うおおっ。うかうかしている間に、まどさん、100歳になっちまった!
まど・みちお 集英社be文庫 2005年
で、4年前のまどさん96歳は、まだ車いすには乗っておられません。
まどさんの本、というか厳密にはまどさんのインタビュー集です。
「わたしっちゅう人間は…」
と、あの細い、やや甲高い声で、謙遜しまくりながら(ちょっとしすぎ)、自分と、詩と、絵を語るまどさん。
(まどさんの声を聞きたかったら、確か年明けのNHKでまどさん特集があるはずなので要チェック)
「アリだってちゃんと影を連れて生きているのを発見したときは、なんだか花束でももらったみたいな気分でした…」
私がどこかに切り捨ててきてしまったものを、96年あたためている人。
「だから私の詩は、「ゆのみ」ならゆのみという存在を読んだ読後感のようなものなんです…」
私がたどりつくはずもない、96年の先にも輝くこんな言葉へのシャープな感性。
文中、インタビュアーがまどさん壮年期のエッセイからの引用を紹介しているのですが、
言葉に対する感性はそのままに、でもそれがなんともギラギラしていると感じてしまうのは、
今がこんなにも「抜け」きった、超老年期のまどさんだからかもしれません。
「しかし、ボケてモタモタしとるっちゅうのも、そう悪くはないもんでね。さわやかな頭で書くのとは、また違った雰囲気の詩が生まれるんですよ。思考がボヤーッとしたり、くっきりしたり、広がったり、狭まったり…そういう違いを利用しながら、今の自分にできるような形で詩に向かうという試みをしつつあります。」
え? まどさんを知らない?
そんな方は、さ、「ぞうさん」をうたってみましょう。
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