目まぐるしい毎日の気温の変化なのだが、関東地方は比較的穏やかな位置曜日になった。
それでは、恒例の振り返りから。
「4月4週の動き」
ベッセント財務長官の思惑と、為替相場 24日のベッセント財務長官と、加藤財務相による会談で、加藤氏は「為替の水準や目標、その仕組みについての話はでなかった」と語り、日米で為替は議題に上がらなかった、と報じていますが、真っ赤なウソです。そもそも『水準』はベッセント氏も「しない」と語りましたが、そんなものを議論したら、為替誘導です。日米がそんなことに踏み込んだら、円ードルとも大暴落でしょう。管理為替相場と同じなのですから。 問題は方向感であって、わざわざ「水準、目標、仕組み」を持ちだしたのは、管理誘導はしない代わりに、日米で方向性の共有はできた、ということを隠すため。もしそうでなければ「為替の話は一切しなかった」で済むのです。これは後に、文書公開などで真実が明らかとなり、うそをついていた…とならないよう、わざわざ「水準、目標、仕組み」に限定しただけのこと。あとは中央銀行の仕事なので、政治で話し合うことはない、ということですが、変な予防線を張ったために為替の方向感を日米で共有することが明らかです。 それより、加藤氏と同じ席で会見した植田日銀総裁の発言が気になります。「見通しを見直す」とするので、物価や成長率の見通しを5/1の会合で変更し、金融政策も変えてくる可能性があります。つまりそれは、IMFなどの見通しに合わせて成長率を引き下げ、一方で日銀は物価見通しを上げてくる。そのことで利上げ環境を整え、円高誘導をする、という布石に思えてなりません。G20のこの場で、わざわざ植田氏が「見直し」に言及するなど、日米で為替の方向感で合意し、それに基づき金融政策を変えます、との魂胆が透けます。 さらに問題は、メディアは一斉に上記したように「為替の話はしかった」と報じるだけで、「それは為替操作をしない、という説明だけだ」とつっこまない点です。突っこめば必ずボロをだすほど、拙い取り繕いを放置し、「為替の話はなし」と報じてしまう。政府の協力者となり下がったダメディアの真骨頂でしょう。トランプ米大統領がFRBに「利下げしろ」と脅すのも、ドル安の方向感をだしたいからです。一方で、日銀は日本政府の傀儡であり、脅さずとももうやることは決まった、というのなら尚更それを示唆したと見えます。 日銀の動き 日銀は1月に利上げに動き、3月には動かなかった。つまりここで動いても2会合連続とならず、その点でも都合がいい。東京都区部の3月の物価は3.4%と、高い物価を示すことで利上げ環境が整いました。成長率は悪化しますが、高いインフレ率が成長を抑える、というシナリオもある。日本は物価高対策に財政をつかい、ガソリンや電気・ガス代を低く抑える、といった本末転倒なことをしています。物価高で消費税もとり過ぎており、それが民間需要を殺いでいる。賃金と物価の好循環を待つ間に、景気減速が見えてきています。 どこの国でも、高すぎるインフレを抑えるのが当たり前なのです。Nスぺの『未完のバトン』でも、財務官僚が「日本はインフレになった」ことを、投資を促す理由の一つに挙げていましたが、本来は逆なのです。インフレで金利上昇、それは国債価額の目減りを意味するので、国債投資を手控えよう、となる。セールストークにすらなりはしません。日本がふつうの国になった、といいたいのかもしれませんが、経済が縮退する国だからデフレなのであって、成長もしないのにインフレになるのは、むしろ異常な国でもあるのです。 日銀がインフレ退治に動いたとて、何の不思議もないし、むしろそうしなければいけなかった。それを放置し、通貨安を促し、それで輸出を増やそうとしてきたから、米国から円安是正を叩かれれば従わざるをえない。問題は、円安インフレで苦しんできた国内消費はそれで好転しても、新NISAをはじめとする投資にはマイナスの点。海外の資産は目減りし、利上げにより株安にも見舞われる。不動産価格とてどうなるか分かりません。逆にいえば、消費を犠牲にしてそうしたものを促してきたのですが、それが逆転するのです。 すると恐らく、円安インフレが収まっても消費減退が起きるでしょう。逆資産効果です。結局、だから利上げできなかった。安倍ノミクスの終焉には絶対に起きるから、それができなかったのです。そしてもう一つ、利上げの終着点です。成長率からみて、政策金利は1%程度、という予想もありますが、円高に不足となればさらに上をいくでしょう。3.4%のインフレなら、3%以上の政策金利であっても何の不思議もないのです。世界全体が景気後退を心配される中、利上げ局面にある日本、インフレ退治ではなく、円安修正のための利上げであることが、最大の問題となるのかもしれません。嫌がっていた宿題の答え、それを植田氏がだすときがきたのなら、その悪影響は甚大です。いずれもToo Late Manだから起きた、といえそうです。 トランプ氏は態度を改めたのか? パウエルFRB議長を解任せず、とのトランプ氏の発信で、市場は急速にもどりを試しています。市場に屈した、ともされますが、しかしその負の効果がでるのはこれからです。つまりトランプ氏は弱腰、とみられれば外交交渉など上手くいくはずがない。事実、トランプ氏は「中国と話をした」としますが、中国側はそれを否定し、むしろ時間稼ぎをする方が中国が有利、とみているのです。こんなところで市場に屈するほど、米国が窮地ということが知れたのですから、各国ともわざわざ早期に話し合う必要がない、となります。 つまりトランプ氏がそれにイラつき、また強硬派にふれることは必定でしょう。それは融和派が成果をだせない、となるからで、ベッセント氏の解任もありうる話です。ここでベッセント氏らの融和派が力を得たことは、中期的にみればマイナスで、脅しなら最後まで強気でなければいけなかった。それが交渉のイロハです。相手が怯んだら、手を差し伸べる形で態度を軟化する、そうでないと相手から舐められるだけです。 米中対立では、米国の方が有利という人が大半ですが、とんでもない話です。経済規模だけで語るのは早計で、これまでにない異常な強さだった米経済が、後退に陥ればショックは大きい。不動産市況の悪化で青息吐息の中国経済が、今から多少下がったところで中国共産党の支配体制は揺るがない。政治からみれば民主主義の国が大変なのです。特に、トランプ氏は過大な成果をアピールして、当選した人でもあります。 ベッセント氏が各国と合意する内容では、トランプ氏は納得しないでしょう。米国を偉大に、という目標と程遠いから。でも、本気でそれを目指すと各国の打撃が大きく、合意が難しい。その狭間でベッセント氏は苦しみます。トランプ氏も今はベッセント氏の言葉を信じていますが、GW明けまでもつかどうか…。強硬派が騒ぎだすのもすぐでしょう。そのときは4月9日よりひどい条件がくっついているのかもしれません。90日の延期ですら見直され、前倒しの発動とか、そういう不透明感はずっとこの政権に付きまといます。 ブレまくる石破政権 来月からガソリン代を下げる…と石破首相がいいだしましたが、だったらとっくにすすめないと、GWに間に合わない。来月、といっても高い在庫を掃きだすまで価格が下がらないので、GW中は無理です。そうなると効果が低い。今年は安近短ともされますが、押上が期待できません。石破氏はことほど左様に、やること為すこと遅い。その結果、周りが混乱するし、必要な効果は得にくい、といったマイナス面が際立ちます。 米国との交渉では焦って動いたものの、すぐに有識者から「放置でもよかった」と言われる始末。長期化すれば米国の方が困るのは自明なのに、なんで焦って交渉しているのか? 今回も、米とか大豆とか、輸入を増やすといいますが、それが本当に国益に敵うのか? 結局、米国に貢物をさしだすようなもので、それで日本はよくて現状維持、悪くすればマイナスの影響を大きくするでしょう。そんな交渉を何で焦ってするのか? 給付金を止めたのもそうです。国民に不人気だから…というのですが、言い出す前に何で不人気だと気付かない? が不思議です。結局、人の心の機微が分からない人だから、ずっと自民党内で傍流であり続けた、が実体なのでしょう。しかし実際には、自民内にはそういう人物が多いのに、これまでは多数の暴力で何とかなった。少数与党に転落した途端、物事の進め方すら分からず、右往左往が目立つこととなりました。 結局、前回の政権交代のときも、官僚におんぶに抱っこで、政策立案能力すらない政治家ばかりとなり、金に汚いことだけが取り柄となった自民が国民からNOを突き付けられた。その反省もできないうちに、かつての利権を共有していた者たちの支援で、自民が政権政党に復活したからといって、ダメ政治家が政権を担うと、混乱するのが必定ということなのでしょう。つくづく石破氏は自民のラストエンペラーなのかもしれません。だからこそ内紛が常に取沙汰され、権力につきたい政治家が跋扈する構図がつづくのでしょう。 令和の米騒動 農水省の失敗、と断言する人も現れましたが、問題は過去の減反政策ばかりでなく「流通の目詰まり」とうそをついた点に現れます。備蓄米の放出でも、未だJAに留まっている分が多い、と報じられるのはJAが目詰まりの要因では? とすら勘ぐれ、農水省の天下りが8人もいて、管理もできていないのは農水省の能力不足、と指摘することもできます。さらに日本のお米が、米国で5㎏で3000円で売られているのは明らかに異常です。 農水省は「長期的な契約だから」としますが、その米国の企業に売ったのはどこか? 何でそこは日本に供給するのに長期契約にしないのか? 24年産米が出回るころには、すでに国内ではコメ不足となっており、海外と割安な契約を結ぶことに問題を感じなかったのか? など、農水政策の失敗はいくつもあるのです。 下手をすれば、円安の今なら輸出した方がいい、とJAが画策したかもしれない。それも含めて調べることで、初めてそれが「流通の目詰まり」か? ということが判断できることになります。国民の怒りが大きく、備蓄米を毎月放出、と舵を切ったことで「買い戻す」も修正となりますが、そんなことは放出前からわかり切っていたことです。聞いた話ですが、昨秋に早めに刈った稲からまた穂が実っていた、なんて話もある。23年の不足分を24年産で埋めたから、24年も不足した。ただそれだけの小学生でもわかる理屈です。 農水省は、このままお米を5㎏で3500円程度がちょうどよい、と考えていると指摘する人もいる。でもそうこうするうち、外国産米の輸入拡大の議論となり、ますます農家が疲弊することにもなりそうです。恐らく入ってくるお米は、日本産米より安い。日本のお米は安く、米国では店頭で売られているにもかかわらず、です。この奇妙な現象について、農水省は国民、また農家に説明しないといけないのでしょう。一体誰のために政策を行っているのか? と。そしてその結果次第では農水省、JAこそ解体すべき省庁、団体となりそうです。 改造車による事故の量刑 北海道で、改造車から外れたタイヤが少女に衝突し、意識不明となった事件での量刑。あまりに軽すぎます。私が考えるに、日本の車は車検が短期間に繰り返され、その品質の高さから中古車が海外でも売れる、といった話があります。その割に、改造車も後を絶たず、騒音をまき散らしたり、危険な行為に至ることもあります。危険性を下げる車検と、改造というのは相いれず、それを同時に存在させていることが大問題です。 埼玉で、短期間で20回の事故を繰り返した全裸男も同様です。私はこれまでも、飲酒や薬物、精神疾患による事件で「責任能力を問うのは不毛」と指摘してきました。心理学者のローゼンハンが行った精神病に関する実験でも、医師は偽装を見抜けなかった。つまり心神をみる医師に、それを見抜く能力はなく、だから検察、弁護士と依頼者が代われば、依頼者の望む通りの結果を導く。そんな曖昧なものを証拠採用するのは、危険に過ぎるといえます。むしろ交通事故では飲酒による事故は危険運転として量刑が重くなるように、酒を飲む、薬物をつかう、という時点で責任能力の放棄とみなし、罪はより重くなって然るべきなのです。 翻って今回の事故でも、改造する時点で危険性を増しており、改造車を運転する時点で罪が発生しなければおかしい。車検が緩い国であれば、改造もある程度自由でよいと思いますが、そこに趣味性だったり、商業的な意味を付加し、両者を併存させるとこうして取り締まれない、といったことになります。それで事故を起こせば、こうした甚大な事故を招くのですから、行為についての責任の重さは常に考えねばなりません。 広末氏の事故のときも指摘しましたが、彼女は躁状態が長い、躁うつ病だと思われます。しかしこうした精神疾患だからといって、責任能力がないとするのは誤りです。精神疾患の人が車を運転したら、周りを危険にさらす。それを何の罪もない人が、リスクを負って許容しなければいけない、というのは本末転倒なのです。精神疾患なら健常者と同程度の罪、飲酒や薬物、そして改造車はより罪を重くする、といった刑法の改正が必要なのでしょう。責任の重さ、が罪の重さと等価でないものは、いずれにしろ持続不可能なのです。 |
さて、貴重な言論界の掃除人がいなくなるらしい。
「掃除を諦めれば「ゴミ」はたまる…誰かがバカと戦わなければならない」
劇作家の福田恆存は「言論は空しい」と言った(「言論の空しさ」)。 たしかに言論は空しい。バカにバカと言っても仕方がないし、デマ屋にデマ屋と言っても仕方がないし、杉田水脈に嘘つきと言っても仕方がない。それをトートロジー(同義語反復)と呼ぶ。 「非学者論に負けず」という言葉もある。言葉が通じないからこそ、バカはバカなのだ。無知、恥知らずは最強である。よってバカを批判しても徒労に終わり、まさにバカを見る。 3月23日、大阪・関西万博に出展される「ミライ人間洗濯機」に大阪府知事の吉村洋文が入り、「めちゃめちゃ気持ちいいですね」とアピールした。この洗濯機を製作した「サイエンス」(大阪市淀川区)の青山恭明取締役会長によると、水流を自動調整しながら、最適な音楽や画像を流して「心まで洗う」とのこと。 しかし、あの手の連中の心の汚れはその程度の技術で洗い落とせるようなものではない。ゴミの山の上に築かれた万博会場で日々噴出するメタンガスや硫化水素、一酸化炭素は、近代大衆社会の負の側面、あらゆる地下的なもの、不健康なもの、構造的な腐敗が維新という形で噴出したものであるからだ。 これは世界史的に見れば近代500年、フランス革命以降に限定しても250年くらいのスパンで捉えるべき病である。そして根本的な治療方法は今のところない。 この連載では安倍晋三や維新の会を取り上げることが多かったが、それを駆除したところで、土壌が腐っている限り第2の安倍、第2の維新が湧いてくるだけだ。実際、おかしな政党が増えてきた。 かといって諦めてしまえばそこで終わりだ。誰かがバカとは戦わなければならない。連載当初から述べている通り、これは毎日の掃除と同じだ。いくら掃除をしても、翌日にはゴミがたまっていく。でも、掃除をしなくていいという話にはならない。目の前にあるゴミを片づけるのが人間の生活であり、そこに世界全体を奇麗にするという高尚な思想は必要ない。 私は学校の掃除当番のように、バカと戦う作業のお手伝いをしてきたが、そろそろ若い人に代わってもらいたいと思うようになった。それで今回を最終回にさせていただく。 |
ところで、昨日、 「消費税でもめるなら野党の看板を下ろすべき」と立憲民主党の内部のゴタゴタをつぶやいたのだが、この御仁は立憲立憲民主党に引導を渡していた。
「立民消費税公約に悲鳴」
立憲民主党が参院選公約として食料品の消費税率を1年に限りゼロにすることを掲げることを決めた。 画期的にしょぼい。 しょぼい立憲民主党。 国民不倫党と合併して〈共に悪い民主党〉を結成することを推奨する。 1年限りの食料品消費税率ゼロで国民生活が支えられるとでも考えているのだろうか。 給付付き税額控除の所得税制度を国会で提案することが1年限りの理由だという。 給付付き税額控除の所得税制度が実施されることが決定されているなら1年限りの措置も一定の理解を得られるかもしれない。 しかし、立憲民主党が政権を奪取する見通しがゼロであるなかで給付付き税額控除制度が導入される可能性も現時点でゼロ。 給付付き税額控除制度導入の見通しがついた段階で、その前提に基づく政策公約を提示すべきである。 立憲民主党は財務省とつるんでいる。 〈ザイム真理教立憲民主党支部〉である。 立憲民主党は消費税が社会保障制度の重要な財源だと主張する。 しかし、事実はまったく違う。 1990年度の税収と2020年度の税収を比較する。 1990年度 一般会計税収 60兆円 所得税 26兆円 法人税 18兆円 消費税 5兆円 2020年度 2023年度までに消費税で509兆円が徴収された。 |
そろそろ、「費税が社会保障の財源」という「都市伝説」と化した呪縛から国民は早く覚醒すべきであろう、とオジサンは思う。