どう読んだものか疑心暗鬼の中すすむカショギ事件ですが、イランのローハニ大統領が、
こんな非道な事件は、サウジの近しい同盟国である米国の支援なくしてあり得ない、
と言ったそうだ。
Iran: Khashoggi murder would have been impossible without US support
https://www.presstv.com/Detail/2018/10/24/577942/Iran-Hassan-Rouhani-Jamal-kHashoggi
Iran’s President Hassan Rouhani has condemned the murder of dissident Saudi journalist Jamal Khashoggi, saying perpetrating such a “heinous” crime would have been impossible without the support of the United States, a close Riyadh ally.
まぁ、太陽は東から昇ると言ったも同然のことを言ったような気もする(笑)。
トルコが単独でやってるなんて信じられないと私も思ってる。
でもこういうところで、爆弾投げ込んで来るイラン、いいですね、ほんと。おほほほ。
この地域の紛争は、非道だらけではあるものの、基本的に気持ち悪くはないのは、メジャーなところが独立国だからでしょうね。日本とかドイツ、欧州の国の話とか、もう聞きたくない、つか意味ねー、って感じ。どうせ、我々は同盟国を信じます~、みたいな判でついたようなことしか言わない。
思えば、今年の4月にイギリスが、明らかにおかしい、誰がどう見ても訳ありにしか思えない、スクリパル親子とロシアの化学兵器事件を作り上げた時、欧州各国は嘘八百のイギリスの主張をまるまる飲んで、ロシアの外交官のうちの何名かずつを各国が放逐した。「連帯です」とか言って。
これってもう、まるまる、組の親分が言ってるいるなら、俺らに選択肢などいりませんという、ものすごい「忠誠」を示したわけですよ。西側というのは暴力団仕様なんだなと考えると非常にわかりやすい。
しかしこの時、ごくごくささやかな違いだったが、カナダ、オランダあたりが一直線にイギリス支持だったのに対して、ドイツは世論がこの話はデマだと抵抗してたこともあってなのか、外交官の表現も常に微妙だった。
その後、9月に、ロシア、フランス、ドイツ、トルコがシリア問題を話し合う枠組みを作ったことからも、3月4月のスクリパル親子事件、ホワイトヘルメットの「活躍」は、英を主体とした何者かによる反抗だったというべきなんですかね。今となってはそう見える。
シリア問題、来月に4カ国協議=独・トルコ首脳会談で方針 (9月28日)
http://www.afpbb.com/articles/-/3191408
そしてさらに、イスラエル機がロシア機を撃墜した事件で、フランス艦の役割(悪い意味ですよ)をロシア政府がカウントせずに、イスラエルの責任だけを問うてシリアへのS-300設置を断行した、という成り行きも考えさせられるものがある。
あの時、フランス政府は誰もまだフランスに問いかけていない時から、フランスは関係ないだったかなんだったか、そんな声明を出してた。この意味は、フランス政府は、という意味なのかなと思って読んだ記憶がある。
■ 終わりたくないと秘密軍がいう
で、今日の櫻井さんがこの間の流れをまとめてらした。
ここから、今年に入ってからのイギリスを中心とした妙な動き(スクリパルだの化学兵器だの)は、去年の秋のイドリブの件からのテロリスト軍(またの名を英米秘密軍?)の反騰の1つで、ここで既に米を中心とした現地軍はロシア軍と対決しちゃってる、というピクチャーが見える。
イドリブでは2017年9月20日、パトロール中だったロシア軍憲兵隊29名が武装集団に襲撃されている。この集団を率いていたのはアメリカ軍の特殊部隊だと言われ、戦車も投入されていた。作戦の目的はロシア兵の拘束だったと見られている。
戦闘は数時間にわたって続いたが、その間にロシア軍の特殊部隊スペツナズの部隊が救援に駆けつけて空爆も開始、襲撃した戦闘員のうち少なくとも850名が死亡、空爆では戦闘を指揮していた米特殊部隊も全滅したと言われている。こうした事態を受け、21日にはロシア軍とアメリカ軍の軍人が直接会い、シリア情勢について話し合ったと伝えられているが、その直後、9月24日にはロシア軍事顧問団を率いるバレリー・アサポフ中将とふたりの大佐がダーイッシュの砲撃で死亡した。この攻撃ではアメリカ側から正確な情報が戦闘集団側へ流れていたと見られている。
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201810240001/
だからこそ、今年に入ってからのロシアの姿勢はずっと一貫して、絶対引かない、だったということでしょう。
問題はまぁ米なわけですよ、だから。米が、アルカイダと共に歩む21世紀を本気で望んでいるのか?という話。
多分ここまでずっと、米+αの集合体の寡頭支配レベルの人たちにおいては、後ろでごしょごしょやっても、メディアが適当な話でカバーするので、いろいろと汚い手を使ってロシアを脅しつけ、中国を脅しつけ、イランを経済的にバラバラにすれば勝てる、という発想をしてたんだと思うんだな。
つまり、いつものように、後ろで汚いことをやりつくして、フロント部分でNYTだのワシントンポストだのがキレイでわかりやすい話を押し付ければすむだろう、って思ってたんでしょう。
■ 所詮はサウジの金だわな
ところがどっこいユーラシア側が引かない。膝を屈しない。
プーチンと来た日にゃ、時々煽りに入って(しかし覚悟としてマジだと思うが)、ついには、
どうしようもなく核戦争になったら俺らはもちろん対抗する。するとお前ら(米)も死ぬ。そしたら、俺たちは犠牲者、殉教者となって天国に行くが、お前らは侵略者の汚名を来て悔やむ間もなく地獄に行く、
とか、なんかスゴイことを言っていたりする。(今年のバルダイ会議。)
After nuclear holocaust, we’ll go to heaven as martyrs; attackers will die as sinners – Putin
https://www.rt.com/news/441631-putin-nuclear-holocaust-heaven/
他方、民主主義だの自由だのというのは、英米覇権の看板に過ぎないことまでまるわかりになってきた。
なんせ、その仕様は、所詮はサウジの金でまわってたんだよな、という構造だから(笑)。
サウジは世界一の石油埋蔵量を持つ世界有数の石油輸出国。これが1億とか3億とかいう民を食わせてるってんなら、その金は一部に集中ってことにはなかなかならないが、あそこにはそんなに人はいない。そして、奴隷制度みたいな「国家」をえいえいとやってる。だから金が余る。うなるほど金がある。
で、サウジがその金を、米、英、独仏etc.に投資したり、様々なプロジェクトに支援したり、はたまた後ろのオペレーションとしての過激派を作ったりする。
また、この金はイスラエルという、純粋にアメリカから支援を受けて成り立ってる国に流れているとも言えますね。
ではそのサウジに金出してるのは? 主要顧客は日本と中国。中国はサウジ産を減らし気味にしているが。
まとめると、日本(+中国)→サウジ→英米各国+イスラエル、と金が回り、この金が世界中を傭兵で荒らしまわるスキームを支えている。
だからこそ、イエメンでどれだけ人が死のうが、西側のリベラル・メディアは大騒ぎをしない。サウジと米軍の一方的な虐殺としかいいようがないわけだが、気にしてないんでしょうね。
米のメディアとかシンクタンクにとんでもない額の金がサウジがから出てる、と怒ってる人はかなり多い。
で、面白いのは、ユダヤの金、ユダヤの金という騒ぎをする人が過去100年常に多いわけだけど、サウジの役回りを指弾する傾向は左右共に小さい。
いずれにしても、どこが自由と民主主義に関係があるのかまったくわからないのがいわゆる英米覇権だわなって感じ。
サウード家のアラビアの行く末はどうなるんでしょうか。
これも一つの第一次世界大戦問題ですね。
でもって、中東の仕置きに関しては日本も無関係ではない。山東&南洋を認めてもらって、その都合で英仏様は正しいです路線を取ったから。
フセインやイスラム国と同じ仕掛けの殺人事件。
私は、事件の残忍性に吐き気を覚えるほど嫌悪するし、カショギさんには本当に気の毒だと思うけど、世の似非リベラルが喜んでネタにするような事件でもないと思う。
テレビのニュース番組の中で、唯一WBSに登場したトルコ人アナリストのコメントが一番面白かった。この人、最後にちょっと躊躇ぎみに「もしかすると(皇太子が)はめられている可能性が」とか言っていた。そう勘ぐっても不思議ない程、裏がありそうだ。