私はホテルのベッドで迷っていた
このまま留まるのか?
それとも行くのか?
行くとしたらどこまで行くのか?
そこで考えをハッキリさせるために
条件を羅列することにした
・外の気温は30度(湿度90%以上)
・おそらく体は脱水症状
・食べ物は喉を通らない
・コーラは飲める
・ペダルがはまらないので現状では長距離は走れない
・1日目のホテルまで150km
・ホテル到着は遅くなっても良いと返事があった
・途中50km地点と100km地点にホテルの空きがある
ゆっくりと起き上がり
サイクルウェアに着替えながら考える
とりあえずペダル問題だけは今日中にハッキリさせたいので
まずはチェックアウトをすることにした
ホテルのマネージャーが「帰りを待ってますよ」と
輪行箱を笑顔で預かってくれた

暑くて気持ち悪い(笑)
何よりキツいのが
食べ物の香りがすると モーレツな吐き気を催すことだった
デンパサール市内には 道沿いに食べ物屋台が並んでいて
どこもかしこも食べ物の香りに満ちている
屋台を通過するたびに息を止めながら走った
デンパサール周辺の自転車店を検索すると 結構出てくるが
多くの店がストリートビューしか写真がない
とりあえず近場の自転車店に向かってみるが

まあこうだよな(笑)
そもそもビンディングペダル(靴と固定するペダル)なんて
見つからないに決まっているのだ
フラットペダルなら買えそうだが
その場合は靴底の加工も必要かもしれない
どうしたものかと ダメもとで
「CRANKBROTHERS」(私のペダルメーカー)を検索したら…
ん?
んんんん?
なぜか1店舗だけヒットしたぞ?
ゆっくりゆっくり 5kmの道のりに30分
行ってみると そこにはこんな店があったのだった

うおー!
まじかー!

「クランクブラザーズのクリートありませんか?」
すると店員さんは こう即答した
「ありますよ!」

なんということだ
インドネシアのバリ島で
こんなレアなクリートが手に入るとは
驚き喜ぶ私を見て
「よくこの店にあると分かったわね?」
と店員さんも驚いていた
よし
まだ私は見放されてはいないようだ

さて ここからである
早くも運命の分かれ道がやってきた
下痢がおさまらないようなら ここでホテル探しをするべきだが
症状は静まってくれている
そうなれば 選択肢はひとつ
体調に気をつけながら
行けるところまで西へ向かってみましょうか

うねるようなモトと車の流れに身を任せて
熱気に溢れる街道を西へ向かう
だが 安全のためには時に車と同じスピードを出す必要もあり
パワーはそれなりに出るため
わずか10kmで体力の限界を迎えた(笑)

このペースじゃ あと10時間走っても
ホテルに着かないなあ
急にお腹が痛くなり
トイレに駆け込む
まだ油断はできないようだ
今日はたった10kmでおしまいか…と
「Grab」(タクシーのアプリ)で調べてみると
なんと!
50kmタクシー移動しても 4000円程度で行けるとな

呼んだ(笑)
やってきたのは 明るくて優しいおっちゃんだった
日本人だと言うと「俺の車も日本製だ スズキだよ」と喜んでくれた
ここで諦めてホテルを探すよりは
タクシー移動中に休んで体力回復&猛暑の昼を回避できれば
先が見えてくるかもしれない
もちろん 少し休んだところで
探すホテルの位置が先延ばしになるだけかもしれないが…

自転車をそのまま乗せるのは 日本では嫌がられるものだが
チェーンやタイヤが車内に触れまくるのを全く気にせず乗せてくれた
走りながら お互いにカタコトの英語で
いろんな話をした
おっちゃんには3人の息子がいること
上から23歳 21歳 15歳で
全員すでに働いていること
スズキの車が いかに優秀かということ
すると不思議なことに だんだんとおっちゃんの声が遠くなっていき
気がついたら眠っていた
私は結局 再び走れるようになるまで4時間
おっちゃんの車で80kmも運んでもらった
「助けてくれてありがとう」
心からお礼を言うと
「俺は仕事をしただけだよ」
と言いながら 嬉しそうに笑った
そして
「これ買ってあげるから食べなよ!」
と指さすので そっちを見たら
それは露店のドリアンだった
あれはダメだ 特に今は
何がゲロだかわからなくなっちまう(笑)
「Far from Denpasar(ずいぶん遠くまで来たね)」
「I know(ほんとだね)」
カタコト同士 2人で顔を見合わせにっこりした
私「帰り道 気をつけて」
おっちゃん「そっちも気をつけて旅しろよ!」
そしておっちゃんは 見えなくなるまで見送ってくれた

そこから65km 5時間の道のりは
果てしなくしんどかった
でも気分は決して悪くはなかった

21時 ホテル着
着いたとたんに土砂降りとなった

シャワーを浴びて 洗濯をし
コーラを飲んで泥のように眠った
明日はもう少し走れるようになるのだろうか…
つづく☆
このまま留まるのか?
それとも行くのか?
行くとしたらどこまで行くのか?
そこで考えをハッキリさせるために
条件を羅列することにした
・外の気温は30度(湿度90%以上)
・おそらく体は脱水症状
・食べ物は喉を通らない
・コーラは飲める
・ペダルがはまらないので現状では長距離は走れない
・1日目のホテルまで150km
・ホテル到着は遅くなっても良いと返事があった
・途中50km地点と100km地点にホテルの空きがある
ゆっくりと起き上がり
サイクルウェアに着替えながら考える
とりあえずペダル問題だけは今日中にハッキリさせたいので
まずはチェックアウトをすることにした
ホテルのマネージャーが「帰りを待ってますよ」と
輪行箱を笑顔で預かってくれた

暑くて気持ち悪い(笑)
何よりキツいのが
食べ物の香りがすると モーレツな吐き気を催すことだった
デンパサール市内には 道沿いに食べ物屋台が並んでいて
どこもかしこも食べ物の香りに満ちている
屋台を通過するたびに息を止めながら走った
デンパサール周辺の自転車店を検索すると 結構出てくるが
多くの店がストリートビューしか写真がない
とりあえず近場の自転車店に向かってみるが

まあこうだよな(笑)
そもそもビンディングペダル(靴と固定するペダル)なんて
見つからないに決まっているのだ
フラットペダルなら買えそうだが
その場合は靴底の加工も必要かもしれない
どうしたものかと ダメもとで
「CRANKBROTHERS」(私のペダルメーカー)を検索したら…
ん?
んんんん?
なぜか1店舗だけヒットしたぞ?
ゆっくりゆっくり 5kmの道のりに30分
行ってみると そこにはこんな店があったのだった

うおー!
まじかー!

「クランクブラザーズのクリートありませんか?」
すると店員さんは こう即答した
「ありますよ!」

なんということだ
インドネシアのバリ島で
こんなレアなクリートが手に入るとは
驚き喜ぶ私を見て
「よくこの店にあると分かったわね?」
と店員さんも驚いていた
よし
まだ私は見放されてはいないようだ

さて ここからである
早くも運命の分かれ道がやってきた
下痢がおさまらないようなら ここでホテル探しをするべきだが
症状は静まってくれている
そうなれば 選択肢はひとつ
体調に気をつけながら
行けるところまで西へ向かってみましょうか

うねるようなモトと車の流れに身を任せて
熱気に溢れる街道を西へ向かう
だが 安全のためには時に車と同じスピードを出す必要もあり
パワーはそれなりに出るため
わずか10kmで体力の限界を迎えた(笑)

このペースじゃ あと10時間走っても
ホテルに着かないなあ
急にお腹が痛くなり
トイレに駆け込む
まだ油断はできないようだ
今日はたった10kmでおしまいか…と
「Grab」(タクシーのアプリ)で調べてみると
なんと!
50kmタクシー移動しても 4000円程度で行けるとな

呼んだ(笑)
やってきたのは 明るくて優しいおっちゃんだった
日本人だと言うと「俺の車も日本製だ スズキだよ」と喜んでくれた
ここで諦めてホテルを探すよりは
タクシー移動中に休んで体力回復&猛暑の昼を回避できれば
先が見えてくるかもしれない
もちろん 少し休んだところで
探すホテルの位置が先延ばしになるだけかもしれないが…

自転車をそのまま乗せるのは 日本では嫌がられるものだが
チェーンやタイヤが車内に触れまくるのを全く気にせず乗せてくれた
走りながら お互いにカタコトの英語で
いろんな話をした
おっちゃんには3人の息子がいること
上から23歳 21歳 15歳で
全員すでに働いていること
スズキの車が いかに優秀かということ
すると不思議なことに だんだんとおっちゃんの声が遠くなっていき
気がついたら眠っていた
私は結局 再び走れるようになるまで4時間
おっちゃんの車で80kmも運んでもらった
「助けてくれてありがとう」
心からお礼を言うと
「俺は仕事をしただけだよ」
と言いながら 嬉しそうに笑った
そして
「これ買ってあげるから食べなよ!」
と指さすので そっちを見たら
それは露店のドリアンだった
あれはダメだ 特に今は
何がゲロだかわからなくなっちまう(笑)
「Far from Denpasar(ずいぶん遠くまで来たね)」
「I know(ほんとだね)」
カタコト同士 2人で顔を見合わせにっこりした
私「帰り道 気をつけて」
おっちゃん「そっちも気をつけて旅しろよ!」
そしておっちゃんは 見えなくなるまで見送ってくれた

そこから65km 5時間の道のりは
果てしなくしんどかった
でも気分は決して悪くはなかった

21時 ホテル着
着いたとたんに土砂降りとなった

シャワーを浴びて 洗濯をし
コーラを飲んで泥のように眠った
明日はもう少し走れるようになるのだろうか…
つづく☆