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グレートゲームv.2.2: ロシア、イランにS300禁輸解禁

2015-04-14 13:40:41 | アジア情勢複雑怪奇

2007年から売るの売らないのと懸案になっていたS300は、ついにロシアからイランに輸出されることになった模様。

ロシア イランへのミサイル輸出禁止を解除
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150414/k10010047551000.html

ロシア大統領府は13日、プーチン大統領が、高性能の地対空ミサイルシステム「S300」を、イランへ輸出することを禁止した措置を解除する大統領令に署名したと発表しました。


<中略>

米がロシアに懸念伝える
ロシアのプーチン大統領がイランへの高性能の地対空ミサイルの輸出を禁止した措置を解除したことについて、アメリカ国務省のハーフ報道官代行は13日の記者会見で「ケリー国務長官がラブロフ外相と電話で会談し、現段階での解除は建設的ではないと伝えた」と述べ、ロシア側に懸念を伝えたことを明らかにしました。
一方でハーフ報道官代行は、ロシアがミサイルを売却したとしても、イランに対する国連安全保障理事会の制裁決議の違反には当たらないという認識を示しました。
そのうえで「今回のことが交渉当事国の結束を乱すことはない」と述べました。
今回、アメリカがロシアへの厳しい批判を避けた背景には、イランの核開発問題の最終的な解決に向けて今後も難しい交渉が続くことから、この問題でロシアとの対立を深めることは得策ではないという考えがあったとみられます。

 

この禁輸措置は、上の記事内にもあるように、国連安全保障理事会の制裁決議への違反にはならない。なぜなら、制裁措置の対象になっていたものではないから。だから、ロシアが片務的に、自ら進んでやめてました、という措置だったので、対イランの話の枠組みが決まったんだから、元に戻しますというのがロシアの言い分で法律的にはどこも責められない。

むしろ、2010年に西側と歩調を合わせてイランに対する防空システムを引き渡さないという決断が不可思議といえば不可思議で、これについて、ロシア国内では批判する人もいたような話。

今から考えてみると、要するにあそこで引き渡してイランに防衛力をつけて、さらに対リビアの国連での交渉でメドベージェフが譲らなかったらこんな混乱にならんかった可能性があるような気もする、とか思ってみたりもする。

でもこのメドベージェフを代表者とする西側融和路線の失敗によって、このいわゆる大西洋主義者の一群はロシア内ではもう全然信用がなくなって、要するに、総崩れとなったのだし、これはこれでロシアはロシアだ派から見ればまぁいいか、だろうし、もっと大きくみれば、これによって大西洋主義者という群れがユーラシアにとって(ひいては一部欧州諸国にとって)いかに危険な存在だったかがかなり表層化したとも言えるので地域の安定のためにはそれも+かもしれない。これに至る犠牲者はリビアのカダフィー、シリアで亡くなった人々、そしてウクライナ東部で亡くなった人々、と。カダフィー(またはカーザッフィー)が亡くなった時、プーチンが文字通り激怒していたことを思い出す。

 

ミサイル防衛システムに戻ると、ロシアはイランにS300、中国にS400を売ったことになる。でもって、本国はS500でシールド作るんだそうだ。シリアも買いたがっていたが売却しないのは、むしろ事態がまだ流動的だという意味だろうと思う。

この先のイランがらみの話題は、上海条約機構の正式メンバーになるという話が来るんでしょう。イランは現在オブザーバー参加だけど、正式加盟に至らない理由は国連の制裁を受けている国は加盟させません、というものだったからこれが解除されれば加盟を却下する理由がなくなる。

で、その次かその前か横かわからないけど、ロシアがイランに対してユーラシア連合に入りませんか、と来るんじゃなかろうか。

ちょうど1年前こんな記事を書いていた時には、まだ多くの人はウクライナを巡る冷戦か、みたいなことを言っていたわけだけふぉ、私はやっぱり1年たっても、現在の事態はどちらかといえばグレートゲームの方だと思ってる。

冷戦というよりグレートゲーム v.2.2

でも、前回のグレートゲームと違って、破壊型じゃなくて交易圏を通して近隣の主権国家同士が話し合いませんか的な仕立てが透けてみえる。これはつまりロシアの戦略なわけで、常に後ろにあるのは一極構想というキチガイ構想をとん挫させるという目標だと思う。

何回も同じことを書いているような気がするけど、2014年のユーラシアで一番大きな出来事はこれだと私は思ってる。

グレートゲーム v.2.2:NATO、イランとロシアにカスピ海から締め出される

で、その上でロシアがユーラシアにシフトしてきた余派は実に大きかったというのが私の2014年の結論。

ロシアがユーラシアに基軸を揃えてきたことの余波

 


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