世界に君

片時も忘れた事はない
私が私である以上に
君が君である事を
誰もが誰かの以上でも以下でもないこの世界で
時だけが忘れ去られていくこの世界で

濁点

今日も雨が降ったので
私の心は水溜りよりも濁ってしまった
誰かの歌声もノイズになってしまった
汚いものは溢れさせては駄目だ
明日になれば雨は止む

切り絵

ハサミ、
君が両手で僕を抱いたら
バラバラに切られてしまう
僕は紙だ

どうして　紙なんだろう
ペン、
あの子が僕を撫でる
あの子に染められる
僕は紙だ
ただの紙

僕は小さく体を重ねて
何度も何度も
あの子に染められた体を隠すように
ただの折った紙になって
もう一度君に抱かれる
そんな簡単には
切らしてやんないぜ

ところが君は僕の心に穴をあけた
ちょっと抱かれただけなのに
紙を開くと不思議な模様になっていた