歩くたんぽぽ

たんぽぽは根っこの太いたくましい花なんです。

2月の朝霧

2015年02月13日 | 日記
朝日が登りまた1日が始まる。

この頃は7時くらいの空が驚くほど綺麗だ。

薄く広がる水色に東の方からピンクのグラデーションが攻めてくる。

仕事に出かける時、半分寝ぼけながら家の扉を開けると目の前に広がる唐突な景色に目を覚ます。

ある程度太陽が昇ってくると色はピンクからオレンジに変わり、

マンションやオフィスビルによってつくられたオレンジの閃光が無数に現れ町を一気に染めあげる。



町全体が目覚めるにふさわしい静かで唯一無二の美しさ。

圧倒的な美しさは時に残酷な結末を予感させる。

一つの星が生涯で一番輝くのが爆発する前だなんて皮肉な話だ。

ロマンチストの戯れ言か、映画の観すぎか。



しかし今日の朝は少し違った。

まず扉を開けた瞬間湿り気を帯びたコンクリートの匂いがかすかにした。

匂いは人の感覚を敏感にする。

このことについて科学的な証明があるかどうかは知らないけど、私はそう考えている。

記憶の中に眠っている場所がぶわっと目の前に現れるのだ。

体に染み付いた感情が否応無しに露わになる。

感情的なものが大きすぎてその記憶が本当に起こった出来事なのか、そうでないのかもよくわからない。

コンクリートの湿った匂いもまた私には大事な記憶スイッチだ。



私の持論は置いておいて、今朝は空の具合もやはり違った。

寒々とした2月の朝、霧が降り注ぐ町に太陽は優しく光を当てる。

靄がかかった視界の中で、朝日はいつもより曖昧なグラデーションを描いていた。

こんな朝は人々の目覚めも穏やかで心地よいに違いない。

製造中止になったiPod ClassicでSigur Rosの「All Aright」を流して、さぁ今日も歩いていこう。

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