

 

■ オマケ

敗戦時一般と似ていると言ってもいいんだが、私としては、これはとりわけ、関東軍は最強、皇軍にかかってはひとたまりもない、ソ連人はバカである、などと語っていた昔日の日本軍と被るものがあると思う。

昭和8年の「対ソ戦闘要綱」なる極秘資料によれば、関東軍参謀にとってのソ連観はこのようなものだったそうだ。

ソ人は概して頭脳粗雑、科学的思想発達せず。従って事物を精密に計画し、これを着実かつ組織的に遂行するの素性および能力十分ならず。また鈍重にして変通の才を欠くところ多し」(p46)

ロシア弱体化という願望

結果的にはノモンハンでも1945年夏の攻勢でも、組織的で、戦略を決定すると迅速にそれを実行に移す能力のあったソ連の人たちに負けたわけです。

 

日本のエリート集団が、「(自軍が不利になることは)あり得ない」とか、日本は優秀だなどと断定的に語りをはじめたら、それは多分日本にとっては既に十分に危機なのだと思った方がいい。一般国民はせめてこのぐらい学習すべきでしょう。

 


 


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2 コメント

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あまり言いたくはないのだが、・・・ (宗純)
2019-03-13 10:17:29
フクシマの5年も前の2006年に、安倍晋三に対して津波による原発のブラックアウトを指摘していた小出裕章と同じ京都大学工学部原子核工学科出身の吉井英勝ですが、
日本共産党一の原発事故の専門家であり、自民党や安倍晋三の天敵のような存在だった。
ところが肝心の2012年12月16日総選挙では、もうすぐ70歳になるとの年齢制限で引退させ、共産党は歴史的な敗北を喫する。
この総選挙では自民党(安倍晋三総裁)は民主党(野田佳彦)政権に対する批判票を取り込んで大勝し、安倍晋三が首相に返り咲き。

自民党の大勝と共産党や民主党の歴史的大敗はコインの裏表で一つの出来事だったが、
安倍晋三の大勝ちをアシストしたのは間違いなく民主党の野田佳彦と共産党の志位和夫だったのですから腹が立つ。


共産党の現職衆院議員(当時)の吉井議員は以前から原発問題に取り組んでいたが、
2006年のブラックアウト一つに絞って総選挙を戦えば大勝出来たのです。もちろん180度逆に安倍自民党は大敗していた。
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考えてみたいです (ブログ主)
2019-03-13 12:22:42
宗純さん、

なるほど、と思う点もあり、しかし、そういう風に考えてみたことはなかったのでこれから考えてみたいと思います。実際確かに、吉井議員のまったくのストライク質疑を共産党は十分に活用していない、これは何故だろうと思ったことはありました。なるほど。考えてみます。

ご示唆ありがとうございました。
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