中村正直の「頑張れプロ野球」

ベテラン野球記者の本音ブログです。

鳴尾浜レポート…その2

2009-01-20 17:48:16 | Weblog
 「デスク指令」により、鳴尾浜へ行ってきた。今年2度目である。ルーキー・蕭一傑の初ブルペンを見たのだが、その模様は21日付けの紙面を見ていただきたい。感想としては「ピンとこなかった」という程度。ユニホームを着ての練習姿を見てみないと、何とも言えん。

 それより、去年から注目しているプロ2年目・高浜の元気な姿を見たのが、収穫だった。両ひざを痛めたルーキーイヤーの去年は、満足な練習ができなかったという。一番練習しないといけないのに、何もできなかった高浜の無念は、想像に余りある。そんな彼が、同級生・森田と一緒に汗を流していた。ランニングに精を出す姿に、練習できる喜び、のようなものを感じた。

 去年も書いたと思うが、個人的には彼の素質を高く買っている。以前、横浜高の名将・渡辺監督を取材した際、高浜を「センスの塊」と評していた。あの言葉が忘れられないのだ、今でも。高校当時からケガが多い選手だったようだが、それらが
治って頑丈な体を作り上げれば、必ず台頭してくると思う。

 自主トレを続ける選手たちを視察?しにきた八木コーチに、高浜をうまく育ててくれるように頼んできた。何の縁もないおっさん記者に言われるまでもないとは思うが、やってくれるだろう。

 主力級で顔を見たのは、関本や江草、渡辺、杉山といったところか。おっと、目についた選手がおったな。金村大よ。ブルペンでいきのいい球を投げていた。彼などは安芸からのスタートだろうが、頑張ってほしいな。若手の突き上げがないと面白くない。また、鳴尾浜へ行ってみてこよう。

プロ5年目・能見の「生き残る道」は…

2009-01-19 15:09:19 | Weblog
 暖かい沖縄で、虎の何人かが自主トレに励んでいる。詳細は、デイリースポーツで若手虎番・田中が書く原稿を読んでいただきたいのだが、そこに1人気になっている選手がいる。今年でプロ5年目を迎える左腕・能見だ。

 この選手がルーキーで、開幕3戦目に先発するというその日、彼の出身地・出石へ取材にでかけた。その前年に大型台風に直撃され、大きな被害が出た地を歩きつつ、デビュー戦をラジオで聞いたのを思い出す。開幕カードでプロ初先発させるほど、当時の岡田監督も期待していたのだが、その後の成績はというと、期待を大きく裏切るものと言わざるをえない。

 いいものは持っているのだが、もうワンパンチ足りない。自身の代名詞と言える球がないんだな。たとえそれがなくても、きめ細かいコントロールがあればまだいいが、それもない。あのタイプには珍しく大まかなのだ。これは能見に限ったことではなく、杉山などにも同じことが言える。

 彼らが「殻」を破れない理由は何か。これまで何度も考えたが、さっぱりわからない。ま、素人にわかるようなら、とっくにプロの投手コーチが何とかしているだろうけどね。大事なのは、本人たちが「変わろう‼」という意志を強烈に示すかどうかだと思う。それが、髪をバッサリ斬ったり、ヒゲを生やしてみたりするといった外見的なことでもいい。何でもいいんよ。とにかく「チェンジ!」を目に見える形で実践することだ。

 プロ入り5年目の今年が、能見にとってはラストチャンスになるだろう。もし全く変わらずにシーズンをすごすことになれば、来年以降の保証はない、と断言する。監督も代わった今年は、本当の意味で正念場。あとはないぞ、能見くんよ。

「斜陽」を感じる天才ジョッキー

2009-01-18 16:18:50 | Weblog
 土日に休みがもらえると、好きな競馬で一日を楽しむ。「楽しむ」という表現は少し語弊があるか。ほとんどは「忍耐」と「我慢」の時間で、ごくたまに、楽しむときもある。きょうの場合は、いつもの「忍耐」の方。午前中のレースからメインまで、さっぱり当たらない。これが日常だから、別に落ち込みはしないのだが、負け方が悪い。内容が悪すぎる。これはいかん。

 ブツブツ言いながら、テレビで競馬中継を見ていたのだが、この日から復帰した武豊には少しガッカリした。昨年末に落馬負傷し、その影響が残っているというので騎乗を控えていた。それが復帰してくる。しかも厳選3レースだ。当代一のジョッキーが選んだ3鞍だから、当然人気する。この日の5レースなどは、超良血馬に乗りながら、5着惨敗。その後も、6着、15着と馬群に沈み続けた。

 昨年、武豊がG1を勝ったのは、ヴァーミリアンのフェブラリーS、JBCクラシック(だったかな?)、そしてウォッカの天皇賞・秋だけじゃなかったか。まだ、G1とか重賞なら狙えても、平場のレースではほんとうに来なくなった、と感じて仕方ない。年間130勝もしているのだから、これは錯覚にすぎないのだが…。

 ただ、昔のようにバンバン勝つというイメージはもはやない。「斜陽」という文字がチラチラ浮かべるのは、このおっさんだけだろうか?東に三浦皇成という超新星が現れ、西の天才はこれからどうなっていくのか…。ずっと武豊を見てきたオールドファンは、ちょっと心配なのである。

14回目の「1・17」

2009-01-17 07:49:40 | Weblog
 人が「生きる意味」を考えながら、手を合わせ、目を閉じた。約1分間、身じろぎせず、そうしている姿を他人が見たら、不気味がって逃げ去ったに違いない。目の前に流れるのは「神崎川」。その向こうに、神戸がある。ラジオで時刻を確認して、午前5時46分の時報と同時に黙とうした。

 いつものウォーキングコースを、この日だけは変えて「神戸方面に行く」と決めていた。時刻もあの午前5時46分の1時間前に出発、自宅のある吹田から歩けるところまで歩く決意をした。というほど大袈裟なことでもないが、せめて、神戸方面に歩いていき、その最中にその時刻を迎えたい、そう思っていた。

 「尼崎」から「摂津」にかけて流れる神崎川沿いに、自転車道がある。そこをいつも歩く。あの阪神・淡路大震災から14年。去年は昼に普通の道路を歩いたことを書いたが、今年は自動車が通らない自転車道を早足で歩いてきた。黒のグラウンドコートを着込み、黙々と歩いた。もし、神戸の会社で大地震に遭い、帰宅困難者になったらどうする。歩いて大阪まで戻ることができるのか…。普段の備えはどうなのか…。もし自分の家族が自分のいない間に被災したら…。いろんなことを考えながら、脇目もふらずに歩いた。

 あの日は転勤先の東京にいた。遠く離れた神戸が燃えているのを、テレビで見た。阪神高速がひっくり返っていた。三宮が壊れていた。三宮駅前にあった我が社のビルが、放心状態で突っ立っていた。「失業した…」と即座に思った。その後、約6000人にも及ぶ命が失われたことを知り、呆然とし、戦慄した。
 
 ある小説にこんなフレーズが書かれている。「人は、忘れる。悲しいほど、忘れる」。時間が経てば、どんなに楽しいことでも、苦しいことでも、辛いことでも、忘れてしまう。それが人間だ、という。完全に忘れないまでも、意識は薄れていく、と。

 震災の「風化」が叫ばれている。「14年も経って今さら震災でも…」という人もいるが、これから大きな地震が起きないのなら、辛いことは忘れてしまってもいいかもしれない。しかし、近い将来、必ずまた来る。それが再び神戸なのか、大阪なのか、東京なのか、それはわからない。「地震列島」に住む限り、地震のない安全な場所などない。だから、忘れてはならない。自分を守るために、大切な家族を守るためにも、あの記憶を忘れ去ってはいけない。

 普段は適当なことを言い、書いている私だが、この日ばかりは真剣になる。犠牲になった方々の冥福を祈り、人が生きる意味を考えながら、きょう1日をすごす。来年も、再来年もおそらく同じことをするだろう。このブログを来年も続けていたら、また書く。
 

 

「巨人・大田」の可能性は?

2009-01-16 15:15:39 | Weblog
 2月から始まる「キャンプ行脚」の準備をしつつ、各社が報じる記事をかいつまんで読んでいる(と言っても、目玉マークの新聞は読む気がしない)。読売グループのスポーツ○知の1面に、大物ルーキーと言われる大田がバットを構える写真がデカデカと出ていた。なかなか、面構えがいいではないか。

 いつも言っているように、俺はまず「目」と「雰囲気」を観察する。そして「尻」。この3つを、新人や新外国人選手を判断する基準にしている。大田という選手は今まで一度も見たことがないので、雰囲気はわからない。どんな尻をしているのかもわからん。ただバットを構えたときの「目」はいい。かつての松井ほどではないにしろ、それなりの目をしている。

 その新聞が報じるところでは「2・14デビュー‼」らしい。宮崎キャンプ紅白戦初日に、三塁でスタメンすると伝えている。いいんじゃないの。どんどん出てもらって、キャンプを盛り上げてもらいたい。

 阪神もそうだが、巨人もどんどんこんな若者を使って、強く魅力のある軍団を造り上げてほしいものだ。とにかく、メジャーなんぞにいったヤツらに話題を持っていかれたらいかん。こんなことを書いたら、彼らのファンに叱られるかな。

 阪神の敵ながら、頑張れ大田‼とエールを送ろう。その他の若者たちも、負けるな。頑張って日本のプロ野球を盛り上げてくれ。

新井の「護摩行」に関して

2009-01-15 18:42:27 | Weblog
 各地でプロ野球選手の自主トレが花盛りだ。我々「新聞マスコミ」は、そんな彼らの動きを逐一チェックし、読者に伝えるべく、連日取材にいそしんでいる。今朝、いつものようにラジオをつけると、某局のベテランアナが、各スポーツ紙の1面を見て、こんな感想を述べていた。

 「スポーツ新聞も、そこまで追いかけんでええんちゃうの?新井の水ぶくれの顔まで写真で撮らんでも…」

 正確なコメントではないが、だいたい主旨はこんな感じだった。どうでもいいアナウンサーが言うなら無視もしようが、この方は大の阪神ファンで、この番組のリスナーは多い。影響力がある。関西に住んでいる方なら、どなたかわかるだろう。だから、言っておかないといかん。

 新井が毎年恒例の「護摩行」を極秘でやりたいのなら、何も「自主トレ公開日」としなくていいし、球団も「取材お断り」と通知すればいい。新聞マスコミは「取材して結構ですよ」というところに出掛け、選手と接触しているのであって、無理矢理押しかけているのではない。

 新井の真剣な修行を、ファンの方々にお伝えしたい。彼の今季にかける覚悟を知らせてやりたい。その結果が、きょうの1面になったのだ。「撮っていいよ」「紙面にしていいよ」というものを、指をくわえて見ている新聞記者など存在しない。テレビ局のアナウンサーだってマスコミの一員じゃないか。何でそのことがわからないのか…。俺はラジオにそう突っ込んだ。

 新井だって、毎年の護摩行を皆に見せるためにやっているのではない。取材してほしいからしているわけでもない。ただ、取材を拒んでいないだけで、自分は自分のペースで動いているだけなのだ。これもラジオのパーソナリティーが「新井だけじゃなくみんな陰で努力している」などと、わかったようなことを言っていたが、新井や金本以上のことをしている選手はそういない。それは、他の選手が一番知っている。

 年末、我が社の「猛虎感動大賞授賞式」で、新井と会ったが、実にいい青年だった。30歳を越えた大人に青年というのも変だが、まさに「好青年」という単語がピタリ。苦しい護摩行を耐える新井が、今年どんな姿を見せてくれるか、楽しみにしている。

「新人・上本」の資質

2009-01-14 15:30:53 | Weblog
 一日遅れで、13日に覗いてきた鳴尾浜での阪神新人合同自主トレのことを書こう。我がデイリースポーツは1面で俊足・柴田のことを扱っていたが、このおっさん記者が注目していたのは、ドラフト3位の上本の方。早大卒の彼が、どんな雰囲気を醸し出しているのか。そこら辺を遠くから観察した。

 実際に打ったり投げたりしないと、選手の能力などわからないが、前々から書いているように、成功する選手は一種独特の「匂い」を持っている。「オーラ」と言い換えてもいい。誰にそれを感じたか、と言えば、蕭一傑でも柴田でもない。この上本である。

 動きは地味だった。キャッチボールにしても、ダッシュにしても、目を見張る何かがあったかと言えば、ない。だが「目」がよかった。動いている最中の「目」が、やれる選手のそれに感じた。もちろん、当たりはずれがあるので、100%信じないでほしいが、ちょっと注目に値する選手だとは思う。

 いずれ、鳥谷と彼が「早大ライン」で二遊間を組むようになるのだろう。そのとき、藤本や平野はどこを守るのか。彼らにとって、上本は最大の脅威となるはずだ。スカウトの1人は「思ったより大人しいかな」と話していたが、あの手のタイプは黙々と己を高め、実力を蓄えていけばいい。そのうち、自然とリーダーシップをとるようになる。

 若手の台頭を待ち望む阪神ファンは多いが、はっきり言って、もう桜井などには期待していない。本人がどんな気持ちでいるか、それはわからない。相当の決意でいることだけは確かだが、伸びるのであれば、岡田監督時代に伸びていたはずだ。そこを伸びきれなかった。だから、あきらめる。

 桜井は「出てきたら儲けもの」程度でいい。つまり、助っ人と同じ扱いだ。我々マスコミも、そろそろ扱いを変えなくてはいかんだろう。

 話はコロッと変わるが、ブレーブスと3年契約を結んだ川上。うれしそうだったな。「もっと上のレベルでやりたかった」てか。日本野球は、五輪こそだめだったが、前回のWBCでは優勝したんだぞ。実質的にはまだ「メジャーが上で、日本が下」かもしれんが、あんたがそれを言うべきではない。せめて「レベルの高い日本の野球を見せつけたる!」と言えんもんか。俺は、悲しい。

期待の選手…個人的には「関本」

2009-01-13 17:06:19 | Weblog
 3連休が明け、この日から阪神の「新人合同自主トレ」が鳴尾浜で始まった。彼らの顔を見つつ、虎風荘の山本寮長ら関係者に新年のあいさつをしようと出掛けて行ったのだが、こっちの予想とは違い、取材関係者、1、2軍コーチ、スカウトなどでごった返していた。グラウンドをのぞくと、アマ野球担当で手伝いに来ていた岡本が「ブログ書くために来たんですか?」と言う。何やと?確かにちょっとは書こうと思ったが、その一言でやめた。また、今度にする。

 で、この間予告した通り、個人的な「今年の期待選手」を何人か挙げてみたいと思う。もちろん、阪神で、だ。タイトルにも書いたように、まず筆頭は関本。彼に何を期待するか、と言えば“リーダーシップ”である。

 今年でプロ13年目、31歳になる。現在の選手会長・赤星とそうたいして年齢差はないが、今までは「若手」というカテゴリーに入れ、そんな目で見てきた。まだ実績が伴っていなかったから、年齢だけ適齢期でも、そんな扱いをしてきたわけだ。しかし去年、それなりの実績を作った。もう十分「主力」と呼んでいい。

 今の阪神を引っ張っているのは、金本、矢野、下柳といった「アラフォー世代」。そこに、赤星、新井らが加わって核を形成している。赤星以外、すべて他球団からの移籍選手で、生え抜きが少ない。個人的には、ここに堂々と関本が加わるべきだ、と思っている。

 彼の明るいキャラクターと、率先して動く力は、もはやチームにはなくてはならない。前にも書いたように、今岡より上だろう。そこに、鳥谷が出てくれば、いい“縦軸”ができる。

 彼以外の本当の「若手」では、昨年故障で棒に振った高浜と、2年目の壁にぶちあたった上園。他の選手は、伸びしろが少ないし、もはや伸びたとしてもたかがしれている。高浜あたり、野球ができる環境さえ整えば、大きく成長する可能性があると思うのだが…。今度また、鳴尾浜まで足を伸ばして見てこよう。

 

「上原」と「川上」の今後

2009-01-12 09:35:43 | Weblog
 メジャー球団と交渉していた前巨人・上原と、前中日・川上の所属先が、前者はオリオールズ、後者はブレーブズに決まった。2人が笑顔で出国していく様子が先日、テレビに映っていた。

 ふーん…。このおっさん記者の感想は、以上である。

 関心がないわけではないのだ。野球記者をしている以上、どんなことにも関心を持たないといけないし、一応彼らの動向はチェックしていこうと思っている。だが、それだけの話で、頑張ってもらいたい、とかいう個人的感情はない。それは、取材をしたことがあるとか、ないとかということが原因ではない。「日本」という場所でプレーをしない「日本のファン」に頑張っている姿を見せず、アメリカのファンを楽しませるだけの選手には、特別な感情を持たないことにしているからだ。

 これは、イチローや松坂だって同じ事(松井と藪はちょっと違う)。過去に日本のファンを楽しませたからいいではないか、という方もいよう。己の夢を実現させようとしている選手をそんな目で見なくても、とも言われるかもしれない。それはごもっともな話。俺は器量が小さい、と自覚している。

 だが、日本の野球界の発展をそっちのけにして、メジャー、メジャーと言って海を渡っていくその傾向が、嫌なのだ。メジャーでやることがステイタスなのか…。俺はそうは思わない。日本で一途に頑張っている選手こそ、大きな拍手を送りたい。子供たちが“直接”見ているのは、そんな選手たちなのだ。日本のファンは、彼らを間接的にしか見れないし、応援できない。直接喜ぶのは、向こうの人間だけなのである。

 賛否両論あるのはわかってます。だけど、俺はこうなのだ。だから、上原と川上がどこに行こうが、どんな成績を残そうが、別に心動かない。成功しても失敗しても、ふ~ん、なのである。

 話は変わる。大相撲の朝青龍。初日に勝って、テレビ、ラジオは「よかった」「すごかった」などと大騒ぎしていた。そんなに騒ぐほどの話か?横綱が出る以上、勝って当然ではないか。何を大騒ぎすることがあらん。

「有馬温泉」で、つかの間の休息

2009-01-11 17:38:23 | Weblog
 雪がチラチラ舞っていた。空は青かった。なのに、白いものが落ちてくる。落ちてくる、という表現より、はるか彼方から吹き飛ばされてきた、という方が妥当だろうか。おそらく、日本海に降った雪が、有馬まで風にあおられ、飛んできたと推測できた。有馬の湯にどっぷりつかりながら、そんな雪景色を見ていたら、すべてのことを忘れ、いい気分になった。

 家族総出で「有馬温泉」に出掛けた。3連休の中日。大勢の観光客で渋滞が予想されたが、行きも帰りも全く混んでいなかった。連休とはいっても、不景気な今の世の中だ。温泉でのんびり、という気持ちにはならないのかもしれない。そう考えると、自分たちは恵まれているのだろ。ただ、日頃のストレスなどを思うと、温泉でつかのまの休息を満喫したってバチは当たらない。

 着いてすぐ、室内の温泉につかった後、昼食をはさんでから露天風呂に入った。昼間の酒が、いい具合に身体に染みて、心地良い。外気の寒さと、温泉の温かさがうまい具合にマッチして、疲れをスッと癒してくれた。これでまた、次から懸命に働こうという意欲が湧いてきた。帰り間際になって、チラチラの雪が横殴りに変わった。2人の息子が、弾けるように外へ飛び出して行き、雪とじゃれ合っていた。この光景もまた、心を和ませた。

 たまには、こんなことがあっていい。