惰天使ロック

原理的にはまったく自在な素人哲学

首都圏便所紙騒動再訪(2)

2011年03月18日 | miscellaneous
はじめまして。私にはわからないことがあります。なぜ、大きな被災もしていない人々が買いだめをするのか?どういう心理が人々をそうさせるのでしょうか?
(miniyoyama_maru)

これは、ほかの先生の受け売りなのですが、一種の不安解消行動らしいです。なんとなく納得ですよね。
(rkayama)

rkayamaというのは精神科医の香山リカさんである。このネタを最初にblogで書いたとき、わたしも「今のところは、40年ぶりのトイレットペーパー騒動程度のことで済んでいるだけ(トイレットペーパーに不安をぶつけていられるだけ)ましなのだと思うべきなのか」と書いたが、どうやらあれはそれほど間違った見立てではなかったということか。

・・・と思いつつ、「ほかの先生」って誰だよと思って「不安解消行動」でググってみると、精神医学や心理学の専門的なサイトでこの語を解説しているページが見当たらない。テレビで心理学者の誰それが言っていたというblog記事や、上掲のごときtwitterの呟きばかりである。いずれ知人の専門家にも訊いてみようと思うが、いずれにせよ専門家の間でもそれほど普及した術語ではないように思える。普及した術語なら英語表現があるはずで、テキトーに「anxiety dissolving behavior」とかでググってみてもそれらしいものは出て来ない。テキトーすぎるか。

それはそれとして、なんでトイレットペーパーなんだろうな、というようなことを、ファミレスでメシ食いながら(笑)しばらく考え込んだ。大きな不安に直面して、直接的にその不安を解消する手段がない(あるいはその手段から疎外された立場にある)ようなとき、人間はだいたい手あたり次第の行動に出るというのは、それこそ「なんとなく納得」できることではあるわけだが、それが特にトイレットペーパーでなければならない理由がよく判らない。

40年前の時はまだ、オイルショックという背景事実がすでに厳然としてあった。紙資源もエネルギーもすでに大部分は輸入に頼っており、また当時は内需がまだまだ貧弱で加工貿易が経済の主軸であったわが国で、両者を短絡させた「急性都市伝説」とでも呼ぶべきものが出現するのは、それ自体は荒唐無稽であったにしても屁理屈がつけられないほどのものではなかったと言える。今回の場合それはない。確かに、今般の大震災によって首都圏の電力供給は著しい大打撃を蒙ったし、経済も一層沈滞することは避けられないだろうが、そこから一足飛びにトイレットペーパーに向かう大衆的心情の論理がわからない。思うにこの論理を実証的に跡づけて解明してみせるだけでも立派な社会学ないし社会心理学の論文になるのではあるまいか。

(つづくかもしれない)
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