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慧眼:野中広務さんの2009年の認識

2018-01-29 17:22:31 | アジア情勢複雑怪奇

1月26日、野中広務さんが亡くなり、氏についていろんな記事やtwitterを読んだ。

その中で、2009年6月27日に共産党の機関紙赤旗に出たという記事が印象深かった。

阿修羅に文字の書き起こしがあったので、読むならそっちを読む方が読みやすい。

http://www.asyura2.com/18/senkyo239/msg/122.html

しんぶん赤旗 2009年6月27日付の記事の画像はこれ。

(クリックで拡大)

 

いろいろあるが、ここが興味深いし、当然ちゃ当然だがよく見てる。


 最近、この国のこれからの平和を考えるうえで、僕が一番恐れているのは米軍再編です。米軍は米本土にあった米陸軍第1軍団司令部を座間(神奈川県)に移転させ、そこへ陸上自衛隊の司令部を集結させました。かつて日本は傀儡(かいらい)国家である「満州国」をつくり、そこに関東軍司令部を置いて、中国大陸を植民地化していく橋頭塗(きょうとうほ)をつくりました。あのときの日本の植民地政策と同じ考え方ではないでしょうか。当時と違うのは日本政府が、この米軍再編に3兆円ものお金を出そうとしていることです。

 (民主党前代表の)小沢(一郎)さんは、国連の下でなら自衛隊を海外に出してもいいなんておかしなことをいっています。こんどの総選挙で民主党が政権をとってもわれわれにとっても何の展望も開けないでしょう。また政界再編なんていっても、本当にまともにこの国の行方を決める政治家の集団はできないんじゃないかと思います。

 日米間には現在、安保条約があるだけで、平和友好条約はないです。やはり日米平和友好条約を結べる環境をつくらねば、日本はいつまでたっても米国と対等になれないと思います。

 

要するに、米軍と自衛隊が一体化していっている上に今日(2009年当時でも)の政治状況があることの意味をよーーーく知って、そして危機感を抱いていた、と。

そして、それを満洲国と同じじゃないかという視点も素晴らしい。つまり、アメリカが日本を傀儡国家として、外に出る時の橋頭保にしようとしている、と思ってるわけでしょ。そして、満洲国は日本の持ち出しだったが、アメリカと日本の場合、日本の持ち出しという日本にとってはバカみたいな、アメリカにとってはメリットありありという関係になってる、と。慧眼ですがな。

さらに、国連の下なら自衛隊を海外に出してもいいじゃないかという議論を日本に持ちこんだ小沢に対する疑念、憤懣もまったく正当だと私は思う。

日米関係の底の底をほじくり続けたジャーナリストの末浪靖司さんとIWJの岩上さんの動画は素晴らしいと前に書いたが、このおじいさんが岩上さんとのいろんなやり取りの中で、何かの文脈で、国連って書いてありますが、これは事実上米軍のことです、あんた、国連なんてな看板、こんな看板をあげて戦争するような国はアメリカしかありまへんがな、と言っていたのも現実をよく見てると思った。

そういえば、末浪氏も京都の戦前生まれの人。多分末浪さんは市内の人ではないかと思えるので、野中氏の出身地とは離れているだろうし年齢も違うが、戦後という時代を目いっぱい認識できたおじいさんの発言は実にリアルだ。

「日米指揮権密約の研究」by IWJを視聴した

「日米指揮権密約の研究」by IWJを視聴した (2)

 

「こんどの総選挙で民主党が政権をとってもわれわれにとっても何の展望も開けないでしょう。」というのも、実は2009年の私もそう考えていた。というか、私はこの時、民主党が勝つべきではないと思っていた。こういうバラバラな体制で勝っても崩されると思ったから。

歴史好きの私としては、怖いのはクーデターじゃない、カウンタークーデターだ、と思っているんです。怖いというか、効果が絶大なのは、という意味。

226がまさにそれでしょう。カウンターを取る側からしたら、一旦やらせて、その収拾にことよせて戒厳令を敷いたでしょ。ああいう具合。

諜報機関がしかける謀略ってだいたいこういう感じなんだと思うんですよね。蜂起させて、それを粉砕することで敵なしで実権を取るの。考えればわかるんだけど、蜂起する側を潰して実権を取るんだから、そこには敵がいなくなるの。だから、一回やらせろ、って感じで構えている人たちがいる場合には、よくよく注意しないとやってもうまくいかん、むしろ逆になる、とか思うわけですよ。で、実際なったのに、このメカニズムがまだ理解できていないっぽいのが旧民主党サポーター、というのが私の認識。

 

最後もいい。

幕末から明治にかけて、「富国強兵」が国是となって日清・日露戦争に突入し、その結果が「満州国」という傀儡国家をつくる、あるいは朝鮮半島を植民地にするという狂った時代をつくり上げてしまいました。美化された明治の改革であったけれども、このときのスタートがあの戦争の敗戦まで至っていたのか、と思うとき、そこに焦点を当てて、もう一度、歴史を学ぶ必要があります。

まさしく、現在私たちがそうすべきだと思いはじめたことを2009年にはほとんど覚悟を決めて(だって赤旗に出るって覚悟でしょ)話してらした。

ご冥福をお祈りします、と締めるのが良識ある大人なのかもしれないが、しかし、私はまだ冥福は祈らないことにしたい。野中さんを忘れない、氏は生きていると思いながら考えることが、おそらく私たちの力となるだろうから。死せる野中、人を動かすとなるべき。

 


 

 


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2 コメント

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また一人。。。 (私は黙らない)
2018-01-31 06:53:34
久方ぶりの帰国のさ中、訃報にあいました。あぁ、また一人、今の日本に苦言を呈することができる貴重な存在がと思っていたところ、こちらで赤旗の記事を読んで、眼がしらを熱くなりました。一字一句、胸に沁みます。
野中さんがおっしゃっているアジアに対する日本の戦争責任の話、これが政治の根っこにないといけないと思います。今回、帰国して、あまりの外国人観光客の多さに驚きました。観光客のみならず、店員の多くがアジア系の店もあり、私が行った時も、インド系の店員に出迎えられ、韓国系の店員に商品説明、レジ係は中国系で、ここは一体どこ?と苦笑しました。かたや、通りを隔てた本屋に行くと、えっ?と目を疑うようなタイトルの本(アジアの隣国に対するヘイト本)があったりして、この状況は一体どう理解したらよいのか。経済上の密接な関係と、嫌韓反中的な空気と、この相反する事象をどう捉えるべきか?私には、アジア系の観光客の落とすカネとそのカネで潤う日本人の関係が、どうも上滑りな気がしてなりません。それを思う時、野中さんの残された言葉は大変重いものになります。今の自民党には、野中さんがいない、アジアとの関係について、本質を語れる人がいないし、戦争経験者も、一人ずつ消えていくだろうことを思うと、この先どうなるのか、とても心配です。
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ちゃんとした人がまた一人いなくなった (ブログ主)
2018-01-31 14:59:08
お久しぶりです。
野中さんは、日本がよってきたったところを包み隠さずさらけ出して、その上で友好をという人なんでしょう。だけど決してハトという感じじゃない。そこらへん眉毛の村山さんとも似てると思う。
結局、この路線が一番独立志向だと思うんですよね。まず近隣との信頼関係がなければ独立できないというメカニズムを理解していた(密約等も含めて、だと思う)。

おっしゃる通り、この先ほんとうに心配ですが、1世代はまずうまくはいかないと見通して、その次につなげるしかないと思う。
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