自転車ひとり旅★

自転車大好きなTVディレクター日記。

この1週間。

2017年05月29日 12時46分20秒 | 自転車



満を持してやってきた「ふじあざみライン」は、大雨。
もともと実業団と一般参加者あわせて200名もいないのだが、
ここにいるのは100名にも満たない感じがする。

私も一瞬は考えた。「出るのやめようか?」

このレース、ツアーオブジャパンを走るプロのレースのゴールを待たなくてはいけないため、
ゴールの富士山五合目で4時間待つことになる。
おそらく標高2000mは暴風雨。
そこで4時間、野ざらしで待つのは嫌だ。


モジモジしていたら、自転車仲間の圭太郎がやってきた。
「Dさん、走るんすか?」
私はすかさずこう答えた。
「あったりめえよ!」


…走ることに決まった私は、雨の中、
ローラー台にバイクを設置して漕ぎ始めた。
おお、脚の状態は思ったほど悪くない。
実は、昨日までは完走できるかどうかわからないほど
体調を悪くしていたのだ。






5月に入ってからは、ロケ中の早朝に走ったり、
撮影後にプロと練習をご一緒させてもらったりして、
脚は順調に仕上がっていた。
このまま仕上げれば、間違いなくあざみで1時間を切れる。

レースまであと1週間。
ここから注意しなければいけない。
このまえの「チャリダー」をご覧になった方は、お気づきでしょうが、
猪野さんはレース直前に和田峠で脚試しをして、
作り上げた脚を使い果たしてしまった。
私も、ここで脚を使いすぎないようにしなければいけない。


心配しても仕方ない。
山口ロケに乗り込む。
2日で300kmを走る過酷なロケ。





体が軽い軽い!
どれだけ漕いでも、もう一度アタックをかけられる!
(注:当社比)
モーレツに強度の高い1日目をなんとかこなして、
2日目はイベントの取材。
ここで想定外のことが起こる。

スタッフが、私が一緒に走るはずの人物を
スタート前のごった返す会場で、見失ってしまったという。

無線から焦ったスタッフの声が聞こえる。
「Dさんすいません!見失ってしまったので、○○さんのこと探してもらえますか?」
困った。わたしゃ会ったことも見たこともない人なのだ。


写真を頼りに、人探し。
こんなの見つかるわけがない。
諦めてスタート地点に戻ると
「あ、○○さんは5分ほど前にスタートしました」


結局○○さんに追いつくために脚を使ったのに、
見つけられないまま先頭に追いついてしまった。
結局50kmほど全力で走るはめに。
しかし、こんなに走れる体を体験したことがないので、
どこがリミットなのか分からない。


「今日は飛ぶように走れるなあ」
と思うたびに、
猪野さんが「羽が生えたようだ」と言って
レース前に脚を使いすぎてしまったのを思い出す。
しかし、走らなければ仕事にならない。
2日間のTSS(トレーニング・ストレス・スコア)は700をこえた。

※1時間全力で走るとTSSは100。1日で300を越えるとかなりキツイ。






案の定、次の日は地獄だった。
バリバリの筋肉痛。
バイクに乗らないとかえって気が重いので
回復走。
しかし、レース2日前になっても脚の痛みが取れないため
前日は完全休養した。



そして、レース当日(大雨)。
コンディションはある程度回復したけど、
あの軽さはどこかへ行ってしまった。
私も猪野さんと同じ轍を踏んでしまったようだ…






レースが始まる。
同じ40代カテゴリーの出走者は16名。
平日に、こんな大雨なのに、日本一の激坂を走るのだから
相当な坂バカたちに違いない。
「私たち、こんなとこで何してるんでしょうね」
といいながら、スタートした。


3km、鳥の壁、17分、250w。
5.6km、馬返し、27分、240w。

恐怖のグレーチングもクリアし、激坂区間が終わり、
残り3km看板でタイムは42分。
1キロ6分以内に走れば1時間を切れる!
これは行けるんじゃね?
と思って走っていたら、
残り1km看板の時点で57分。
終わった……


1時間切りが絶望となった時点で、流してしまった。
1時間1分12秒。


ちなみにスタート前、出ようか迷っていた圭太郎が
自己ベスト49分台で優勝していたのが
せめてもの救いだった。





プロのレースで来日していた
イタリアで取材したメカニックとマッサーと再会。
相変わらず輝くような笑顔で働いていた。



というわけで、1時間切りはまたもお預け!
今年はあざみラインで3回レースがあるので、
秋のレースに向けて、さらに体を鍛えようと思います。
そう、「何があっても自己ベストが出る」ぐらい
強くなれば良いのです。
マグレとか、誤差でギリギリ1時間を切ってもあかんのです。
見てろよ、秋には55分で走れる体にしてやる……★

あざみヒルクライムまであと2日。

2017年05月24日 13時30分36秒 | おしごと日記
待ちに待った日がやってくる。
そう、「富士あざみライン」をのぼる日だ。

去年はどうやってもスケジュールが取れず、出場叶わず。
今年もレースの6月25日に別ロケが決まり、
またダメかと思っていたら、
5月にもあざみラインでヒルクライムが開催される事になった。
なんてこったい、予定を1ヶ月早めて体を作るのって大変だけど、
これは何が何でも出るしかない。


しかし!
5月はロケラッシュで、
都内はもちろん、青森から鹿児島への大移動…。





自転車が必要なロケだったので、
なんとかマイバイクを持参。
ロケが始まる前の早朝5時から練習へ。
6時半にはロケ隊が出発するので、1時間だけですが。





3月後半から搾り始めた体重は、
2週間で5キロ減量。
4月中旬には59キロになったので、トレーニングしながらキープ。
ロケ中も、それなりに走ってないと
体重はすぐに増えちゃいますからね…





実はこのエリア、5年前に「TOUGE」という番組でがっつりロケをしているので
ほとんどの道の撮影ポイントが頭に入っております。
それを確認しながらの、早朝練。
あたらしいポイントも発見できたり。
こうして頭の中に世界中の「道」の貯金ができて行きます。
ほとんど役に立たないけど。





ここで86を撮ってたら、たまたまチャリダーも撮れてしまい、
「Dさん写ってたでしょ?」と言われたポイント。
5年越しだけど、本当に自転車で走ってやりました!



てなわけで、大事なレース直前の期間、
幸運にも早朝練と撮影でがっつり走れました。
はたして7年越しの念願「あざみ1時間切り」は叶うのでしょうか?
そして鹿児島で何を撮ったのか?
そのへんは26日のレース後にでも…★






太平山リトライ。

2017年05月16日 23時10分30秒 | 自転車
奇跡のようだ。
今週も太平山に行けることに!
猪野学氏に少しでも迫りたい一心で、走り出す。
1号機は九州に飛び立ったので、ひさびさの2号機。
スプロケは11-25か…まあ何とかなるでしょう☆



グーグルマップによると、川沿いにはサイクリングロードっぽいものがあり、
それは太平山麓まで続いている。
これは行く価値あり!





ほほう! 良い雰囲気!
ドラマとか撮りたくなります。
幼い子どもたちの、淡い恋の話とか。
部長と平チャリダーのセコい話とか。

…と思ってたら。





素足に草が痛いこと痛いこと。
おまけに地面は砂利道で、滑ること滑ること。
あげくの果てに、工事中で行き止まりになってしまった。


結局普通の道を通り、太平山へタイムアタック!
スプロケは男ギヤ仕様。
パワー計なし。
感覚とタイムを頼りに走る。

1.6kmヘアピン、4分ジャスト。
山門、8分30秒。
トータルタイム、9分19秒。
猪野学氏まであと14秒!

…2号機だから良かったのか?





パワー計を見ないで走ったのが良かったか。
早くからインナーに落として走ったのが良かったか。
もう一度フレッシュな状態で
1号機で走らねばなるまい…


2本目 9分52秒
3本目 9分49秒

さすがに脚がなくなって、おしまい。


次は9分切りを目指しますよ!!

ことしのGW その②

2017年05月10日 22時03分14秒 | 自転車
日曜日。
GW最後の日に、3時間という隙間ができた。


幸いその場所からは山が近い。
一度は走ってみたかった栃木の「太平山」へ向かうことにした。





春の野道は草の匂い。
田園には水か張られ、若い稲がチロチロと風に揺れている。
なんと美しい。
しかし!
ケツ筋、ハム、四頭筋がキュンキュン言い、
私の感動の邪魔をしてくる。
昨日の「幻の白石峠」の疲れがバリバリ残っているのだ。
250Wで踏む→キュンキュン…いつもより1割減な感じだ。

しかし、思ったよりバイクに乗れている感じはある。
体がすぐにフォームになじむ、というか
感動的なほどすんなり走れる。
長距離を走るのって大事だな、と思いながら
信号の少ない道を走る。

26km、50分。
太平山のふもとに到着。
イノッチが「坂バカだより」で走ってたコースとは反対側なので、
とりあえずのんびり上る。





山頂の茶屋街には、たくさんのチャリダーがいた。
番組に出てくれたスカイベリーの人はいないようだ。
山の反対側へ下り、さあタイムトライアル!


1本目 3.50km 10分00秒 260W

キュンキュン具合から、250Wが精一杯かと思っていたが、
思いのほか出た。
しかし!
たしかイノッチは9分05秒だったはず。
1分差はデカすぎる。

「もう一本上る脚はあるか…?」


時間的には行ける=行くしかあるまい。


1本目は、勾配が厳しくなる1.6km地点のヘアピンで
インナー(前の軽いギヤ)に落としていた。
今回は一か八か、アウター(重いギヤ)のまま行ってみる。

ヘアピン。アウターだとちょっとキツイが
踏み倒す。
そのまま勾配はふたたび緩くなる。
ゴール直前の激坂もフルもがきのスタンディングで。

2本目 3.50km 9分45秒 269W



いや〜、ダメだったか。
40秒差はやはりデカい。
イノッチの背中は遠いなあ…



またチャレンジしに来るからな!!
待ってろ猪野学!!


今年のGW その①

2017年05月08日 15時03分10秒 | 自転車
テレビの仕事は、休日とかはまったく関係ありませんので、
ゴールデンウィークを感じるとすれば、道が込んでてロケの移動時間がかかる、
ぐらいなものです。


しかし!


今年はなんと、私にもGWが発生したのです!


まずは土曜日、仕事の中抜けが5時間あった。
これは走りに行かねば!
着替えながら、急いで考える。

片道2時間半。信号待ちを含むと平均時速25km程度なので、
距離にして60kmほどだろうか。
携帯で距離を検索すると…

子の権現(埼玉・飯能)…70km。
箱根(神奈川)…90km。
白石峠(埼玉)…60km。

これだ!
一度は走ってみたかった、白石峠だ!





炭水化物をかきこんで、すぐに出発。
国道254号を北西へ。
川越のまちを迂回し、東松山。
白石峠TTのために脚を残しておきたいけど、
それでは5時間で往復できない。
250wをキープし、信号待ちで休む。
良い感じのインターバルトレーニングだ。
浅田監督がやってるシクロパビリオンに着いたのが2時間後。
ここまで50km…コンビニ補給しながら道を検索。


…あれ?
白石峠まで22km?
最初の検索はなんだったのか…
しかし。ここで心折れてる場合ではない。
ここまで来たからには、ふもとにある「ときがわベース」までは行きたい。
ここから「ときがわベース」まではほぼ一本道…信号も少なそうなので、
なんとか行けるかもしれない。
県道172号。ここをまっすぐ行けば、たどり着くはずだ。



そろそろ20kmぐらい走っただろうか。
「寄居町」という看板が目に入る。

……いかん。
道を間違えた。
終わった。
白石峠までの距離を検索すると…30km。
どうも山に並行して走ってるな〜と思ってたんだ。
県道172号はV字に走っていて、
左に行けば白石峠方面、右に行くと寄居方面。
私は2分の一の確率でハズレを引いたらしかった。


しかし!
ここで心折れてる場合ではない。
タイムリミットまであと2時間15分。
距離は…72km走ってきてしもうた。
踵(きびす)を返して、もと来た道へと走りだす。





ケツ筋が痛い。
これは良いトレーニングになっているようだが、
タイムリミットが迫っている。
踏む!
ケツ筋がキュンと痛む!
それでも踏む!
パワーはだんだんと下がって、210wが精いっぱいだ。

しかし、心折れてる場合ではない!


結局この日、140km。
時間は10分オーバーしたが、私がいないと始まらない仕事だったので
みんな待っていてくれた。


ひさびさのGWは、こんな感じで過ぎ去った。
実は次の日にも中抜けが発生して、また弾丸で走りに行ったのですが、
その話はまたあとで…★

すてきなファン。

2017年05月07日 21時43分47秒 | 自転車
気仙沼の親愛なる人から、
こんな連絡をいただいた。


その人が経営するお店にやってきた
80過ぎのお婆さん2人の会話。


A「この前の自転車の観た?」
B「観たわよ! 女の子のバカが泣いてたやつ」
A「昼ドラ出てたバカも意外といい人だったわね」
A・B「…(店主に)あなたも160km走れるの?」


会話全体から「坂」の文字がカットされている模様。
昼ドラ出てたバカ、とは
坂バカ俳優の猪野氏のことだと思われます。


このお2人、ツールド東北の特番を見て以来、
チャリダーのファンなのだそうです。
先日は軽量化特集をご覧になり、
「自分の自転車を軽量化したら走らなくなった」と。
聞けば、電アシのバッテリーを外した、と…。


ステキな方にファンになっていただいて、
ディレクター冥利です。
ますます頑張らなくちゃ!

あれこれ。

2017年05月02日 12時43分47秒 | チャリダー★


春はいつも、猛スピードで過ぎ去ってしまう。


猛スピードで過ぎ去るのだけれど、
振り向くと濃厚な時間の積層がある。


今年も、新しいチャレンジを始めました。
これまでは番組にいただいたお便りに
ほとんどお応えできない状況でしたが、
これをなんとかできないかと。
スタッフと出演者のできるかぎり、
全国を飛び回ってみようと思って、
まずは私が行動してみました。





番組のフォーマットを決めるため、
最初の一本目は私が担当するのですが、
4月は結構ムリをした。
四国へひとりでロケに行き、
群馬のレースもひとりで行った。
なんとか少人数でイベントを撮影し、番組に仕立てる方法を探りたい。
そして、プロのロードレースを撮れるチームを作りたい。
申し訳ないが、日本のロードレース映像は
ジロやツールには遥か及ばない。
選手が世界を目指すなら、撮影チームだって世界を目指すべきだ。


てなわけで、群馬のレース会場へ。
モトバイクに乗せてもらうと、分かることがたくさんある。
まずは、走る選手たちの美しさ。
自転車からの機械音が合唱する。
人とは、これほどまでに美しいのか。
モトバイクから見るロードレースは、これほどまでに美しいのに、
私はそれを知らなかった。
これを伝えるのが、私の仕事だ。


しかし同時に、ハードルの高さも味わった。
まず、日本のレースでは普段はムービーを撮らないため、
ムービーカメラマンの地位が低い。
写真カメラマンが来たら、退かねばならないし、
コミッセールカーはムービーバイクを優先してくれることなんて
ほとんどない。


さらに、モトバイクの運転手が
映像撮影に慣れていない。
どう走ればどんな映像が撮れるのか、
想像できないようだ。


残念ながらこのレース、
まともに撮影できたのは3時間のレース中、10分ぐらい。
最低限の展開はお伝えできるだろうけど、
私が撮りたかったシーンはまったく撮れなかった。


もちろん、自転車は「空力」が影響するレースだから、
前方からの映像はほとんど撮れないなど、
モトバイクの位置取りは自由とはいかない。
しかし、それでももう少し撮れるチャンスはあった。



これは、なんとかしなければ、
撮影したい大一番で手をこまねくことになりかねない。





あのレースを撮るには、何をすれば良いのか。
ムービーカメラマンの地位を上げるには?
…そんなことを悶々と考えながら、
レース後、ひとりで上州名物のカツ丼屋さんへ。
こんな時は、肉がいい。

ふと見ると、前のテーブルでおっちゃんが
ビールをすすりながら、大声で携帯にがなりたてている。
どうやら何かの愚痴をしゃべっているようだ。
「だっからよぉ〜、おめぇ、てけてけってなもんでよぉ〜…」

ほとんど何を言ってるのかわかりません。
こんな愚痴、よく聞いてくれる人がいるもんだ。
おっちゃんの愚痴は延々と続く。
私は楽しくなってきた。これぞ日本の田舎の姿。
すると、突然おっちゃんが「あ、はい」と言って
スパッと携帯をしまった。

すごい!
今まで大声でがなっていたのに、
一瞬で、盛り上がっていた電話が終わってしまった。



電話の向こうで愚痴を聞いてたどなたか。
何を言ったら、あんなに見事に愚痴を終わらせられるのか、
ぜひとも教えていただきたい。