クロアチアの風  ~茶猫の旅カフェ~

アドリア海の国クロアチアと旧ユーゴの風景をお届けします。旅行情報、写真をお楽しみ下さい。番外編では世界の猫も登場!

猫特集最終編 :また会えたね。(4度目の出会い)

2013-02-07 23:38:55 | 世界の猫友だち

エフェソス。会いたい猫がいた。

ローマ劇場や、列柱通りのあちこちで、キミと同じ柄の若い猫をたくさん見かけた。キミの落としダネもいそうだなあ、なんて思いながら、時の流れと世代交代を感じていたよ。(2008.1/18  2009.1/8  2010.1/13のブログで紹介した猫です)

今度の旅ではもうキミに逢えないと思っていた。それでもセルシウス図書館ではドキドキしながらキミを探した。一度目は、違う猫しかいなかったけれど、諦めきれずにもう一度戻ると、キミはいつのまにか、遺跡の石の上に現れていた。

以前にも増してガサガサに荒れた毛並み。鼻血の跡、あちこちにある体の傷。足の爪は割れ汚れている。堂々とした風情は残るものの、かつての威光は影を潜め、どこか弱々しく痛々しい・・

キミはもうかわいい猫でも、美しい猫でも、勇ましい猫でもなくなっていた。その姿には、何度も戦役に出て、老いの年齢に達し、もう戦うことができなくなった老兵が、住み慣れた我が家の変わりゆく姿を、まるで死の世界から見守っているかのようなうつろさがあった‥‥‥

と、と、ところが!! この老兵、ちゃねこが朝食からくすねてきたソーセージをバックからとり出すやいなや、2メートルもありそうなこの石版から飛び降り、すごい速度でソーセージめがけて突進し、はぐはぐ食べきったのでありました。茶猫のセンチメンタルな思いは、現実の猫世界の生々しさの前に、見事に打ち砕かれました。

考えてみればキミの恰幅は相当いい。つまり食いっぱぐれていなさそう。食べ物をめざとく見つけるわけだから、目も衰えていないはず。この高さにジャンプできるということ、あの突進ぶりから、足腰がしっかりしていることは明白だ。キミがすわっているこの石版に、数分前に別の猫が座っていたことが写真を整理していてわかった。つまり、数分前にここに乗っていた猫を追い払っている。この眺めのいい場所から、エサをくれそうな観光客を物色していたのかもしれない。ここは俺様の場所だと主張していたのかもしれない。

最後に見かけてから3年の歳月が流れた。その間も毎日、毎日、このローマ遺跡で、観光客相手にたくましく生きていたに違いない。狭くなった縄張りを必死に維持していたに違いない。路地猫の世界では、老兵はリタイアするときが死のときとなる。

エフェソスで、またキミに会えるときがくるのかな。もうこれで最後になるんだろうか。老いぼれたキミを見るのはつらいけど、老兵になってもなおしたたかに故郷の遺跡で生きるキミに、やっぱりまた会いたいよ。