証人尋問で、椎山伸広氏は、顧問税理士事務所の2通の資料を廃業を決める根拠としています。それは、廃業を検討する場合に、きわめて不十分なものでした。このことは、伸広氏が、売上が増えていることも、負債総額が減っていることも、そういう数字を分析したことはないとはっきりと述べていることから明らかです。伸広氏は税理士事務所の資料について繰り返し述べましたが、その資料の中の数字で、退職金と、賃金との区別がついていないとも述べています。たいへんお粗末な理解だったのです。とうていまともな経営分析をしていたとは言えません。
椎山賢治氏に至っては、税理士事務所からの説明内容を聞かれて、「よく覚えていないけど、そういう説明だったかどうかは、今記憶にありません」「(説明を)受けていないと思います」「(説明を)受けていないです。大まかなところの説明をしなさいと言ったら、そういうふうな説明をされたので、私はもうなかなか厳しいかなと」といった証言内容でした。2000万とか2500万とかの赤字の危険についても、「(数字は出てこないということで)よろしいです」「私も数字はわかりません」「そんならやっぱり会社を運営するのは簡単にいかないのかなと」と述べています。ほとんど何も説明を聞かず、ほとんど何も理解せずに、廃業を決めたということが明らかになりました。
この二人の証言だけからも、あまりにも無責任、あまりにもいいかげんな廃業決定だったことは明らかではないでしょうか。