湖のほとりから。

花と空と心模様を写真と詩と文に託して。

義母の入院時にみた九州のオナゴの強さ

2019-12-03 20:55:00 | 日記

義母が入院した
初めてのことではないが、
今回が一番大変な状態だった

肺炎から敗血症になりかけるも
ギリギリのところで
数値は下がり始めたらしい
しかし、急な下がり方ではなく
一番強い薬を2週間
普通なら良くなるはずが
数値はある一定のところから
じょじょにしか下がらない

せん妄にもならず
意識はハッキリしてる義母の強さを見た

『飯がほしかぁ〜、こん病院は食わしてくれんもんね、チカラもなんもでんけん、キツカ〜』

薬がキツイわけでなく
熱が続いたのがキツイわけでもなく
絶食が辛いと言う

『今度、元気になったら、ご飯食べに行こうね、約束ばい』

私がそう言うと
ニッコリして、小指を絡ませてくる

かつては
憎いと思った嫁だったはずの私に。

いつ、帰るのかと言う
時間は大丈夫かと言う

涙目なのに
『はよう帰らんば、乗り遅れてしまうけん、いきんしゃい』


その目の涙をぬぐってやりながら
『うんうん、またすぐに会いにくるけんね』


手を握り
握り返すチカラを確かめる
返されてきたそのチカラは
力強く
まだまだ大丈夫だと思った。


飛行機でいったので
飛行機で帰る
至極当たり前?
しかし、
あまり飛行機は得意ではない


今回も、疲れてる上に
飛行機の出発の遅れと
離陸場所に移動するのに
どれだけの時間を費やしたのか

それからやっとの離陸寸前

揺れますからとのアナウンス

シートに押し付けられる
Gがかかったあと
ふわりと舞い上がる

前尾から浮いて
後尾が陸から離れたとき
自分の体重が感じられなくなる
その一瞬が好きかもしれない


やがて、窓からは
しばらくは、福岡の街のネオンが
美しく見えていた

数ある空港の中
これほど大都市の真上を行き来する場所もないのではないかと思う

上から見る上では
夜景がキラキラと煌くのは
美しいものではあるが、、、。

それも束の間
雲の中へと入ってしまえば
もうネオンすら見えなくなってしまった

諦めなきゃ
この気怠いフライトは暗闇の中へ


ふと、窓の向こうに光るもの
クッキリとした光は三日月か?


うそ、ネオンじゃなくて三日月だ


かなり下に雲海が広がり
街の灯りに縁取られたように
雲と雲のうねりが
海のように横たわる
いつかテレビで見たような
夜光虫に映し出された海ににてる


そのはるか上に三日月が
我関せずの面持ちで凛と輝く


飛行機から
三日月を見たのは初めてだ


飛行機の窓からだと
見上げなくとも
同じ水平線の目の高さに見える


凛と静かな時間

しばらくは月と一緒にいるかのようだ


空想してみる


暗闇の中で飛ぶ機体が
微かな三日月の光で輪郭を表す



雲の上は
お天気だと言う経験はなんどもしてきてるから、三日月が見えようと
当たり前だと言えば当たり前


しかし、
どうして涙が出てくるのだろう
初めて雲海を見た時のように

とめどなく
とめどなく
ぬぐっても、ぬぐっても


自分でも
よくわからない感情

それが嫌だったのか
三日月は姿を消してしまった


雲の中のイナビカリと
相当な揺れを抜けたら
いろんな形の半島らしきものを
いくつもいくつも飛び越えていく

この下の光の一つ一つにドラマが宿る

数えきれないドラマの中にいて
懸命にいきているんだろうなぁ


そう思っていたときに
もうすぐ到着のために
着陸体制に入りますとアナウンスがあった

あ、もう少し、、、。

あ、三日月がまた顔を出して
別れを惜しんでくれていたようだ


しかし、
どうしても、
三日月の写真が撮りたいと思えども
いかんせん、持っているのはスマホで。

すこし悔しい感じを残したまま
また、三日月は空の彼方へ行ってしまった。














コメント (3)
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