建交労長崎県本部

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均等待遇で安心して働ける職場をめざす雇用政策~建交労のトラック政策⑱

2017年07月16日 08時42分18秒 | トラック政策

(1)「高年齢者等雇用安定法」を悪用した差別とりあつかいとのたたかい

定年以降の雇用継続にあたっての不利益扱いについては、いったん雇用を打ち切り、再雇という手段がとられることから、「不利益変更」の法理がどこまで通用するのか不明確な部分があると思われますので、改善を求めるたたかいとあわせた実践的研究が必要です。しかし、「労働契約法」(労働契約法成立過程での議論の到達点が、「同一労働・同一賃金」の原則をふまえることになっていること)や「就業規則の不利益変更」、「均等待遇」の法理の活用、これまでの団体交渉(労働組合が存在する場合)の経緯・経過を精査しながら労組法の活用(不当労働行為での立件)など、総合的な法理の組み立てによってたたかいをすすめることです。

法律家の多くは、60歳以降の再雇用にあたって、業務内容や労働条件が同じであって賃金だけを引き下げることについては、「法令違反にあたる」との見解をとっています。

 

(2)正規雇用化をはかる対策

①労働者派遣法の抜本改正による派遣労働への規制強化

トラック運送事業においては「運転者台帳」の整備が義務づけられており、車両台数に見合った常用雇用が求められます。安全運行の観点からも、トラック運送事業への派遣労働は反対です。当面、労働者派遣法の抜本改正によって、①「日雇い派遣」の禁止、②派遣対象事業の大幅縮小によりトラック運送事業を対象事業から除外すること、③1年を超えた派遣労働者の直接雇用の義務付けを求めます。

②有期雇用形態に対する規制強化

2012年の通常国会で改正労働契約法が成立し、2013年4月1日から完全施行されています。

その主な内容は①5年以上の有期雇用契約の継続反復は労働者の申し出により無期雇用への転換が義務づけられていること、②「雇い止め」に対する規制、③無期雇用労働者との不合理な労働条件の格差の禁止、となっています。

有期雇用にあたっては、①改正「労働契約法」に定める「5年」の期限の短縮をはかるとともに、②「クーリング期間」を認めないこと、③有期雇用労働者の賃金水準を欧米なみに引き上げ、正規雇用労働者よりも高い賃金水準とすることです。

一定期間反復継続した有期雇用労働者の「雇い止め」にあたっては、①「雇い止めの法理」を厳格に適用するとともに、②「雇い止めの法理」を適用する要件を緩和することです。

③「同一労働・同一賃金」原則の労基法への明文化、改正「労働契約法」の活用

均等待遇の原則や「労働契約法」を活用した計画的要求闘争の展開をはかることが求められます。

また、労働基準法には「同一労働・同一賃金」の原則が明記されておらず、「通達」による解釈適用で運用されています。労働基準法の改正により「同一労働・同一賃金」の原則を明文化することが必要です。

一方で改正「労働契約法」では、第20条で「期間の定めがあることによる不合理な労働条件」を禁止しています。この条文を活用して、同一の労働や責任については、同一の労働条件を確立することです。

※改正「労働契約法」

第20条有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下この条において「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。

④65歳までの定年延長

相次ぐ年金制度の改悪により、支給開始年齢が延長され、支給額も引き下げられています。

そのため、60歳定年では生活できない状態がつくられました。一方、「高年齢者等雇用安定法」の改正によって、65歳まで段階的に雇用延長をおこなうことが義務づけられましたが、多くのところで再雇用制度がとりいれられています。

年金制度の改善によって、支給年齢の引き下げ、給付額の増額、無年金者の救済措置をはかることは当然ですが、トラック運転者の高年齢化や少子高齢化による労働力不足もふまえ、再雇用制度ではなく65歳までの定年延長を求めます。



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