歩くたんぽぽ

たんぽぽは根っこの太いたくましい花なんです。

会いたい人

2012年03月21日 | 日記
私には今とても会いたい人がいる。

それは、雪が解け新芽がうずく頃、去年の4月の話。
私は新潟の妙高高原にて免許を取得すべく免許合宿に向かった。

単身乗り込んだその場所は、想像以上に殺風景で、拭いきれない長い冬の名残が冷たい風を吹かせていた。

単純に私は寂しかった。
大学を卒業し、就職もせずやりたいことを地道に一つずつやっていこうと考えていた。

就職しないのならなぜ大学に入ったの?
それは親から離れ、自分の場所をつくるため。

私は間違っていたのだろうか。
もっと堅実な道を選ぶべきだったのか。
自分でも分からなかった。

私は心細かった。
そんな私にその場所はぴったりだったのかもしれない。
久々に見る田舎の風景と地元のやんちゃそうな高校生に背を向け、
見る限り続く国道18号を眺めながらその場所に来てしまったことを後悔していた。

そのタイミング、その場所で出会ったのが、二つ年上のみやさんである。
気だてがよくしっかり者のお姉さんで皆に「みやさん」「みやさん」と慕われていた。
たまに見え隠れする彼女の影が私を安心させてくれた。
酒も飲めない、娯楽という娯楽もない、自然に囲まれたある種禁欲的その閉鎖空間の中、
宿舎となるペンションの玄関でストーブをつけ長い間語り合った。
今までやってきたことや、これからの夢、価値観や恋の話。

彼女には何でも話せた。
彼女と話すことで私の頭の中で凝り固まっていたしこりが軽くなっていった。
人見知りに関しては絶対の自信を持つ私が、2週間という短い期間でこんなにも人を好きになれるんだと驚いた。

合宿が終り彼女と別れる頃には、妙高高原にもすっかり春が来て風も暖かくなっていた。


今私は彼女に会いたい。
そしてまた他愛無い話をしてバカみたいに笑いたいのだ。
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