
草場さん。
サイクルカフェ「プロトン」のご主人だ。
今回の新番組では、草場さんの力を
たくさんたくさん貸してもらった。
今回の番組でまず目指したのは、絶対的に美しい映像でつくる、ということ。
そのために、草場さんのオートバイを
カメラ用バイクとして大改造させてもらい、
元プロライダーの草場さん本人に運転してもらった。
イメージした通りの最高の映像が撮れたのも、
草場さんなしには考えられなかったものだ。
撮影のために何度も、伊豆や伊吹山までオートバイで来てもらった。
1日に500km以上走ったことも何度もあったと思う。
草場さんはそんな時でも、いつも笑顔だった。
決して萎れた顔は見せない。
伊豆での撮影の日のこと。
前日から続く大変な大雨を押して、
草場さんは撮影用バイクにまたがり、6時間かけて全身ずぶ濡れで現場にやってきた。
そして神経のすり減る12時間にわたる撮影が終わり、
みんなでようやく夕飯を食べようとしていたら、
草場さんは「ぼく、今日はこれで失礼します!」と
ふたたび150kmの道のりを帰っていった。
やっぱり笑顔で。
………………
あとで人づてに聞いたところによると、
その日は草場さんがたいそう可愛がっているご子息の
1歳の誕生日だったそうだ。
おそらくあの時間に帰っても、
誕生日のうちには自宅に帰れなかったに違いない。
私は、走り去って行った草場さんの笑顔を思い出した。
その顔から何も気付かなかった自分をふがいなく思った。
草場さん。イノッチ。圭太郎。アボくん。Raphaの矢野さん。TREKの藤本さん。
今までの自転車仲間の力を借りて出来上がる番組。
まずは彼らが喜んでくれるよう、全力を尽くさねばいけない。
番組完成まであと1週間です!
