クロアチアの風  ~茶猫の旅カフェ~

アドリア海の国クロアチアと旧ユーゴの風景をお届けします。旅行情報、写真をお楽しみ下さい。番外編では世界の猫も登場!

サラエボの夜

2010-10-31 22:36:18 | サラエボ
 
 一日の最後のアザーンが終わり、
 モスクから帰路につく人々の波が消えた頃
 街のざわめきがすこしだけ遠のいた。

 ミナレットの影が黒々とした闇に隠れ
 街は密やかなを夜を迎えはじめる。

 広場にたむろしていた鳩たちはいつの間にかどこかに消え、
 ケバブを焼く食堂の煙突から細い煙がたつ。
 職人街から銅板を打ち付ける規則的な音が響き、
 客待ちに飽きた絨毯売りが路地の猫にエサを放る。

 茶屋からは男たちの静かな会話とコーヒーの薫り。
 その脇を、子供たちをあやしながら若い夫婦が家路を急ぐ。
 
 優しき夜の帳よ、
 その大きな外套でこの街を包んでおくれ。
 しめやかな静寂に浸る街の灯が
 このまま瞬き続けていてくれるように。

 


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2 コメント

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バシチャルシア広場 (ルイス)
2010-11-09 06:43:58
サラエボがこんなにイスラム色が強い街だとは想像していませんでした。オスマントルコ時代からの伝統が残っているのですね。
このあたりに宿をとったので、水飲み場セビリのある広場は、いつも通り道になっていました。
近くにはナイーブ派の絵が幾つも飾られている画廊レストランがあり、土地の料理とボスニアワインを味わえたことも印象的でした。
ポエム風に印象を綴るのもいいですね。
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イスラムの香り (ちゃねこ)
2010-11-15 01:27:41
ルイスさま

私もサラエボに行って、モスクの多さに本当に驚きました。
バルカン半島に残るモスクは、ミナレットもイスタンブールで見るような細い鉛筆型が多く、アンダルシアのものとちょっと違いますね。

この写真は、セビリのある広場で撮ったものです。
ルイスさんもこの近くに泊まっていたのですね。

平和が戻ったこの街の素晴らしさを
多くの人に知ってもらえたらと願うばかりです。
サラエボは、もう一度ゆっくり訪れたい街のひとつです。

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