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米、イランに追加制裁:ユーラシア統合とトランプというタレント

2019-06-25 00:32:38 | アジア情勢複雑怪奇

イラン南岸の海での出来事を背にトランプ政権はイランに追加制裁を課すことを発表した。

米大統領、対イラン制裁「24日発動」=武力行使、排除せず

https://www.jiji.com/jc/article?k=2019062300135&g=int

 【ワシントン時事】トランプ米大統領は22日、無人機撃墜をめぐり対立を深めるイランに「大規模な追加制裁を24日に発動する」とツイッターで明らかにした。武力行使を排除しない考えも示しており、イランによる核兵器の保有阻止へ圧力を強める姿勢を強調した。

 

で、1週間以内ぐらいに、もう一回この制裁問題は揉めるはず。どうしてかというとトランプ政権が5月にかけた制裁によって、イランは濃縮したウランの売り先がなくなるので、濃縮ウランがイランディールでの条約上の制限を突破するから。

制限を突破するのはこの条約締結国の側の勝手な理由なわけだけど、突破した、突破した、条約違反だ~と言い出すんだろうと思う。

だから、この局面では、欧州側が何かしないとならない。ならないのに、ならないのに、

英米仏は、イランに、2015年の合意が定めた低濃度ウランのストックパイルの上限を守るように正式に要請したんだそうだ。

While planning to caution the Americans about ramping up pressure, France, Britain and Germany also this weekend issued a formal diplomatic request to Iranian officials to abide by the limits set on stockpiles of low-enriched uranium by the 2015 nuclear accord, which Iran is threatening to exceed on June 27, European diplomats said.

https://www.wsj.com/articles/u-s-plans-new-iran-sanctions-as-europe-tries-to-defuse-tensions-11561321739

 

問題は、どうやって?だと思うわけだが、それを工夫している話は見えてこない。

ということで、ヨーロッパはこのイランディールを、私は守る気なの、私は守る気なのといいながら死なせるつもりなんだろうか、というのが今後の焦点だと思うな。

 

■ 2014年7月のケースと似てる

これはつまり、2014年7月にウクライナで飛行機を撃墜して民間人死なせて、それをロシアのせいにしてロシアに制裁を課した仕組みと一緒って気がする。

この時、EUは、なんせ2014年2月のウクライナでの騒動は米+EUがしかけたクーデターだということを、アメリカに比べて多くの人間が知ってる、感づいていることもあって、対ロシア感情の完全悪化は簡単には来なかった。

思えば、2014年6月には、フランスがノルマンジー作戦を記念する祝典にプーチン大統領を招待するという一幕もあった。連合軍なんだろうが当たり前だろうと思う人もいるかもしれないけど、ノルマンジーだけが、ノルマンジーこそが第二次世界大戦を決したのだというのがイギリス王室を頂点とするへんなグループの異常な思い込みなので、ここにプーチンを出したのは実は相当に不思議なことで、できたのはフランスがオランド政権が音頭取ったからだったのだろうと思う。つまり、取りなしたかった。

そして2014年7月に飛行機が落ちて、あっという間にロシアのせいとなり、プーチンが飛行機落としたの大騒ぎとなり、異常なアンチロシアのプロパガンダが欧州を席巻し、今に続いている。

ここから、欧州とロシアの本格的な制裁スキームが成立して、EUは既にまた1年対ロ制裁を延長することを2週間ぐらい前に決定していた。それに対してもちろんロシアも同じ措置を取る。

この間の、イギリスのスクリパル親子事件でも、まったくの言いがかりをつけて、結果的にロシアに制裁を課すという仕組み。証拠もくそもない。

誰がやったか、イスラエルか米中央軍か、成功したか失敗したかはあんまり関係ないと思う。なんだっていいんですよ、相手を悪魔化できて制裁かけて、あたかも自分たちが正しいことをやっているような構図が作れれば。そのために主流マスコミは存在するんだし。

 

■ ユーラシア統合阻止

で、じゃあ、アメリカは一体何をやっているのか?

そらやっぱ、ユーラシア統合阻止なんじゃなかろうか? 結局のところ2010年ぐらいからず~っとテーマは一緒なのでは? アラブの春からこっちずっとという感じ。

オバマのウクライナ潰しの頃、ドイツ側で、これはドイツ&ロシアに亀裂を入れようとしていると反応した人たがいたんだが、それは実際正しいでしょう。

しかしドイツ&ロシアだけじゃなくて、リスボンからウラジオストクまでの欧州とロシアの共存的空間をというプランニングを潰されたってことですね。

そこから、東欧あたりを騒がせていくんだが、ロシアが中国と急接近していって、またまた安定が作られる。

こうなると、もともとイラン&インド、イラン&中国と関係が密なところ同士が利害調整にぴったりのロシアが出てくると、さらにユーラシアが一体化しやすくなる(例:インドと中国はそのままでは対立するが、その両方と関係のいいロシアが入ると三角形で対話できる)。

そこで今度は、この中で弱い輪であるイランを壊しにトランプが出てきた。

というところではなかろうか。

 

多分、トランプがアメリカを偉大にするとかいう話は、テレビ番組のタイトルみたいなもの。そもそもトランプはテレビタレントとして有名だったわけだし。You're fired!とかいう調子でばっさばっさやってくるに違いないという期待感の上にトランプ大統領というタレントが採用された、って感じでは?

Qチームとか、大人は到底信じられないアホなことやってるのも、テレビ的だと考えると納得できる。

 

■ さりげなく続く各地のカラー革命もどき

トランプの立ち回りにだけフォーカスするようになってから、各地の動きに対して多くの人が注意を振り向けなくなっているとも思う。これもテレビ的。

しかし実際には、イスタンブールで反エルドアン的な人が力を得たり、香港の騒ぎがあり、チェコ、グルジアでも、似たりよったりのデモが続く。どこも、当局者が要求を呑んでも引き下がらず、誰かが辞任しても収まらないといった恰好が特長。これは言うまでもなく解決を求める態度ではない。

これはつまり、ここまで中心になってきた政治家をくじくための脅しでしょう。親xxとか、イデオロギー的にどうこうといった視点で見ると多分間違う。なんでもいいんですよ。現在のその政権に立ち向かうスローガンができれば。

 

■ 成算はあるのか?

イランの動向如何では大きく動く可能性もあるのではないだろうか、とは思う。

ロシアと付き合ったら×がつく、という設定を堅持しているので、こうしている間に欧州&日本がまた90年代のように中央アジア各国、モンゴル、トルコなどに融資だの工場持って入っていくという恰好は一定程度有効だと思う。

そして、各地のデモを吊り上げるために、またまた「民主的」という大義を使ってることも、中国やロシアに着くなんてありえない!みたいな流れに収束していくには良いでしょう。

ただ、中国が折れなければ、ロシアも折れないし折れる必要もない(ここは自給自足できる)ので、大陸周辺部をまとめてドル・システムを繋ぎとめることのコストはとても大きく、それによって、例えば欧州&日本というアメリカの子分の力が削がれる結果となり、結果としてドル・システム側のさらなる弱体化の可能性もあるように思う。そもそも、ドル・システム側は経済合理性に反することをして、それを混乱の中でやろうというんだから、さらにコストがかかるというよりコストだけかかる(扇動のために生産的でない人たちを使うから)。

 

■ オマケ

今週のニューズウィークの表紙。

世界中で無辜の民を殺しまくったり、金(ゴールド)泥棒したり、国ごと壊したことについての反省は1ミリもないのがアメリカ(西側)といもの、といったところ。誰なの、トランプがキレイにしてくるって言ったのはぁああ?と言いたいわけだが、上で書いた通り、民主的な私たち路線で、気分がよくなればそれで勝ちって感じに行ってるものと思われる。

 

2019.6.25号(6/18発売)

 

■ オマケ2

トランプ、選挙民が聞きたいことを語ってる。わ~いとそりゃ言うわけですよ。しかし制裁は外さない(笑)し、ロシア国境、日本&韓国へのミサイル配備も止めない。素晴らしいタレントですね。

「自国の船は自分で守るべき」トランプ大統領 ホルムズ海峡で

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190625/k10011967311000.html

 

しかもこれは、日本の憲法改正の後押しになるんだから、日本の軍事予算はまだまだ増やせる。願ったりかなったりの商売人でした。

 

■ オマケ3

それが見えてる中国から。実にストレートなご意見。

日本は表裏のある中国政策を止める必要がある

Japan needs to end its two-faced China policy

Jiao Kun

http://www.globaltimes.cn/content/1155408.shtml

 

日本の中では中国との関係は正常に戻ったのだと安倍はいうけど、アメリカとの間で軍事もりもりにしてるね、F35に長距離ミサイル載せるんでしょ、どういうことなのよ、と。さらに、ロシアと平和条約を締結するとさわいでるけど、その理由を対中国のためですとワシントンで言った政治家がいた。どういうことなのよ、と。

さらに、日本の安倍は外交を売りにしているようだが、ロシアと暗礁、韓国とも紛争含み、北朝鮮には対話を断られると全部ダメ。そこで残ったのが中国なのだろうが、二面性があったら続かないんだよ、という実にストレートなJiao Kunさんのご意見がトップ下に出ていた。

 

ロシアの方も、そもそもイージスアショアは中露向けの潜在的には核ミサイル搭載可能な装置を新しく据えておいて平和条約とは何ごとなんだよとずっと思ってるでしょう。しかも、断っても断っても、島が返ってくる可能性が、チャンスが云々の騒ぎを止めない。やればやるほど日本国民にロシアに悪感情を抱かさせる機会が増えるからやってるんだなと理解しているでしょう。

 


 


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