CRASEED Rehablog ニューロリハビリテーションとリハビリ医療の真髄に迫るDr. Domenのブログ

ニューロリハビリテーションの臨床応用を実践するリハビリ科専門医・道免和久の日記【CRASEED Rehablog】

嚥下障害の対策怠った病院を提訴?

2005-11-19 08:03:50 | リハビリ
藤島先生や藤谷先生のリードにより、日本の嚥下リハビリテーションは本当に盛んになりました。

しかし、いまだに誤嚥していても放置していたり、嚥下造影検査(VF検査)すら行っていない病院が多いことは驚くべき事実です。(ある病院でVFを開始しようとしたところ、その検査はペイするんですか、と聞かれて驚きました。)それどころか、嚥下リハビリテーション自体が、医療の中で正式に認められていない(毎日、リハビリしても請求できない)事実を、どう考えれば良いのでしょうか?

何万例に1例の薬の副作用が新聞の1面に掲載されるのと同様に、いやそれ以上に、ほとんど全ての病院で今この瞬間も、何百何千例に実際に発生している誤嚥性肺炎に、国民の皆さんはもっと敏感になるべきです。超一流の急性期病院であっても、主治医に嚥下リハビリについての知識がない場合には、嚥下の検査は行われていないのが普通の状況です。

誤嚥性肺炎自体は医療事故とは言えませんが、少なくともその対策をしていない不作為責任(予見可能な状況を防ぎうる立場にある者が行動せずに放置することの責任)は問われる可能性があります。

病院経営者は少なくともVF検査だけは実施し、できれば言語聴覚士(ST)を雇用して、早急な対策を実施すべきだと思います。嚥下造影検査、食形態の工夫、嚥下リハビリ等によって、誤嚥性肺炎の確率を減少させることができるのですから。

見出しのような訴訟が実際に起こり得る時代です。
                    (道免和久)

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