歩くたんぽぽ

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ジレンマⅠ 原作と映像化の狭間

2018年10月14日 | 日記
ジレンマとは、

「 二つの相反する事柄の板挟みになること(コトバンク)」である。



最近自分がいかに一貫性のない人間かということを痛感している。

何でも前もって決めておかないと、自分というコンセプトが霧散して消えてしまいそうだ。

ヒトは大なり小なり多くの矛盾を抱え、日々立ちはだかる様々なジレンマに思い惑う。

おおげさか、それでも主知的であろうとすればするほど早急な選択を迫られる。

お前は、右と左どちらに進むのだ?

どうあるべきかなんてそこら辺の石ころくらいどうでもいいはずなんだけど。

改めて周りをぐるりと見回すと、ジレンマはそこら辺にゴロゴロ転がっている。



私は本、映画、漫画、ドラマ、アニメなど娯楽と名のつくものはだいたい好きだ。

それらについて考えるときの留意点は、私が原作原理主義的な性質を持っているということ。

何より原作に重きを置いているため、二次的な創作物に触れるときその目がキッと厳しくなる。

原作と映像化と銘打ったが、ここでは本や漫画の映像化ということだけでなく、

映像作品間におけるオリジナルとリメイクという観点も含める。

兎にも角にも原作、オリジナルこそが本物であり価値があるのだと思い込んでいるわけだ。



映像化や実写化、リメイク作品の原作を知っている場合、今までは必ず原作と比べその違いを指摘し、

そこに発生するある種の優位性に満足していたが、最近それが単なる錯覚に過ぎなかったのだと感じている。

原作を知ってるからって何様なんだろう。

むしろ感想が「原作と比べてどうか」だけだとすると、かなり貧弱な物の捉え方をしていることになる。



よくよく考えると私の原作原理主義もいい加減なものだ。

士郎正宗の原作漫画『攻殻機動隊』より、押井守監督のアニメ作品『Ghost In The Shell』の方が好きだし、

ここ最近で特に面白かったアニメ作品『メイドインアビス』もWOWOWドラマ『イアリー、見えない顔』も、

原作があることは知っているが読んでいないし、今の所読むつもりはない。

つまり自分が原作を好きな場合にのみ発動する自分勝手な原作原理主義、というより、もはやただの趣味人だ。



思い込みは激しいが欲張りなのが功を奏した。

原作は大事にしなければいけないという思い込み、あるいは原作への崇拝と、

面白いものはなんでも知りたいという欲張りな精神が拮抗している。

その性質が「もっとまっさらな気持ちで鑑賞しなさい」と私に語りかけてくる。

「さすれば、もっと面白いものに気づくことができる」と。



原作への敬意は忘れてはならないが、作品という観点から見ればオリジナルもリメイクも同列なのだ。

基準は面白いかそうでないかだけのシンプルな世界のはず。



以前に書いたがNHKのスペシャルドラマ『満願』シリーズは素晴らしかった。

原作という器の上で様々なクリエイターが新たな物語を構築する、それが映像化であったりリメイクなのだ。

それはときに新たな表現への挑戦となるわけで、端から否定するなんて無作法極まりない、のかもしれない。

先週から始まったNHKドラマ『昭和元禄落語心中』でも見てみようかしら。

私が落語を好きになったきっかけの作品だ。



少しだけ頭が柔らかくなったところでまた一つ、最近漫画原作の映画やドラマが多すぎるような気がする。

その売れ線志向には、やはりどこかもやもやしてしまうのも事実。

また、どんなに頭でわかっていてもオリジナルとリメイクを全く別物として切り離すのは至難の技である。

まだしばらくは原作と映像化の間で思い惑う日々が続きそうだ。




ドラマ『昭和元禄落語心中』
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