自転車ひとり旅★

自転車大好きなTVディレクター日記。

九州へ。

2024年02月27日 09時32分41秒 | 自転車
1人で飛行機輪行し 荷物を最小限に選び
パンクしたら帰りの飛行機に間に合わなくなりそうなドキドキ感
このドキドキ感をどうやって番組に盛り込もうか

そんなことを考えるために九州へ行ってきた





番組のことを考えてはいるが
プライベートなので なんの助けもない
裸一貫の清々しさ ドキドキだ





行き先は大分と熊本
いつか番組で旅したいと思っていた五家荘(ごかのしょう)を目指す





酷道はグーグルマップにも載ってない通行止めだらけ
仕方なく思いもよらない道を迂回する





いい道だ





さらにいい道になってきた(笑)


パンクに注意しながら丁寧に走る






こういう冒険感を番組で出したいなあと思うが
ここを走れる出演者がほとんどいない

例えばこの峠まで ガレた悪路な上に
8km平均勾配9%の激坂だ
五郎さんで1時間
猪野さんで1時間半
茂山さんは2時間
うじきさんは2時間半
女性陣だと4時間
パンクすればさらに時間がかかり
特に修理に慣れてない女性陣だと プラス1時間となる


番組になると この坂は長くて30秒ぐらい
場合によっては1カット8秒で終わる
視聴者のほとんどは 坂道だけをそれほど長い時間見ていられない
そこに2時間以上かかる出演者は なかなか連れて来られないし
そもそも本人がこんな道を求めていない(笑)





プロ選手のような 走れる人を連れて行ってほしいという意見も聞くが
今度は旅人としての発信力に欠けてくる
ほとんどの人は 自分をよく見せることだけが興味の対象で
例えばユーチューバーのみなさんは 特にそういう方が多い
旅の主役はやっぱり旅先で出会う森羅万象で
出会ったあらゆるものに目をキラキラさせられる人は 本当に少ない


そんなことを ブツブツ考えながら
そしてパンクに怯えながら
果てしない山道を走る





700年以上前に建てられたという堂宇
礎石の上にこうして柱が建てられている
職人の腕にため息が出る





分岐点
どの道を選ぼうか





自販機の下には
なぜドブの穴が口を開けているのだ
10円落としてしもうたではないか(笑)





峠の茶店
おっちゃんが素敵だった
いつか撮影でお邪魔したい





おっちゃんが目の前で揚げてくれる柚子胡椒蓮根 めちゃうまだった





暖かいお茶が沁みる
これから寒い下り坂に突入する背中を押してくれる








農家の入り口
アジアの田舎に行ったようだ




欲張って走ったら
帰りの飛行機ギリギリで
今回も空港でパッと購入したこれが夕飯

カメラ持って来られるのは いつになるかな…




12年目へ。

2024年02月21日 19時29分25秒 | チャリダー★
NHKからの発表通り
チャリダーは4月で12年目に突入します


いやはや
応援してくれるみなさんのおかげです
ありがとうございます



「チャリダー」がなくなってしまったら
自転車専門の番組が失われてしまう
いつもそんな危機感を胸に頑張っていますが
番組なんてそんなに偉いものではないし
無くなったところで 何の影響もない気もします



でも許された以上は 感謝を胸に
あと1年頑張らせていただきます






新年度のロケに向けて
バイクを整備


整備というか お掃除というか
実はこのZIPPのロゴ
アリエクで頼んだ中国製ステッカーで
貼っておくと確かに 傷からリムを守ってくれたのだが





微妙にズレてるんす(笑)


グラベルを大量に走り 傷だらけになったので剥がしてみたら





のりがベタベタに残ってしまった





養生テープでペタペタと
2時間かけてキレイにした





傷だらけになったら
また違う色のステッカーでも貼ろうかな







冬になるたびに
地球がこのままだったらどうしようと考えるが
思い出したように暖かい風が吹き 
土手にはオオイヌノフグリが咲いていた


また巡ってくれた季節に感謝
そして 半年以上前から考え続けてきた新企画のロケが始まる
みなさんに楽しんでいただけるよう
頑張りますね☆


たのしい計画。

2024年02月14日 14時19分03秒 | 自転車



今年はたくさんプライベートな自転車旅に出ようと思っている


目玉は「SR」の達成だ
SRというのは「シューペル・ランドヌール(仏)」の略で
ブルベの200km 300km 400km 600kmを
ぜんぶ認定された人がもらえる称号のこと


600kmでも40時間で走れば良いので
(去年の青森650kmは32時間)
体力的にはいけると思う
コースや天候によって難易度がガラリと変わるので
ちょっとした冒険感にワクワクだ


日本各地のブルベ主催者が発表したコースを見ると
楽しくて仕方がない


300kmは群馬のコースが楽しそうだ



スタート・ゴールは前橋
私の愛する足尾を通るところが素敵だ




600kmはこんなのが良さそう



倉敷をスタートし しまなみ海道を通って
愛媛の宇和島までを往復する
あ〜いいコースだ




ブルベは参加費が安くて
だいたい1000円〜2000円ほど
よほど遠くに行かなければ 意外とお金をかけずに楽しめる




旅の計画を立てるのって 本当に楽しい
たぶん現実逃避なんだと思う


こういうのは一気にやってしまうのが好きで
すでに6月まで飛行機と宿の手配をしたのだが
大抵その日にピンポイントでロケが入って
行けなくなるのだ(笑)

寒い日

2024年02月06日 01時00分48秒 | おしごと日記
今日は1日家にいた


調べたことを 自分の血肉とするために
ひたすら考え さらに調べ
浜松市の資料アーカイブをずっと閲覧していた
とても興味深かった





気晴らしに 最近買った針と糸で
落車で破けたウェアを補修





この針 布通りが気持ち良い
良い道具というのは本当に良いものだ
「弘法は筆を選ばず」と言うが
やっぱり筆は選んだと思う





裁縫道具を持ってなかったので
ハサミも買った
歴史好きなら唸りそうな
「菊一文字」のハサミ

糸を切る瞬間「ショリ!」と気持ち良く鳴る
これも素晴らしい道具だった




↑ずっこけて破れた大穴を直した




窓外を眺めると 雪がふわふわと舞っていた







数年前の 同じように寒い日
暮らしていたマンションに帰ると
エントランスがすごい匂いに満ちていた


郵便受けの小部屋の端に
黒い物体が横たわっていて
ギョッとした
その匂いの正体であるホームレスを
私は声を荒げて 追い出した


ホームレスのおっちゃんは
寒くて暗い街並みに よたよたと消えていった


私は激しく後悔した
おっちゃんがここでひと時の暖を取ることが
私にとって一体 どんな損があるというのか?


しかし私は優しくできなかった



寒い日が来ると
あの後悔を思い出す






20時から五郎教室


寒さと後悔を吹き飛ばした



調べもの。

2024年02月03日 19時56分40秒 | おしごと日記



ここ最近ずっと 調べものをしている



何のためかというと
旅のルートを考えるためだ



例えば ある道をコースに入れるかどうかを考えるとき
まずその道沿いで どんな産業(農業)が行われているのかを調べる
育てている作物によって ベストな時期が決まってくるのだ
例えば茶畑なら5月ごろが色も鮮やかで茶摘みの賑わいもある



出演者を楽しませたければ
意外と2月の山道という手もある




ツルツルゾーンの連続で
キャーキャー言いながら楽しんでいただける(笑)
もちろんテクニックのある出演者に限られるが…





今日のメインの調べものは「〇〇氏館跡」だった


聞いたことのない地方豪族の館跡
場所は急峻な山上
ということは 戦国時代以前に建てられた可能性がある
そしてここには その時代から人が暮らしてきたことになる





自治体のネット資料アーカイブで調べてみると
まさに鎌倉時代に中央から流れてきた家柄で
つい最近まで末裔が暮らしていたようだ
仕事は時代により変遷し
木地師であったり 人々の往来が激しかった頃は
宿屋のようなこともしていたらしい



これが旅の何に役に立つのか?



その土地の歴史を知っておくと
人々がどんな気持ちで暮らしてきたか
どんな苦労を味わってきたか
今どんな気分で暮らしているのか
を想像することができる
旅で出会った人に対して ある納得感を持って接することができる


さらには 番組でその土地についてのナレーションを書くときに
絶大な効果を発揮する

例えば土地の老人が
「ここはええところだよ」とつぶやくとする
何も情報が無ければ 見ている人も
「なるほど良いところですよね」
という感想で終わる

しかし 例えば
「この地域は 鎌倉時代には開かれており
 ◯◯さんの先祖は かつては木地師だった
 暮らしは厳しく 食べるものにも苦労した」
という情報を入れることができれば
「ここはええところだよ」
という老人の言葉にずっしり重みが増してくる




旅番組の準備は 半年以上前から始まり
たくさんの調べものの上で成り立っている
それがその土地の人への敬意だと思うし
出演者が得をするか 損をするかも
そのスタッフの積み上げにかかっていると思う