湖のほとりから。

花と空と心模様を写真と詩と文に託して。

さくら、さくら

2018-03-28 15:22:40 | 日記
あちらこちらで
桜の便りがひしめき合っている

うちの今はいない両親も
毎年のように
桜の季節になると
『もう今年で桜も見納めかなぁ』と
いつの頃からか言い始めていても
変わらず毎年毎年と
年を重ねていっていた


去年の桜は
車の中から桜のトンネルを見たよね


しかし
今年の桜は
もう見ることは出来なかったね


ふと見上げた桜に思いを寄せた



つい数日前まで
私は北九州にいた

うちの相方の実家近くにある
推定、樹齢150年の桜は
山里の奥にあるために
まだ少ししか咲いていなかった


菜の花とミモザの黄色い花々に
囲まれたその山桜は
満開になるまではまだまだだったけれど

もし、満開になれば
それはそれは
素晴らしい眺めとなることでしょう








義母を
施設より法要のために連れ出した


やはり、義母は
その山桜のことを聞く


その桜の咲く様を見せてあげたかった

お彼岸に入ってから寒さが戻ったために蕾はまだ堅い


自分の親を亡くして
初めて知る『親が居ることの意味』
相方の兄妹は
その意味を知らないまま

私は
どうしても義母に桜を見せたかった
街の川沿いに咲いた桜を
車の中から見せていたけれど
何か物足りない

ちょうど
法要場所の温泉旅館の中庭に
桜が咲いていた


車椅子を止めながら
『桜だよ、桜が咲いてるよ』と
淡い色の上品な桜が
背伸びするように
囲まれた空間で
さも愛でて欲しいよと言いたげに咲いていた


ふと、自分の母にでも話しかけるように、桜のほうに指を指していた


義母は喜んで
桜の花びらのように
笑顔がほころんだ


今、見ている義母の目を通して
自分の親も
空から私を見つけて
一緒に見てくれているだろうか

せめて
まだ少しは元気な義母に
桜の花を見せることが出来て良かったと心から思いながら


その桜を見て
法要を済ませた夜

お彼岸ももう終わりを告げ行く日

私の夢の中に
私の両親が手に手を取って
私の方を見ている夢を見た

そうね
ちょうど
父が亡くなって百か日が数日過ぎたころ


もう
そんなには泣かなくなった私を見届けにきたのね

そしてまた
遠くの場所に行くんでしょ

大丈夫だよ、わたしは。

桜の花、見たでしょ

大丈夫だよ、毎年思い出すから。













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