湖のほとりから。

花と空と心模様を写真と詩と文に託して。

その三年後の春の日

2018-03-17 11:14:35 | 日記
あの沈丁花が香るレンガ作りの
建物の前の家

片思いの彼とは
まだ、続きがあってね


その約3年後の
数々の大学受験や
専門学校の受験が終わりを告げるころ
ある特殊な学校の受験が始まる


国公立なからなる専修学校というくくり

とある国立の病院の付属の専門学校という場所

そこに行くまでには、
電車で乗り換えが1回


まさか、受験生達がそれぞれ
自分の受験番号の札をもって
並んでいるところに
その彼がいたとは、、、。

偶然の再会

同じところを受験する!

数々の専門学校がある中で。

まして、彼はバリバリの進学校というのに。


自分達の受験番号を見せ合いしながら
その番号は、たんに計算すれば
合格の人数をはるかに超えた番号に
笑い合い、苦い受験戦線だとしかめ面になりながら。


じゃぁ頑張ろうねって
そこでサヨナラした


試験が終わって駅に行けば
また、その彼と再会の再会


どうだったー?
ダメだと思うー。
俺もー。


キャキャッと笑い合い
自分達の住む街まで
なんとなく一緒に電車に乗っていた
徐々に乗客が増えていくけれど
私の正面に立ち
周りからガードしてくれているような気配


友達のこと
高校のこと
将来のこと
ギターや音楽のこと


話しているうちに
電車は朝、出発した駅に到着した


早い早い時間だった



♪ なんの約束などすることもな
それじゃーまたなぁって別れるときの
お前がいい ♪


そのままバイバイって。


決して
嫌いな素振りは見せない
優しい優しい彼だった。


その後
彼は母親を早くに亡くしたせいなのか
かなり年上の女性と結婚し
都会のとある大きな舞台を持つホールの
ミキサーを担当していると
風の便りで知ることになる



その彼の家の前にあった
レンガ作りの建物は、
現在、分譲マンションになっているらしい


沈丁花の香りも
もうしないのかもしれないね。


あの時代はあの時代で終わってしまったもの


それはそれでいいと思う


こうして
沈丁花の香りが時々呼び覚ましてくれる素敵な思い出となったから。







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