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今、この場所から・・・

いつか素晴らしい世界になって、誰でもが望む旅を楽しめる、そんな世の中になりますように祈りつづけます。

愚痴ってもいいかしら・・・

2015-03-09 15:16:17 | ひとりごと


 ☆いつ、逢えるのだろうか、この美しき姿に、待ちくたびれて…☆


今に始まったことではないが、どうしてこうも紛争や戦争が収まらないのだろうと思う、大きな戦争ではないかもしれないが、地球上のあちらこちらで殺し合いをしている。

テレビドラマや映画を観れば、人を簡単に殺す場面を嫌でも観ることになる、この歳、70年も生きていれば良いことも嫌な思いもたくさん経験してきた。

人間はいつかは死ぬ、誰もが逃げることのできない事、特に私は何度も死を覚悟したことで<命>の大切さをより身近に感じている、だからこそ、この地球上で不本意な殺され方をする人が一人でも少なくなる事をを祈るばかりだ・・・

先日、ある韓国の映画をテレビで観ていて気になる、イラついた言葉があった、映画の中の大統領の一言「いつ、つぶれるかわからない、隣の小さな島国のことなど、どうでもよい」確かそのような言葉だった。

私は韓国の映画やドラマをよく観るほうだと思っている、時代物から、現代ものまで、その中で日本にかかわる部分の描き方があまりにもひどいと感じることが多い!

ここであれこれと書き並べたてたところで、どうにもならない事だろうが・・・

韓国に政治家も中国も政治家もよく「歴史認識」という言葉を言うけれど、いつになったら今の日本の立場を認めるのだろうか・・・

確かに1910年から1945年まで日本は中国や韓国にも侵略したことは事実でしょう、けれど、中国や韓国に対しても、敗戦国としての戦後補償をして、政治決着がつき、中国や韓国と国交を結んだわけですから・・・

一国民としては、難しい政治の事はわからないけれど、隣の国同士がいがみ合うことは、なんとも気分が悪い!

世界のあちら、こしらでテロや紛争が起きている中、せめてお隣の国同士が上手く付き合えることを願わずにはいられません。

<美しき人、ビョンホンさんのファンで良かったと思い続けたいですから>

時空の記憶 (短編小説)

2015-03-09 15:15:00 | 短編小説集


(六)
祖母が、あの男をつれて、蔵に入るところを見た私は、なぜか、祖母に対して、今までのただ毛嫌いする思いとは別の軽い嫉みのような、自分の気持ちを上手く理解出来ない感情の不安定さに驚きながらも、蔵から出てくるふたりの姿を、怒りのような、落ち着かぬ心情が、なお私を戸惑わせる。

祖母が、あの男をつれて、蔵を出て来た時は、私自身も考えてもいなかった行動をする自分に又驚きながらも、私はあの男の手を取り、「戦争ごっこ」をするから来て・・・
そんな風な言葉を言って、ふたりで、祖母のそばを、少しでも早く、離れたい、あの男を、祖母から離さなくてはダメだと、とっさに思うのだった。
お前は、馬のかわりに、私を背負って走るの・・・
早く、背負って、おぶって・・・
あの森まで走るの・・・
私の心にも無かった言葉が次々と出てきて、あの男への向ける命令のような、言いようは、恥ずかしさよりも、驚きと混乱さえも覚えて、なお、強い口調で・・・
早く走るのよと、何度も、口走る私はもはや、今までの私の姿ではない、別の私がそこにいる・・・
その事に気づいた時、思わぬ姿、「鎧をまといながら走る、女武者の姿」を、一瞬見たような・・・
錯覚なのか、現実の事ではないと、思いながらも、男と私はいつしか、あの森の中をふたりで走っている、その感情は、とても、気持ちの良い、木々の香りにつつまれて、体のすべてが喜びに打ち震えている。
男の力強い肉体は、益々美しく輝き、ふたりの肉体を包む込むように飛び交う蝶の姿は、虹色に輝き、やがて、森の奥へふたりを運ぶ、虹を描きながら・・・
まるで、蝶の化身のように、七色の虹は、何処までも森を照らすひとすじの光となり、そこだけが真昼のように・・・
深い森は、一瞬の血の色に変わって、私は16歳の少女に戻った。

嫉妬する想い
この体だけが知る感覚
誰が私を導くの
人間の醜さを
人間の喜びを
今朝蝶が力なく飛び立つ
冬の寒さがもぎ取った
虹色の羽根は
地の中へ溶けて行く
まだ心だけは激しく燃えているのに
ひとは私を速すぎる愛だと
誰もがけぎらう愛だと言う
それでも私は愛を信じる

はじめて、あの男の存在を意識してから、もうどの位の時間が過ぎたのだろう・・・
私は、あの男が我が家に来た時を知らない、気づいた時には、冬の庭の椿がたくさんの紅色の花びらが毒々しく散り、薄雪が地面を微かに白色に変えた中で鮮やか過ぎる色が一瞬の情念を見るような景色の中の絵のような美しい姿を見たような・・・
だが、16歳の私がその景色は、男の美しさなのか、まるで、椿の花の化身のような、不思議さと驚きと、説明の出来ない欲望、私の異性への憧れを持って、あの男を見ていたのだろう。
それは、いつの頃の記憶なのか、私には幼い頃から、不思議な記憶がある、狐のお面をかぶり、たくさんの裸の男の姿がうごめき、いくつもの揺れる炎がまるで、私に向かって飛んでくるような怖さと、又、異常な白さで男達の下半身の動き、とくに、鍛え上げられた締め込みの姿は私の目の前で幾重にも乱れて動く、男達のお尻の姿が、子供心にも、美しく、なにやら、私の心を興奮させる事としての記憶が、鮮やかに残っている事だった。
今、あの男の、はっきりとした姿は、あの記憶と共に、重なりあう、私の意識と欲求、そして好奇心をそそる事であった。
祖母が常にいつごろからだったのか、あの男をそばにおくようになった。
その事が私をいらだたせて、ふと、よぎる思いは、言葉に出来ないほどの残酷さで、私は、たった今、見ていた、雑誌の口絵の描かれていた、血みどろの復讐劇を、祖母の姿に合わせて見る形相は、まるで、現実にあることのような色彩で、一瞬を描いていた。
耽美的な祖母の生き方が憎むべき事の一つとして、私の欲望のすべてを奪いながら、私をがんじがらめにしている祖母を心の中の刃が、少しずつ、研ぎすまされていくような、16歳の私は心だけが走り出している。
あの男の引き締まった青春の肉体、香り立つ、まるで、あの森の巨木の放つ、私を包み込んでしまうような力強さで・・・
私を歓喜の炎で体の奥深くから、焼き尽くすような感覚を覚えて・・・
私は男の名を「員・かず」と私だけの呼び名をつけた。

椿の化身の貴方は
薄雪に咲く刹那
物言えぬ哀れみを
美しき艶やかさで放ち
死をも恐れず
私を求めてくれるのか
悪しき戯れの中で
活動写真の絵のような
接吻を求める私に
悔恨と孤独を残して行く

(七)
情念を漂わせて、初雪を染めた椿の紅色も、やがて、長い冬の季節、私のすべてを変えた、あの冬、老いた体が、今もなお、熱くする、あの日の思い・・・
長い冬のはじまり、淡い雪を降らせたあと、何度かの小雪は、やがて、本格的な大雪が我が家を包み込んで白一色に、障子越しに差し込む光が、ほの暗い冷たさを、私の心は、やがて、私だけが呼ぶ、あの男の名「員・かず」を、はじめは私の心の中だけで、呼んでいたが、いつの間にか、少しずつ、声を出して呼んでいた。
それは、この家が、深い雪に埋もれていく、姿にあわせるように、私の声は大きく「員~」私のそばに来て~と、まるで、祖母に嫉妬して、声をあらだてているように、時には、狂わんばかりに、激しく、「員~」と、だが、員はいつも、落ち着き、もの静かに、顔色ひとつ変えず、私のそばに来てくれる。
員は言葉を話す事ができない、だが、耳はきちんと聞こえている。
私は、員がなぜ、話せないのか、話せなくなったのかを、員に尋ねた事があるが、ただ、にこやかなる、微笑みをたたえて、私に優しく微笑んだだけで、何も、答えなかった。
たとえ、言葉が話せなくても、言葉を書く事は出来るはず、いつも、祖母の代筆をする文字は、力強く、美しく流れるような、筆さばきは、その見事さが、私が員を恋狂いするほど魅せられるひとつでもある。
員の声が聴きたい!
私は、いつしか、その思いに駆られて、祖母の寝静まる時を待って、この隠居部屋に続く、あの男「員・かず」の眠る部屋の引き戸を、音もたてず、静かに、静かに、引いた。
そして、員の眠る薄い布団に静かに、音も立てずに、入る。
私は、生まれたままの姿になり、寄り添い、員の手をとり、員の細くて、美しく力強い手を、はじめは私の頬へ、そして、首筋へ、そして、まだ幼さの残る、かたい乳房へ、員の手の大きさが丁度よい、包み込み、優しく刺激する・・・
員は、私のなすがままに、ただ、私が員の体に顔をうずめて、員の激しくなった呼吸が私に伝わる喜び・・・
その員の手の温かくて、柔らかにすべるような、心地よさを、六十数年の時が過ぎても、あの時の、体中を流れた衝撃と喜びの感覚がよみがえる。
あの夜に、私は、聴いた、「員・かず」の囁く声を・・・
「好きだよ!!!」の声を・・・
あれは、員の心の声だったのだろうか・・・
私はあの時、私のすべてを「員・かず」に捧げた。
そして、私は魔女の心を宿して、祖母への心の刃を向ける。

雪深い、寒村の私の住む村は、春の訪れまでは、我が家ヘ訪れる人も少なくて、そのうえ、両親も今は、はじめたばかりの事業に本腰を入れているようで、この家にはいない。
通いの手伝いのおばさんも、雪が降る日は来ない事もあり、祖母と、員と私の3人で過ごす日が多く、祖母は、女の感とでも言おうか・・・
員と私の、あの夜の出来事を、感づいているようで、少しでも私が員を近づけようとすると、激しく私を束縛する言葉を浴びせては、おさえつけて・・・
<おまえの体には魔物が棲み付いている>
この言葉は、私のすべての動きを止めてしまう、息が出来ないほど、体が硬直して、祖母に逆らう事ができず、祖母のそばで、与えられた、私にはおおよそ、興味の持てない難しい本を読み聞かせてほしいと、強く、強要する姿には、みじんも優しさなど感じる事が出来ない、憎しみを強くして、怒りだけが、私の心をしめて行く・・・
雪に閉ざされたこの家の中だけが、私の世界、祖母からの束縛から逃れたい、ただ、それだけを考えている、長い一日が過ぎて、待ちかねた、夕暮れの雪明りに照らされた、障子越しの部屋に、私はひとりでいる、広い庭を隔てた場所にある、蔵の窓から、時折光が漏れてくるのが見えた。
祖母と員はあの薄暗い中で、一体なにをしているのだろうか、性の喜びに目覚めたばかりの肉体は、否応無く、あの喜びが体ごと思い出しては、現実にはありえない事だと思いながらも、祖母に対する嫉妬の思いが炎のように熱い怒り、わけもわからぬ憎しみを祖母へ向けていた。
私は、夜の闇だけを待ちわびて、員の姿だけを追い求めている。
言葉をなくした員の音の無い世界を思いながら、静かに引き戸が開けられる事を待ち、員の力強い手が私に触れる瞬間、その時の訪れを、ただただ、待ちわびる・・・
私の心は、あの夜の員の手の感触だけを思い、喜びを感じて、員の姿だけを追い求めている・・・
あの夜から、もういくたびの夜が過ぎて行ったのだろうか、祖母の寝息を確かめては、静かに、私は床を離れようとするが、その度に、祖母は、私の手を掴み、そして、明かりをつけて、私に、胸が苦しいから、そこの水指しをとっておくれ!と言い、祖母の眠るまでの長い時間を、私は、切なく、心が乱れて、そのような事を幾たびも繰り返して、朝を迎えてしまう・・・
短い、浅い眠りから、覚めて、員が祖母の為に、手桶に少し熱めのお湯を運んで、このヘヤに入って来る時を待ちながら、まだ、ぬくもりの残る布団の中で、私は、員・かずを想いながら、そーと、私自身のふくらみに触れてみる・・・
あの員のたくましい肉体を、思い出しながら、私は、この体が熱くなって行く、喜びを感じながら・・・
そして、静かに、障子が開き、朝の輝きが、尚いっそう美しさを際立たせて、員・かずは、微笑みながら、なにひとつ、変わらない、落ち着きを保ちながら、祖母の前に、湯桶を差し出す。
私の夜の苦しみ、切なさなど、知らぬような、大人の男の姿を、今、この老体にも、喜びと幸せを、思い起こさせて、よみがえる・・・
もう一度、「員・かず」に逢いたい!私のすべてを捧げた、あの日を想うたびに、私の心は、私の体中の細胞が喜びを思い出す。

雪深き里に
ふたりの熱き肌をあわせた
ただ情熱だけがふたりの
命を語る瞬間
誰がふたりを引き裂いて
誰がふたりの愛を止めて
女はぬくもりを
男は輝きを
求めあうひとつになる想い
近すぎてはかない契り

あの十六歳の私の輝ける日々から、六十年の歳月が過ぎて行ったけれど、私の強烈で、激しい愛の日々を、今も鮮やかに思い出す、現実の事だったのか、幻の事だったのか、ただ一つ言える事は、員の美しき肉体に、私のすべてを包み込んで、溶け込んで行けた日々、それは、私の人生の全てを賭けて、この胸の奥に刻み、私の生きてきた日々の支えだった事だけは、何ものへもかえられぬ、私だけの宝石だ・・・
今、私は命の尽きる時を迎えた。
あの美しい、みどり深い森に今たどり着いた時、私をやさしく迎えてくれた、物言わぬ員の美しき肉体に包まれて、静かに眼をとじた。
森の奥深く、人間の気配など全く無い、神が支配する場所、幾千年もただここに生きて、生き物全ての姿を、見続けた、巨木の天を突く力強さで、この世界に存在する。
美しき、みどり濃く、黒い森のこの巨木に、寄り添うように私は眠る。
私の眠る場所には、巨木と同化した、美しき肉体の若き男性の古い一部は白骨化した死体があった。
それは、不思議なほど、美しい男性の死体だった、科捜研の判断では、60年も前になくなった人だという・・・
その同じ場所に、つい最近、命が消えたと思われる老女の遺体が、まるで、この場所で、若き美しき男の屍と一体化かのように、見える、ふたつの遺体はこの幻影とも思える美しき森に包まれて、ひとつの風景になっていた・・・

                       おわり