松本清張 文春文庫 1957~58年初出
読んだことのない作家はあまたあり、松本清張もそのひとりですが、
文春文庫企画の清張生誕100年記念シリーズ第一回配本の「点と線」が、挿絵入り だったもんで、ついつい購入。
読んだことはないけど、駅のホームで「おや、あれはお時さんじゃないか?」のシーンはあまりにも有名なのでしょう、
これも見たことはないはずの映画のシーンを、そこだけは知っていたりして。
それにしても。
もはや古典だとはいえ、なぜそこに気がつかない?三原刑事!? の連発…
しかし、推理小説というよりは、もとより「鉄道」を主役としたハナシなのだとわかれば腑に落ちます。
初出は雑誌「旅」の連載。
作中作ともいえる亮子の随筆「数字のある風景」は、小文ながら、そして旅のままならない病人が想像に遊ぶ切なさとも相まって、秀逸です。
秀逸といえば、風間完画伯の手による挿絵(しかもカラー!)。
読後、24枚の挿絵ページだけを、
こんどはその絵にのみ神経をとどかせて、もう一度物語を反すうする楽しみを持てる、恐らくは清張ファンでもこの2009年版の文春文庫を新たに手に入れて損はないでしょう。
作中の鳥飼刑事の手紙、三原刑事の手紙も風雅なり。
つーか、風雅すぎ?(笑)
new 8冊目(全11冊目)