湖のほとりから。

花と空と心模様を写真と詩と文に託して。

柿の種のおばあさん

2020-03-06 22:07:00 | コラム
時折、JAの産直のお店にいく。

スーパーに行く前に
野菜をもとめて行ったりする。

今日も、例の『大根の酢漬け』をつくろうと、寄ってみた。

JAの産直店は、
小さな道の駅のようで
それぞれの場所に生産者の名前を示したバーコードや値段が貼ってある。

農家の方々が
家で作った野菜を持ち寄ったりして、スーパーには出回らないものや
新鮮さは抜群で、安いときてる。

今日は、大根とブロッコリーを買おうとしていた。

棚に野菜達を並べてるお年寄りがいた。
いつも、私が大根を買う棚だった。
並べてる邪魔もいけないなぁっと思い、しばらくウロウロしていた。

声が聞こえてくる。
JAの職員と、そのおばあさんとのやりとり。

『そんなこと言っても、100円で売るつもりで来たのに、110円で売れって言うのはなぁ、どうも、こんなので、110円は高いんじゃないかー』

『いや、おばちゃんとこのは、評判がいいから、かえって、その野菜を100円だと安すぎるからさー』と職員の人が言ってる。


私はあたりを見渡してみた。


100円で出している他の棚なんて見当たらない。
120円や、150円ならあったけど。


そのおばあさんの棚はいつも、立派な野菜が並んでる。


私は
おもむろに近づいて
ブロッコリーを手にすると
『立派なブロッコリーだこと!』って
私が先に口から出ていた。

おばあさんは、
『あら、そうかい?いま、110円でって言われたのだけど、いいのかなー』

『私、これ、110円で買います』って言って、おばあさんの方を見たら
ニコッと嬉しそうな顔をしてた。

私は丸く固く立派なブロッコリーより、脇芽からでるコロンとした小ぶりのブロッコリーの方が好きなので
袋に沢山入ったブロッコリーを持った。






『いつも、私。この棚から買わせてもらってます。おばあちゃん、いつまでも、野菜を作って出してくださいね』

『いいやー、もう80は過ぎてるから、そんないつまでもって作られないよ』笑いながら言っていた。


『わぁ、若い若い。まだまだ、元気で作って下さいよ。私はまた買いにきますから』

『そうかい?そいかい?ありがとう』クシャクシャな顔に笑顔が溶けてるような顔だった。


私がレジに運んでお会計を済ませたあと
おばあさんは、待ち兼ねたようにしながら、私を追いかけてきた。

レジのJA職員さん達に
背を向けるようにして
私に何かを手に押しつけてきた、

カシャカシャと
お菓子の小袋のような、、。

『あ、もらっていいの?』

『褒めてもらったから、持っていってー、見つからんように、ほれ。
あとで食べれー』と。

『ありがとう、うれしー
おばあさんも元気でね。またね』

『うんうん』
小さな体が愛おしい。


手につかまされたのは、
柿の種(笑)

可愛らしい、お茶目なおばあさんだった。

こう言うのって
めっちゃ、嬉しいんだよね。







この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 大根の酢漬けの作り方 | トップ | 沈丁花のころ »
最新の画像もっと見る