黒い瞳のジプシー生活

生来のさすらい者と思われた私もまさかの定住。。。

新しい父との心の交流

2011-02-27 23:55:11 | 思索系
大河ドラマ「江 ~姫たちの戦国~」。
このたびの題材は、浅井三姉妹と彼女らの新しい父
柴田勝家との心の交流のようであった。
年号はまだ「本能寺の変」より改まっていない
ということで、江の年齢は10歳ということになる。

柴田殿を父とするということで、
江たちの身元も越前・北庄城に移ることとなった。
柴田勝家が北庄城を築き始めたのは1575年のこと。
私の元カレはたしか城が完成して一ヵ月後に
落城したと言っていたが、『江史跡紀行』
(監修:小和田哲男 新人物往来社 2010)には
「城は完成をみないまま8年後に落城している」と
あり、情報が一致しない。
いずれにしても、現時点(1582年の秋)では
北庄城はまだ完成していないということにはなる。
『国際理解シリーズ③ 日本の地域と生活文化』
(著:別技篤彦 帝国書院 平成3年)によると
そもそも中世都市の多くは「多くの農地を含む
郷村の連合から」なっていたそうで、
「一方で繁華街的なものをもちつつ、他方では
村落的性格も兼ね備えていた」という。
中世の都市が郷・庄・荘となどと呼ばれるのも
このためで、北の庄は「北の庄三か村」と
呼ばれていた――ということである。


このたびの話題は江たちに新しく父ができるという
話であった。幸か不幸か私自身にはそのような
経験はないものの、新しく姉ができるといった
経験なら成人してからようやくできた。
しかしながら――私は(人に頼まれたのではなく
自発的に)新しい姉さんを「姉さん」と呼ぼうと
思いつつも、なかなか呼ぶことができなかった。
私は別に新しい姉という存在を受け入れられないと
思ったことはないし、新しい姉さんのタイプ自体も
決して苦手なタイプではなかった。
しかし、なんといっても「姉さん」不在の時代が
20年以上続いたため、「この人は姉さんなんだ」
という頭の切り替えがすぐには出来ない。
おそらくはドラマの江もお市の方も、
なにより「この人が父(あるいは夫)なのだ」と
頭を切り替えることが出来なかったのだろうと
感じる。

これはたしかNHKの「タイムスクープハンター」
なる番組で昔知りえたことだろうか、
戦国時代の巷には女性を誘拐してどこぞに
売り飛ばす輩が存在した――という記憶がある。
それは日本が多少国際化していた時代のことなのか
誘拐された女性は、国内ならまだしも最悪の場合
東南アジアあたりまで連れていかれたらしい。
(私の父の指摘を信じるとして)
仮に馬に「帰巣本能」があるのだとしても、
女の子が良質の服を着て馬に乗って一人で夜道を
さまよっていればそれは「いいカモ」になるので、
女の子の周囲は心配するはずである。

新しい父を受け入れられない気持ち、
「父上」と呼ぼうとして呼べなかった心の葛藤、
それがどんな感情にしろ、思いがあまりにも
強すぎると、周囲が見えなくなることがある
(だから「自分の行為に対して周囲がどのような
気持ちになるか」ということにまで
注意が行き届かなくなる)。
しかし、ドラマの勝家が諭したように
人の上に立つ者には周囲への気配りがどんな時も
求められる。かく言うドラマの勝家も家臣の話を
うわの空で聞いたりしていたけれど――
江に遠慮なく(そして父親らしく)叱ったことにより
勝家とお市の方たちとの心の壁が消えたという
印象である。ふつう、先に述べたような
「頭の切り替え」は時間を要するものではないかと
思うところだが――江の行方不明という
共通の非常事態が、結果的には勝家とお市たちの
絆を深めたといったところだろうか。


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