歩くたんぽぽ

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日本戦後サブカルチャー史

2014年11月05日 | 日記
「サブカルチャー」という言葉をよく耳にするが、

その言葉の意味をきちんと考えた事があるだろか。

便利でかっこいい言葉なので、いろんな人がいろんな場面で使う。

しかし聞けば聞くほど私にとってはつかみ所のない曖昧な言葉となっていった。

そこには何とも言えない違和感がいつもつきまとっている。

ただアンダーグラウンドな文化の事かなという漠然としたイメージだけは持っていた。



最近NHKで「日本戦後サブカルチャー史(全10回)」という番組がやっていた。

講師は劇作家・演出家の宮沢章夫だ。

これがなかなか厚みのある面白い番組だった。

内容は宮沢章夫の独断で進められ、時代を席巻したカルチャーが次々と出てくる。



番組は時代別で区切られ、最終回は2000年から現代まで。

まさに私の自意識が芽生えてからの話であり、私の生きてきた時代にぴったり当てはまる。

話は浅野いにおの漫画『虹ヶ原ホログラフ』から始まる。

そして2003年黒沢清監督作品『アカルイミライ』、イギリスのアーティストバンクシー、

2チャンネル、電車男、初音ミク、ニコニコ動画、DOMMUNEと知っている言葉が次々と出てくる。

演劇界では岡田利規の『三月の5日間』が取り上げられ、時代の変化を捉えていく。



とても気に入った話が一つある。

それは都築響一著『ヒップホップの詩人たち』という本にまつわる話だ。

低迷する音楽業界、アイドルに独占されるヒットチャート、一元化する音楽の価値。

そんな環境下で新しい音楽はどこから生まれてくるのだろうか。

以下引用

ーーー

著者である都築響一は、今いちばん刺激的な音楽は地方から発信されているという。
大手レコード会社やマスメディアの集まる東京から遠く離れたストリートで、
自らが生まれ育った街にとどまり、刺激的なビートにリアルな言葉を乗せているラッパー達がいるという。

(http://honz.jp/22012 読みたい本が、きっと見つかる!HONZ 村上浩)
ーーー

東京に選ばれなかった人たちではなく、東京を選ばなかった人たちの話だ。

日本イコール東京という方程式は、浅はかな価値観の下に成り立っているのかもしれない。

東京で認められて大手のレコード会社からデビューする事が必ずしも正解とは限らないのだ。



宮沢氏はサブカルチャーを他の文化と比較して以下の様に説明する。

●ポップカルチャー:大衆文化
●サブカルチャー:下位文化
●カウンターカルチャー:対抗文化

下位文化とはまたよく分からない言葉が出てきたもんだ。

マイノリティでありながら反抗ではなく逸脱から生まれる独特の文化。

正解や正義、固定概念からの逸脱。

サブカルチャーは時代とともに変化し、大衆に認められる事でポップカルチャーへと押し上げられていく。

そしてどこかしこからまた少数派の支持の下、新しいサブカルチャーが生まれていく。



宮沢氏は「Googleが世界ですか?」という言葉で番組を締めくくる。

世界を動かしている中心があるだけでそれが世界ということにはなり得ない。

宮沢氏は検索結果の最後の方に出てくるものも見るべきだと勧める。



中心があればそれを囲う周辺も必ずある。

そしてその周辺がある限りサブカルチャーは生まれ続けるのだろうと思う。

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