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アルメニア&アゼルバイジャン一時停戦合意@モスクワ

2020-10-10 16:12:06 | アジア情勢複雑怪奇

アルメニアとアゼルバイジャンの外相がモスクワで、停戦に合意した。

Armenia & Azerbaijan agree to ceasefire in disputed Nagorno-Karabakh starting SATURDAY after talks in Moscow 

https://www.rt.com/russia/503099-moscow-nagorno-karabakh-talks-deal/

 

モスクワに来いと呼ばれて行ったのは外相。真ん中はラブロフ外相。

長時間話し合った末に、10日土曜日のお昼からの停戦に合意した模様。

前線で放置されてる遺体を収容したりといったことが必要だろうという「人道的」な措置が目的である、ということで両者が合意したということなので、本質的な解決ではない。

本質的な解決はナゴルノ・カラバフというアルメニア系住民が住まうところが法的にはアゼルバイジャンのれっきとした領土である、という事態をどうするかを考えないとならない。

画像

 

30年じゃなくて100年越しの、ロシア帝国が崩れて各民族が主体的に共和国になるとかいう話をした時からの悶着なので、そう簡単にできるわけもない。

そして、そう簡単にできるわけもなかったが、ロシアが仲介者となって両者をテーブルに付けて話し合おうという話は持続的にあった。しかしだんだんできなくなった。

主たる原因は、NATO東方拡大政策によって、グルジアに続いてアルメニアを取っちゃおうという動きが活発化して、2018年にアルメニアでカラー革命が起こって、現在のパシニャン首相が就任し、その頃から話がオジャンになったことと言えるでしょう。

その頃から、あわせて、いつものように、アルメニア国内での脱ロシア化みたいなことが始まって、国の中には治安機関の人数よりもNGOに雇われてる奴の方が多いだろう、みたいなことになっていた模様。もちろんロシア語放送、ロシア語学校はそれぞれ止めさせられたか、低下した模様。

まぁいつものカラー革命路線ですね。

 

ということなので、ロシア国内に大量にいるアルメニア人たちの中には、こんな状況にしておいてロシアに出てきて俺の代わりに戦ってくれなどという虫のいい話をまさかするんじゃないだろうな、おい、といった感じで推移を見ている人(腹を立てて、だが)が結構いるようだ。

逆に、アメリカ国内のアルメニア人たちは、アルメニア頑張れ、トルコは悪い奴という方向で支援してた。多分、この在米アルメニア人たちが、アルメニア虐殺をアメリカが承認したりなんだりすることを通して(どうあれトルコがNATOを抜けるわけないと踏んで)、本国アルメニアをNATO側に呼び込んでいる主たる活動集団であろうと思う。

で。カラー革命で就任した現在の首相パシニャンは、この間、積極的にアメリカとかフランスに働きかけていたようで、昨日は、ナゴルノ・カラバフの主権を「国際社会」は認めるべきで、フランスならやってくれる、とか言っていたようだった。

Armenian PM Pashinyan expects France to recognize Nagorno-Karabakh as sovereign, asks ‘international community’ to do the same

https://www.rt.com/russia/503055-nagorno-karabakh-independence-armenia-france/

 

多分、今日の停戦合意がモスクワで行われる前に、なんとかして、西側主導で何かやってほしかったんでしょうかね。

 

だがしかし、前回の90年代の紛争の停戦をやったのは「OSCEミンスク・グループ」で、代表者はロシア、アメリカ、フランス。この3カ国には当然に停戦を守らせてその時点での約束に従わせる義務がある。

この3つが最初から共同で停戦を呼び掛けていたのは当然のこと。

この中の国がこれを一方的に破るとなると、それなりに大変。そして、長い間の怨念がたまりまくって面倒くさい人たちばっかりになってるこの場のために、その後も多大なリソースを割かないとならない。

アメリカならやってくれる!と思ったパシニャンは、簡単に言えば騙されたんでしょう。サーカシビリと同じ。

 

■ どんな夢だったのか

だがしかし、じゃあパシニャンはどんな夢を描いていたのか。

それはつまり、グルジア・アルメニア・アゼルバイジャンがつながって、全部NATO傘下に、EU/USAの支配下になればいいのだ、ってことなんですかね・・・。

European Union Eastern Partnership.svg

(青が現在のNATOで、既にワルシャワ条約機能にあった国々が多数含まれ、現在は、緑の地域を「東方パートナーシップ」プログラムの対象国として、ここを将来的にNATOに入れると頑張ってる。)

 

このプログラムが達成されると、ロシアがコーカサスの南を概ね全部失い(黒海側のアブハジアは多分例外)、かつ、ロシアとイランの間にNATOが食い込む、という形になる。

それはブリュッセルとかワシントンでものを考えている人にとっては、おー、やったぁ!!かもしれない。

が、アルメニア、アゼルバイジャンの人にとっては、見える将来に確実に紛争地になるということ。というか、そのための場を作ってるのがこのNATO東方パートナーシップというもの。そこに自分から入っていくメリットは何?

 

また、この構想では、ロシアが影響下のグルジア、アルメニア、アゼルバイジャンを失い、ロシアの威信が低下する、ということが目論まれているんだろうが、もし、ロシアが、いや別にコーカサスの南は影響圏でなくてももういいわ、と判断して、アルメニアさん、そうですか、さようならと言い出したらどうなるのか。

他方で、アゼルバイジャンとロシアは、イランと共に、カスピ海沿岸国という重要な枠組みで繋がっている。

この枠組みは、カスピ海の利益を沿岸国で調整しようという枠組みで、それをロシアが音頭を取っているんだから、関係国にとっては断然お得。EU/USはアゼルバイジャンを入り口に食い込みたいが、アゼリが完全に従う義理などない。

また、ロシア・アゼルバイジャン・イランは、陸路、海路(カスピ海)を整備して、ヨーロッパとインドと結びつく恰好で動いている(南北輸送回廊)。邪魔したってそもそも繋がってる地域だから、単に時間の問題。

 

反対に、東方拡張プログラムを仕掛けているNATO(EU/US)にとっても、アゼルバイジャンはそこから天然資源を運び出している大事な国。

下手にアルメニアについたら、アゼルバイジャンが腹を立て、ロシアに今よりももっと接近するであろうことが当然に予想される。

 

■ ムジャヒディーンが好きすぎて

従って、冷静にみれば、そのそもこの東方拡張プログラムって、今となっては何のためにやってんの?と思わずにはいられない。

多分、90年代後半のロシアのどん底期には、南部からテロリストをロシア領内に送り込む都合からコーカサス支配が有望だったんでしょう。

そして、将来的に、カスピ海周辺を西側の支配地に置くことができる、安泰だ、などと夢想してた、と。

そのために、イラク、シリア、トルコ、グルジア、アルメニア、アゼルバイジャンをテロリスト(という名の傭兵)が走り回れる地域にして、ロシア領内を南部から騒乱地にしていく、というのが構想だったんでしょう。

 

この構想にひびが入ったのは、ロシアがチェチェンを落ち着かせたこと。

次に、夢よもう一度と2008年にグルジアで紛争を起こしたものの、4日間で、グルジアが単にオセチア、アブハジアに独立されただけで終わった。

その次が、2011年から12年ぐらいに盛り上がって2016年まで続いたシリア。ここを最終的に、テロリストを使ってリビア並に秩序のない状態にしたかった。

シリアがテロリスト支配地になると、隣国のムジャヒディーン以来の過激派の集散地トルコと繋がり、そこからコーカサス、ロシア南部と夢のテロリスト自由回廊ができる(笑)。冗談みたいだけど、これがNATOの構想。おほほほほ。

 

やっぱりさ、テロリストに頼って世界中に騒乱地作って、秩序破壊して、その後自分の子分を入れる、という構想自体が罰当たりだったんじゃなかろうか。笑いしかでない。

何度でも出したいこの動画。スペースシャトルの打ち上げをムジャヒディーンという「自由の戦士」に捧げるレーガン大統領。いやほんと、シャレにならないほど恥ずかしい。

Ronald Reagan dedicates the Space Shuttle Columbia to the Taliban

 

この間、プーチンが、「世界的な金融組織は1990年代と2000年代に、北コーカサスにおけるロシアのテロリストとの戦いに介入しようとした」という発言をしたのは、やっぱり意味深。

パリクラブ あたりの金融屋さんとテロリストには関係あるんだぜという示唆なわけでしょ。

World financial structures tried to dictate rules in Russia's anti-terrorism fight — Putin

https://tass.com/politics/1209327?utm_source=dlvr.it&utm_medium=twitter

 

国際的な金融組織の代表者が、ローンの金利支払いの期間の延長を申し出た

その条件に、領土の一体的な保全を含むロシアの国内政治の変更を要求した

つまり、コーカサスにおけるテロリストどもとの私たちの戦いのことです

一極派蛮行問題:ロシアゲート&コーカサス

 

いつもどんなことでも煩く捏造記事を書きまくるのがお仕事のイギリス勢がコーカサスに絡んでこないし、マクロンはちょっと出てきたけど大したこともできてない。これは結局そういうことだったってことなんじゃなかろうか。

 


 

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2 コメント

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カフカスに民族ヘイトの種撒いた西側無政府主義 (ローレライ)
2020-10-10 19:32:51
カフカスで民族ヘイトの種撒いた西側無政府主義はロシアイラン側で鎮圧しないと世界に病気が広がっていく、ナチのように。
返信する
気が付けばポーランド第二共和国のアルメニア! (ローレライ)
2020-10-11 08:28:08
気が付けばポーランド第二共和国の立場であるアルメニア!西側のドイツやトルコの侵略には無力である。
返信する

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