大事小事―米島勉日記

日常起きる小さな出来事は,ひょっとして大きな出来事の前兆かも知れません。小さな出来事に目を配ることが大切と思います。

クリントン元大統領の訪朝は壮大なやらせ―また日本は蚊帳の外

2009年08月04日 19時35分28秒 | Weblog

 今日の新聞報道によると,今年3月17日に中朝国境付近で取材中に北朝鮮当局に逮捕された女性記者2人の釈放を求めるため,クリントン元大統領が訪朝したそうです。
 逮捕された米国ケーブルテレビの女性記者の1人は韓国系,もう1人中国系だそうで,写真を見ても明らかに朝鮮系の顔つきです。
 この唐突なクリントン訪朝は,どう見たらよいのでしょうか。想像をたくましくすれば,これはアメリカが仕組んだ壮大なやらせではないでしょうか。
北朝鮮が,公然と核開発を進め,世界はそれをあれよあれよと見守るばかり。当然,北朝鮮との全ての交渉の枠組みの場となるはずの六カ国会議も,全く機能していません。
 そして,北朝鮮は,かねてから米国との直接交渉のみを主張してきました。
米国はどうするか。そこで編み出したのが,この女性記者逮捕劇でした。つまり,この女性記者達は,最初から逮捕される前提で中朝国境付近をうろついていたのです。そして,アメリカと北朝鮮の間にも,それ以前にシナリオができており,女性記者達は逮捕するが絶対に危害は加えない。そして北朝鮮の国内法に則って,この二人に相当刑を与える。それが労働教化刑12年の判決です。
 この判決が有名無実なのは,この二人の女性記者は,「刑務所」ではなく,平壌の招待所などにいるものと見られる,と読売新聞の8月4日夕刊が1面で伝えています。
 そして,タイミングを計って,米国の要人が女性記者達の釈放交渉のため訪朝する。今回訪朝したのは,現国務長官ヒラリー・クリントンの夫であり,元大統領ビル・クリントンです。ビル・クリントンが大統領当時,オルブライト国務長官が訪朝しており,当時金正日と会談しています。
 なぜ,こんな手の込んだやり方で下米国の元大統領が訪朝しなければならなかったかというと,オバマ政権は,表向き北朝鮮の核開発に反対で,国連を動かして北朝鮮制裁を主導しているのです。しかし,北朝鮮の交渉上手に振り回されて,事態はいっこうに改善しません。金正日を始めとする北朝鮮当局者の頭の中には,米国との1対1の交渉しかありません。
 このままではいけない,米国の威信にも関わる,と考えたのでしょう。裏では,自分の出世,それも共和党のプッシュ政権からオバマ政権に平然と乗り換えても恥じないクリストファー・ヒル元国務次官補の入れ知恵もあったのではないかと思われます。というのは,北朝鮮とのパイプを保持しているのは,ヒルであり,オルブライトであるからです。
 子供の使いじゃないのですから,今回のクリントン元大統領の訪朝が,単なる中・韓系女性記者達の釈放交渉だけのはずはありません。
 しかも,3月の記者逮捕から8月初旬まで,時間の経過はスムーズです。いかにも自然な流れに見えます。しかも,米国の元大統領が釈放を求めて頭を下げに来る。いかにもプライドばかりが高い北朝鮮好みではありませんか。
 この電撃的米国元大統領訪朝で,またまた割を食うのは日本です。結局,拉致問題を始めとして,ミサイル問題,核問題において,日本の立場は完全に無視されてしまいます。松坂投手がいるレッドソックスの大ファンだ,というだけで好意的に伝えてきたクリストファー・ヒルが,ブッシュ政権の最後の最後になって,北朝鮮のテロ国家指定解除,という暴挙に踏み切っても,何も云わなかった日本のマスコミは,愚かとしか云いようがありません。
 アメリカは,口では日本重視と云いながら,それは表向き,真の狙いは中国との連携,北朝鮮問題も,中国の北朝鮮に対する配慮を十分にわきまえたシナリオとなってしまうのではないでしょうか。



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