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映画音楽史(257) 『夜霧のしのび逢い』 1965年公開

2014-10-13 00:36:08 | 映画音楽



『夜霧のしのび逢い』 The Red Lanterns (希) 1964年制作
監督 ヴァシリス・ジョルジアディス
音楽 セント・クサルカコス
主演 エレニ … ジェニー・カレツィ
    ペテロ … ディミトリス・パパミカエル
主題歌 『夜霧のしのび逢い』 ( La playa ) 演奏・クロード・チアリ

原作はアレコス・ガラノスの戯曲で、公娼制度の禁止を背景にした娼婦たちの愛を描いた風俗ドラマ。
公娼制度禁止法が施行間近のギリシャの小さな港町の歓楽街。そこで働くエレニはペテロと交際していたが隠していた
身分がバレてペテロは去ってゆく。アンナは船長と結婚の約束をしていたが船長は海難事故で遭難。他にも青年の親の
反対で結婚できない女、ヤクザに捨てられた女など不幸が続く。しかしエレニの前にペテロが現れて二人で出直そうと
約束を交わす。ついに禁止法が施行されて娼館も閉鎖となる。掃除婦のカテリーナも昔の恋人と共に町を去っていった。

主題歌の『夜霧のしのび逢い』はロス・マヤス楽団のリーダーであるジョー・ヴァン・ウエッターの作曲によるもので、
原題は " La playa " ( 浜辺 ) です。日本でもこの映画が封切りされる前には『ひとりぼっちの浜辺』というタイトルで
ラジオでもよく流れていたヒット曲でした。勿論この映画のために作られた曲ではありません。輸入されたフィルムには
このテーマ曲は影も形もなかったのですが、本邦公開にあたって タイトル・バックとエンディングにクロード・チアリの
ギター演奏をサウンド・トラックに貼付けため、『夜霧のしのび逢い』という邦題でレコードがリリースされました。

↓はクロード・チアリの『夜霧のしのび逢い』 YOUTUBEより



原曲の『ひとりぼっちの浜辺』は私にとって強い思い入れのある曲でしたが、この映画でクロード・チアリのレコードが
大ヒットしたことにより、それ以後『ひとりぼっちの浜辺』というタイトルのすべてのレコードが強引に『夜霧のしのび逢い』
に改名されてしまいました。『ひとりぼっちの浜辺』というタイトルに大切な思い出を持つ私にとってはとても不愉快な
話です。ロス・マヤス楽団の原曲はクロード・チアリのガチャガチャとした演奏とは違い、しっとりとしたムードで技術も
格段に違うと思いますので聞き比べてください。

↓はロス・マヤス楽団の『ひとりぼっちの浜辺』 YOUTUBEより


また、この曲は女優のマリー・ラフォレやカテリーナ・ヴァレンテなどもレコードをリリースしていました。
マリー・ラフォレの歌唱は隠れた逸品です。

Cuando la playa se inundó de luz, y sol
y cuando el mar con su rumor habló de amor
cuando soñaba en el azul
fue a imitar este soñar llegaste tú

↓はマリー・ラフォレの『ひとりぼっちの浜辺』 YOUTUBEより




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2 コメント

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『ひとりぼっちの浜辺』 (通りすがり)
2018-03-12 10:37:08
題名が変更されて残念と言うお気持ち、
私からすると最初から訳が間違っているのです。
La Playa と言うスペイン語はただ単に「浜辺」
でして、英語で言うと The Beach と言う意味です。
『ひとりぼっちの浜辺』を正しいスペイン語で言いますと、 Solo En La Playa と言う事になります。
最初に Yo とつけても意味は同じです。

映画音楽を含めて多くの外国の音楽が間違って
翻訳されている事に「違うだろ」と言う気持ちが
湧いてきます。それで色々調べているうちに、
貴兄のページに行き当たりました。

余計な事とは十分承知してます。
参考まで。


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通りすがりさんへ (Chochin)
2018-03-13 06:33:09
この曲の原題が『浜辺』であることは勿論承知しております。

弊ブログの2015-08-13 続・60年代ポップス変遷史
https://blog.goo.ne.jp/chochi4510/e/0ff05a21d722c0e7b1c6198297b01e67
におきましても原題が『浜辺』だと記述している次第です。
レコード会社が邦題を単に『浜辺』とするよりも敢えて情感のこもった
『ひとりぼっちの浜辺』というタイトルで売り出したことにつきましては
その哀愁のこもった曲調からも逆に高く評価しています。

ただ、『ひとりぼっちの浜辺』をリアルタイムで聞いていた時期と
青春の大切な思い出の一ページが重なる私にとっては
ロス・マヤスやマリー・ラフォレは『ひとりぼっちの浜辺』というタイトルでなくてはなりません。
単純に映画のサウンドトラックに貼り付けられてヒットしたという理由で
『ひとりぼっちの浜辺』というタイトルを完全に無かったことのごとく
既存のすべてを『夜霧のしのび逢い』に刷新してしまったことを嘆いているのです。
特に、マリー・ラフォレの歌詞は、「夏の恋が失せて人気のない浜辺に一人たたずみ波に消えていく足跡をみつめる」
という内容なので、これを歌詞との全く関連のない『夜霧のしのび逢い』に改題したことは暴挙の一言に尽きます。

貴兄がご指摘のように、邦題につきましては「違うだろ」と思うものも多い反面、
原題よりもナイスなものも多くあり、これこそ様々ですね。

コメントありがとうございました。

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