世界経済フォーラムのミーティングでソロスが気張ってロシアを倒せといい、キッシンジャーがクリミアとか諦めて「ウクライナ」存続路線を目指せといい、その他欧米の政治家たちがロシア打倒運動の旗手みたいになっている中、米ワシントンポスト紙が、ウクライナの状況は厳しいことになってると認め出し、アメリカのメディアは一時期に比べると圧倒的にウクライナの扱いが小さくなってる。
In Stunning Shift, WaPo Admits Catastrophic-Conditions, Collapsing-Morale Of Ukraine Front-Line Forces
今後どうなるのかわからないけど、あまりにもあまりな嘘だらけの仮想戦記ウクライナの英雄物語が成り立たなくなって、書き物に困ってるんでしょうか。
しかし、もちろん、我々は徹底抗戦だ!という感じの人々の方も多そうなので、また何か書くんでしょう。大変だね。
ナチとかISといった思い込みを埋め込んだ人々を使うと彼らを正常レンジの人の思考に戻すのが大変なのと同様のことが、報道やシンクタンクの人、書き物の人たちにも起こっていると思う。
過激派集団(武装)も大変だが過激派集団(文筆)も同様に大変。そして後者の方がよほど大変かもしれない。なぜなら、自分は痛まないから、まだやれると思いたがる。
また、過激派集団(役者)も大変。ポロシェンコとかサーカシビリがどうしてああまで阿呆なのかというと、実際に自分の国を管理している人じゃない、そういう行政経験みたいなものが何もなく、ふるまいだけが頼りだからでしょう。ヒトラーと同様。
で、何度も書いてますが、問題はロシアじゃなくて、西側の進退。
ロシアの方は軍事は軍事でやってるけど、経済活動一般の中で対応できるようになってきているようで、一時期急激なルーブル安を受けてインフレ加速の懸念から急激に金利を上げていたが、それを止めて金利を下げた。徐々に安定していく方向性が見えたため。
足元では、西側の経済制裁にもかかわらず、貿易収支の黒字幅が拡大し、ルーブル価格は上昇(ヨーロッパ各国がルーブルでガスを買っていることが主要な要因)、おまけに、小麦他の穀物は豊作予想。
Russia’s grain harvest expected to reach 128 mln tonnes, wheat - 85 mln tonnes
■ ユーラシアへ、アジアへ
昨日27日には、ユーラシア経済連合(EAEU)の会議があった。
EAEUは、ロシア、ベラルーシ、カザフスタン、アルメニア、キルギスタンの5か国で2015年1月1日に正式発足した経済連盟。
で、もちろん、これを西側は嫌った。2015年の発足の時、どうなんだろうと思ってみていたが、西側では殆ど記事にならなかった。
EUはどんどん東方に拡大していいのに、なんでロシアが仲間を集めるとソ連になりたいのか~とか言うんだという話しなんだけど、要するに、ロシア、ベラルーシ、ウクライナの3兄弟+カザフスタンが再びくっつくことを西側は嫌がっている。
ウクライナを2014年に破壊し始めた理由の一つは当然そこだろうとも思う。カーター政権の安全保障問題担当大統領補佐官を務め、アフガニスタンの大混乱を画策した、反ロシアの代表者として名高いブレジンスキーは、ロシアはウクライナがなければ大国にはならないという考えに固執していたとは広く知られているお話。
実際それが黒海のことを指すのなら、多分かなりそうなのかもな、と思う。
が、西側が頭がおかしくなりそうなぐらいウクライナ(またはウクライナとベラルーシ)に拘り続けたことにより、結果として、ロシアの脱・欧州が進み、よりいっそうユーラシアにフォーカスした、より一層アジアに軸足を移した21世紀のロシアが達成され、それが、中東まで含めたユーラシアの各国との連携や協力を促進し、もって、強いユーラシアの形成に著しく寄与していくこととなった、と言えるんじゃなかろうか。
中国は別として、イランやトルコといったどちらかといえば過去100年西側に向いていた(一見そうはみえなくても)国々が、今般のNATO大乱闘で知らん顔をしているというのはとても示唆的だと思う。
トルコなんかNATOなのに制裁に加わってない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/29/e5/06da55f819bd94cfabec7aae3824df37.jpg)
ついでにいえば、ギリシャの海運業者がロシア産原油を運びまわっていることが知られている。
いろんな港を経由して、ロシア産じゃありませんという体裁にしてヨーロッパに売る。ヨーロッパは直接ロシアから買うよりずーーーっと高額なものを買う。各国ではなく思想統制委員会みたいなEUはこれも止めさせたいが、そうしたらマジで危機になる国も出るためそこまではできない模様。
■ ユーラシアの貿易機構を整備したいらしい
プーチンは、EAEUとの交流をもっと密にして整備していくことの重要性を当然のことながら説いていた。
Putin suggests creating Eurasian Export Center, trading houses
ユーラシアの輸出センター、交易機構を考えること、ユーラシアの再保険会社を作っていくこと、国境を越えた経済特区の開発を研究すること云々、といったことを言っている。
"It is advisable to develop institutions for key growth point common for the [Eurasian] continent, including to think of creating the Eurasian Export Center and trading houses, expedite efforts of establishing the Eurasian reinsurance company and study the issue of developing cross-border special economic zones, probably even with supranational powers," the head of state said.
私としては、この再保険の話は重要だなと思ったりする。どうして西側がかける制裁が貿易を制限していくことになるのかというと、金融屋が金を貸さない、信用状発行しない、といったところもネックだけど、船舶を運行させないことによる部分も大きいんじゃないかと思う。
どうして船舶が動かないのか。それは保険屋が保険を引き受けてくれないからというのも一因だろうと思ってた。そして、保険屋もコンテナも物流業界のノウハウも圧倒的にヨーロッパ北西部が強い。そして揉めたらその北西部の仲介裁判所とか商業裁判所とかに判断を仰いで金の清算に至る。
こういう仕組み、こういう慣行、こういう信用が西側の優位性を支えてきた基礎だと思うんだけど、ここのところ、ロシアに対する異常なヘイトに支えられそれらの判断がおかしくなってる。つまり、自分で信用を毀損している状況が続いている。
南シナ海、インド洋は中国人、インド人が踏ん張っていくだろうと思うけど、黒海(または黒海を含む東地中海)は西欧州とユーラシア(ロシア、トルコ、イラン)のバトルグラウンドとなって、このままいくと後者が優勢になるオッズが高まっている、って感じだろうか。
そうであるのなら、強いユーラシアを作った1つの大きな要因は、ロシア欧州部をロシアから離して解体したいという飽くなき欲望だったと言えるんじゃなかろうか。アホやねんな、ほんと。
ということで、なんというか、過激派(文筆)の言葉に乗せられ、ヘイト文学を読まされている間に、世の中は変わっていくんだなといったところ。
■ オマケ
twitterで拾ったんだけど、アムール川の中国側の黒河市から、ロシアへのメッセージが送られたよ、とロシア側のブラゴヴェシチェンスク市の人が撮影した動画らしい。
Russia, we are with you、という意味だそうだ。中国人は「俄罗斯,我们与你同在」と書いていた。
"...over the Amur between Blagoveshchensk and Heihe from the side of China"
— ₦₳V𝚜𝚝é𝚟𝚊 🇷🇺 (@Navsteva) May 27, 2022
it says "Russia we are with yoU" pic.twitter.com/oeeHZaQytz
良き隣人の振る舞いじゃないですか。
中国共産党はできるだけ中立的にふるまってるけど、中国の一般人は結構、ロシア頑張れ、って感じで見ている人が多いと言われてる。もちろん全然驚かない。
そうそう、アメリカ人他の西側の人は、ロシアと中国がくっつく理由はそれほどないんだから離せる、みたいなことをわりとマジで言ってるわけですが、いやぁ、近代においてとても関係の深い間柄でしょうに何を言っているんだい、と私はニマニマしながら見ていたりする。
ここらへん、ご都合主義の歴史ばっかり語ってる西側の欠点だと思う。プロパガンダやってるうちに、本当に無知になっていって、無知であることにすら気づけなくなる。