中村正直の「頑張れプロ野球」

ベテラン野球記者の本音ブログです。

最強のヒール?朝青龍の「存在意義」

2009-01-26 16:40:39 | Weblog
 一日遅れになるが、やはり「朝青龍」のことは触れないわけにはいかん。彼の復活劇をどのように見たのかと言えば、ムードが勝たせちゃった、って感じかな。場所前の稽古総見のときから「引退がどうの」と騒がれ、場所に入っても新大関・日馬富士を寄り切って一人で話題をさらった。我がデイリースポーツもそうだが、そんな朝青龍を連日大きく取り上げ、ムード作りに一役買った。千秋楽。本割りでもう一人の横綱・白鵬に敗れて優勝決定戦に持ち込まれたが、全体的なムードは、朝青龍が握っていたように思う。

 本割りの相撲を見てもわかるように、今の実力は断然白鵬の方が上だろう。ずぶの素人が偉そうなことを言うようだが、立ち合いからのスピードと重さが全く違う。横綱としての重さというかな。本割りで完勝したことで、白鵬の心にほんの小さなスキが生まれたのかもしれん。

 日本人というのは面白い民族だな。性格的に嫌いなヤツでも、そいつが弱くなると妙に心配したがる。昔の北の湖がそうだった。このおっさん記者は、北の湖が好きだったのだが、友達の多くは貴ノ花や若ノ花が好きだった。しかし、北の湖に陰りが見えだすと、そんなヤツらまで応援しだした。嫌なぐらい強い男。その存在があってこそ、立ち向かっていく者を心から応援できる。「弱い巨人」を見る「強い阪神」のファン心理がそれに似ているのではないか。

 強い「青」がいてこそ、対をなす「白」をもっと応援できる。3月場所もまた面白くなるだろうな。しかし、日本人ももっとやれないものか。頑張れよ、日本力士たち!「青」も「白」も喰らうヤツがでてくることを切望してやまない。