名言暴言直滑降

自作の詩や、いろんな人の名言暴言を紹介。

ゾウ

2012-05-20 02:06:33 | さ行 (自作の詩)
天に仰ぐ
シンボル

あの頃
ぞう列車にのっていたこどもたちは

毒を盛られたこの社会をみて
日本が勝つと思うのかしら

雲の切れ間から
こどもを抱き上げる腕

高い高い

高速なのか拘束なのかはわからない
エレベーターで
ぞうの背中に到着

お母さんも先生も
おとなはみんな
天に近づけようとする

ぞう列車よ走れ
闘争なのか逃走なのかはわからない

重い足取りと優しい目
そんな人を病院で見た気がする


きりん

2012-05-20 00:45:49 | か行 (自作の詩)
恥ずかしげもなく
待ち侘びた
ちっとも
ちっとも待ってくれない
追いつけない程
遠くに行ってしまったから
見つけるために
首を伸ばすしかなかった

あらゆる方法で
きりんはきりんであろうとした
あらゆる方法で
きりんはきりんでなくなろうとした

上を向いて
遠くまで見渡せる高さまで行きたくて
眩しい太陽の光を浴びて
雨を食べて
世界を見渡せるようになるまでは
下を向いては駄目

どのビルよりも高く
どの山々よりも高く
志が支えたきりんの首はとうとう雲を突き抜けて
宇宙に一番近い場所まできたところ
初めてそっと
下を向く

もはや自分の体は豆粒ほどで
誰が誰だかわからない
地平線の彼方
遠くの景色を見下ろして
きりんは少し恥ずかしそうに笑って泣いた

地上では大粒の雨が降ったけれど
そんなのきりんのせいだなんて
誰も気付かなかった

唯一
きりんの首を伸ばしたあいつを
除いては