近年,CO2 削減の観点から再生可能エネルギーへの注目が高まっている.特に太陽光や風力発電の伸びが著しいけど,これらの発電方式は天候に左右され出力が不安定で,
かつ同期化力をもたないインバータによって連携されるため周波数調整能力がないでつ。
よって電力系統に大量接続した場合に系統を不安定にする恐れがあるでつ。
系統安定化のために,起動性と負荷追従性に優れた航空転用型ガスタービンと発電機の同期調相機運転の組合せが北米で多く適用されているでつ。
近年,燃料節減や二酸化炭素排出量削減の観点から再生可能エネルギーへの注目が高まっているでつ。
特に初期投資が比較的安価な太陽光と風力発電の設備増加が著しいでつ。
太陽光・風力発電は発電量が天候に左右されるため出力が不安定であり周波数調整能力をもたず,また,回転部をもたない非同期の発電方式のため,
電力系統の過渡安定度の低下をもたらすでつ。
出力の安定している地熱,バイオマスといった電源の増加が望まれるでつが,これらの総設備容量は太陽光・風力と比較すると小さく,さらに地熱発電は
立地条件などの制約から今後の増加も多くは…
このような不安定な電源が大量に電力系統に接続された場合,再生可能エネルギーの出力変動によって系統の安定性が保てなくなる恐れがあるでつ。
電力供給は,電圧・周波数の安定した良質な電気を安定して供給することが求められるでつ。
電気は光速に近い速さで伝わるため,常に使用する分だけを発電する必要があるでつ。
現在は発電側が需要を予測し,発電量が余裕をもつように運転する発電機を決めて需要に対応しているでつ。
負荷の急増/減に発電機が対応できなければ電圧・周波数が低下/上昇するでつ。
電圧・周波数が規定値以上変動すると電力設備が機器保護のために解列され,停電の原因。
また,現在の電力系統では多くの同期発電機が運転しているため,その回転の慣性力によって周波数変動はあまり問題とならないけど,
再生可能エネルギーの発電量増加によって運転する同期発電機が減少すれば負荷の増減が周波数の低下/上昇に与える影響が大きくなるでつ。
この出力変動を補うために蓄電池の開発が現在盛んに行われているでつが,出力当たりの価格が高価で,また決められた電力量しか放出できないと
いう欠点があるでつ。
さらに出力変動に対応して細かい充放電を繰り返すと寿命が短くなってしまうでつ。
また,これまでは基幹系統から末端へほぼ一方向に流れていた電力が,各地に設けられた太陽光・風力の発電設備から系統へ供給されるようになったでつ。
これらの発電施設は曇天・夜間や無風時には電力を供給できないため,時間帯によって電力潮流の著しい変動を招くでつ。
潮流の変動は需要家端の電圧変動の原因。
この問題に対応するため航空転用型ガスタービンと,タービンにクラッチ接続した発電機セットの系統安定化電源としての導入を提唱。
この方式は現在,すでに大量の再生可能エネルギーが系統に接続されている北米で調整電源として多く採用。
航空転用型ガスタービンの一つで,アメリカで多く運用されている GE LM6000 ガスタービンのカット図を示すでつ。

航空転用型ガスタービンは,航空機用ジェットエンジンを陸上用に転用したエンジンで,起動性・負荷追従性に
非常に優れているという特長をもつでつ。
提唱している発電機セットは,需要が大きい時間帯には航空転用型ガスタービンを運転して負荷調整を行い,発電需要が少ないときには
発電機をガスタービンから切り離し,同期調相機( Synchronous Condenser ) として運転して無効電力を供給することで,電圧を安定させることができる発電設備。
ここで、特に断らない限り無効電力とは、遅れの無効電力を指す。
現在,日本国内では航空転用型ガスタービンは工場電源や非常用ポンプ電源などに多く採用されてるでつ。
また,電力小売の自由化対象拡大に伴い特定規模電気事業者と電力購入契約をする発電事業者へも導入されているでつ。
同期調相機はごく一部の変電所にのみしか設置されていないでつ。
航空転用型ガスタービンの高い性能については既報で詳細に報告されているので、同期調相機に焦点を当て,今後の再生可能エネルギー大量導入時の系統安定化対策として,
同期調相機が有効な手段かどうかを検討。

航空機ジェットエンジンの大手 3 社が航空転用型ガスタービンとして販売しているでつ。
エンジン出力が 25 ~ 100 MW であるため,航空転用型ガスタービンとセットにする同期調相機として,無効電力供給容量が小型のもので約 +18 ~ -8 Mvar,
大型のもので +70 ~ -30 Mvar 程度( + が遅相 )を想定するでつ。
送電においては機器を適正に使用できる電圧範囲に保つよう運用の上下限電圧と基準電圧を定め,電圧・無効電力を調整するのが一般的。
力率の進み・遅れ過ぎはそれぞれ電圧の上昇・降下を招くため,無効電力を適切に消費・供給することが求められるでつ。
現在は系統への無効電力供給には主に電力用コンデンサが用いられているでつが,コンデンサの信頼性が低い時代は同期調相機が使われているでつ。
同期調相機による電圧安定は、同期調相機は電動機を無負荷運転するもので,固定子の励磁強度を変更することで進み・遅れの無効電力を発生させることができるでつ。
無効電力の高速かつ無段階の制御が可能で,回転による慣性と誘導起電力をもっているため自らが電圧源であり,系統電圧が大幅に低下した場合でも系統電圧を回復することができるでつ。
これは,電力用コンデンサや静止型無効電力補償装置 ( SVC : Static Var Compensator ) にはない同期調相機の最も大きな長所。
だけど,大きな回転体であるために設備が高価かつ保守・取扱いが難しく,また機械的ロスが比較的大きいという短所もあるでつ。
系統の電圧安定には無効電力が大きく影響するでつ。
また,長距離送電において送電損失を少なくするためには力率の調整が重要であることは古くから言われてて,同期調相機や進相コンデンサを用いた進相調整が行われてきたでつ。
発電機と電動機の構造が同じであることを利用し発電機を同期調相機として運用する試みは日本では 1930 年ごろから活発化し 1960 年ごろまで多くの発電所で調相機運転が実施された記録が残っているでつ。
講演会における質疑討論によれば,1910 年ごろから東京市内ではすでにこのような運転が行われていたようでつ。
このころは,水力発電の発電量が減少する冬季にのみ運転する火力発電所設備が夏季に稼働しないことに着目し,夏季の間のみ火力発電所を同期調相機として運転。
これによって,電力の消費地から遠い水力発電所からの送電効率が向上。
発電機を同期調相機として運転するときには,発電機と原動機のカップリングを切り離して始動用の電動機で同期速度まで加速する方法がもっぱら採られていたでつ。
その後,コンデンサの信頼性向上と大容量化によって,送電網の力率調整には安価で経済的なコンデンサ・リアクトルとタップの組合せが使われるようになって,
同期調相機の新設はなくなったでつ。
だけど、工場などにおける機器の大型化によって電圧安定性問題が顕在化した 1980 年代に即応可能な無効電源として注目されて,再び設置されるようになった でつ。
1980 年ごろには原動機と発電機を回転したまま嵌かん脱できる同期クラッチが開発されて,ピーク運転用のガスタービン発電機を運転したまま発電機から同期調相機に切替える方法も
提案されているでつ。
1980 年代の終わりには半導体技術の進化に伴い SVCが開発されたでつ。
現在の調相設備の配置は経済性を考慮して決定されてて,大部分ではコンデンサ・リアクトルを用い,電圧安定性に問題がある系統での SVC の設置が増えている同期調相機は電圧維持の必要性が
特に高い一部の高圧変電所にのみ設置されているでつ。
発電機の調相機運転については,現在は水力発電所や揚水発電所の一部で行われているでつが,火力発電所では行われていないのが現状でつなぁ~
再生可能エネルギー大量導入時の同期調相機は、同期調相機はコンデンサ・リアクトルと比較し,
① 無効電力の発生・吸収の両方が可能
② 過渡安定効果をもつ,
という優れた調相機能をもっていることが分かるでつ。
さらに SVC と比較しても過負荷能力でまさっているでつ。
だけど,現在は設備費・運用コストが高いためにちと厳しいでつなぁ~
高コストな同期調相機が必要となる理由として以下が挙げられるでつ。
・ 再生可能エネルギーの急激な出力変化に対応する必要性
・ 太陽光・風力発電のような非同期電源の増加による周波数維持能力の低下に対する効果前項で述べたコンデンサ・リアクトルによる力率調整では,予測可能な比較的ゆっくりとした
需要の変化に対応し,タップ切替で接続設備の容量を変えるでつ。対して同期調相機では固定子の励磁強度を変更,つまり固定巻線に流す電流の量を変更するだけで消費・供給する
無効電力の量を調整できるでつ。よって,負荷の急変動への即応性をもつでつ。
さらに同期調相機は優れた電圧安定性をもち,電圧制御の下限範囲を超えても内部誘起電圧によって運転電圧80%程度までは一定の無効電力を供給し続けるでつ。
この性質から,負荷変動によって系統電圧が低下した場合でも電圧を回復させ,停電の発生やその拡大を防ぐことができるでつ。
周波数維持能力については,機器サイズと慣性力の定量的な効果の算定方法をこれまでの調査では見つけることができなかったでつ。
今後も引き続き調査を続けていくでつ。
航空転用型ガスタービンに対応する発電機サイズでは,同期調相機として運転したときの無効電力供給力は+70 ~ -30 Mvar 程度と見込まれるでつ。
よって,従来のような高圧変電所への設置ではなく,需要家側や再生可能エネルギーの発電設備に近い場所への設置が適していると考えられるでつ。
また,再生可能エネルギー発電設備の近くへ設置すると,負荷変動の激しい分散型電源が増えることによる電力潮流の大きな変化を防ぐ効果が見込まれるでつ。
よって,狭い範囲の系統でどのような性能が求められるかを検討していく必要があるでつ。
再生可能エネルギー大量導入時の同期調相機による系統安定化について,その有効性を検討。
まず,同期調相機が日本においてどのように使われ始め,また使われなくなったかを調査。
将来,再生可能エネルギーが大量に系統に接続された際に,同期調相機は無効電力制御の即応性,大きな電圧降下時の電圧回復性能,
回転エネルギーによる周波数維持能力によって系統安定に貢献できると考えられるでつ。
また,今回は同期調相機としての能力のみを述べたが,発電機として運転し有効電力を供給する場合も併せて系統安定に貢献できる運用方法を検討する必要があるでつ。
今後は,電力系統の過渡的な安定性も含めたより詳細な検討を実施し,航空転用型ガスタービンと同期調相機のセットをどこに設置するのが効果的かを探っていく
必要性があるでつ。
かつ同期化力をもたないインバータによって連携されるため周波数調整能力がないでつ。
よって電力系統に大量接続した場合に系統を不安定にする恐れがあるでつ。
系統安定化のために,起動性と負荷追従性に優れた航空転用型ガスタービンと発電機の同期調相機運転の組合せが北米で多く適用されているでつ。
近年,燃料節減や二酸化炭素排出量削減の観点から再生可能エネルギーへの注目が高まっているでつ。
特に初期投資が比較的安価な太陽光と風力発電の設備増加が著しいでつ。
太陽光・風力発電は発電量が天候に左右されるため出力が不安定であり周波数調整能力をもたず,また,回転部をもたない非同期の発電方式のため,
電力系統の過渡安定度の低下をもたらすでつ。
出力の安定している地熱,バイオマスといった電源の増加が望まれるでつが,これらの総設備容量は太陽光・風力と比較すると小さく,さらに地熱発電は
立地条件などの制約から今後の増加も多くは…
このような不安定な電源が大量に電力系統に接続された場合,再生可能エネルギーの出力変動によって系統の安定性が保てなくなる恐れがあるでつ。
電力供給は,電圧・周波数の安定した良質な電気を安定して供給することが求められるでつ。
電気は光速に近い速さで伝わるため,常に使用する分だけを発電する必要があるでつ。
現在は発電側が需要を予測し,発電量が余裕をもつように運転する発電機を決めて需要に対応しているでつ。
負荷の急増/減に発電機が対応できなければ電圧・周波数が低下/上昇するでつ。
電圧・周波数が規定値以上変動すると電力設備が機器保護のために解列され,停電の原因。
また,現在の電力系統では多くの同期発電機が運転しているため,その回転の慣性力によって周波数変動はあまり問題とならないけど,
再生可能エネルギーの発電量増加によって運転する同期発電機が減少すれば負荷の増減が周波数の低下/上昇に与える影響が大きくなるでつ。
この出力変動を補うために蓄電池の開発が現在盛んに行われているでつが,出力当たりの価格が高価で,また決められた電力量しか放出できないと
いう欠点があるでつ。
さらに出力変動に対応して細かい充放電を繰り返すと寿命が短くなってしまうでつ。
また,これまでは基幹系統から末端へほぼ一方向に流れていた電力が,各地に設けられた太陽光・風力の発電設備から系統へ供給されるようになったでつ。
これらの発電施設は曇天・夜間や無風時には電力を供給できないため,時間帯によって電力潮流の著しい変動を招くでつ。
潮流の変動は需要家端の電圧変動の原因。
この問題に対応するため航空転用型ガスタービンと,タービンにクラッチ接続した発電機セットの系統安定化電源としての導入を提唱。
この方式は現在,すでに大量の再生可能エネルギーが系統に接続されている北米で調整電源として多く採用。
航空転用型ガスタービンの一つで,アメリカで多く運用されている GE LM6000 ガスタービンのカット図を示すでつ。

航空転用型ガスタービンは,航空機用ジェットエンジンを陸上用に転用したエンジンで,起動性・負荷追従性に
非常に優れているという特長をもつでつ。
提唱している発電機セットは,需要が大きい時間帯には航空転用型ガスタービンを運転して負荷調整を行い,発電需要が少ないときには
発電機をガスタービンから切り離し,同期調相機( Synchronous Condenser ) として運転して無効電力を供給することで,電圧を安定させることができる発電設備。
ここで、特に断らない限り無効電力とは、遅れの無効電力を指す。
現在,日本国内では航空転用型ガスタービンは工場電源や非常用ポンプ電源などに多く採用されてるでつ。
また,電力小売の自由化対象拡大に伴い特定規模電気事業者と電力購入契約をする発電事業者へも導入されているでつ。
同期調相機はごく一部の変電所にのみしか設置されていないでつ。
航空転用型ガスタービンの高い性能については既報で詳細に報告されているので、同期調相機に焦点を当て,今後の再生可能エネルギー大量導入時の系統安定化対策として,
同期調相機が有効な手段かどうかを検討。

航空機ジェットエンジンの大手 3 社が航空転用型ガスタービンとして販売しているでつ。
エンジン出力が 25 ~ 100 MW であるため,航空転用型ガスタービンとセットにする同期調相機として,無効電力供給容量が小型のもので約 +18 ~ -8 Mvar,
大型のもので +70 ~ -30 Mvar 程度( + が遅相 )を想定するでつ。
送電においては機器を適正に使用できる電圧範囲に保つよう運用の上下限電圧と基準電圧を定め,電圧・無効電力を調整するのが一般的。
力率の進み・遅れ過ぎはそれぞれ電圧の上昇・降下を招くため,無効電力を適切に消費・供給することが求められるでつ。
現在は系統への無効電力供給には主に電力用コンデンサが用いられているでつが,コンデンサの信頼性が低い時代は同期調相機が使われているでつ。
同期調相機による電圧安定は、同期調相機は電動機を無負荷運転するもので,固定子の励磁強度を変更することで進み・遅れの無効電力を発生させることができるでつ。
無効電力の高速かつ無段階の制御が可能で,回転による慣性と誘導起電力をもっているため自らが電圧源であり,系統電圧が大幅に低下した場合でも系統電圧を回復することができるでつ。
これは,電力用コンデンサや静止型無効電力補償装置 ( SVC : Static Var Compensator ) にはない同期調相機の最も大きな長所。
だけど,大きな回転体であるために設備が高価かつ保守・取扱いが難しく,また機械的ロスが比較的大きいという短所もあるでつ。
系統の電圧安定には無効電力が大きく影響するでつ。
また,長距離送電において送電損失を少なくするためには力率の調整が重要であることは古くから言われてて,同期調相機や進相コンデンサを用いた進相調整が行われてきたでつ。
発電機と電動機の構造が同じであることを利用し発電機を同期調相機として運用する試みは日本では 1930 年ごろから活発化し 1960 年ごろまで多くの発電所で調相機運転が実施された記録が残っているでつ。
講演会における質疑討論によれば,1910 年ごろから東京市内ではすでにこのような運転が行われていたようでつ。
このころは,水力発電の発電量が減少する冬季にのみ運転する火力発電所設備が夏季に稼働しないことに着目し,夏季の間のみ火力発電所を同期調相機として運転。
これによって,電力の消費地から遠い水力発電所からの送電効率が向上。
発電機を同期調相機として運転するときには,発電機と原動機のカップリングを切り離して始動用の電動機で同期速度まで加速する方法がもっぱら採られていたでつ。
その後,コンデンサの信頼性向上と大容量化によって,送電網の力率調整には安価で経済的なコンデンサ・リアクトルとタップの組合せが使われるようになって,
同期調相機の新設はなくなったでつ。
だけど、工場などにおける機器の大型化によって電圧安定性問題が顕在化した 1980 年代に即応可能な無効電源として注目されて,再び設置されるようになった でつ。
1980 年ごろには原動機と発電機を回転したまま嵌かん脱できる同期クラッチが開発されて,ピーク運転用のガスタービン発電機を運転したまま発電機から同期調相機に切替える方法も
提案されているでつ。
1980 年代の終わりには半導体技術の進化に伴い SVCが開発されたでつ。
現在の調相設備の配置は経済性を考慮して決定されてて,大部分ではコンデンサ・リアクトルを用い,電圧安定性に問題がある系統での SVC の設置が増えている同期調相機は電圧維持の必要性が
特に高い一部の高圧変電所にのみ設置されているでつ。
発電機の調相機運転については,現在は水力発電所や揚水発電所の一部で行われているでつが,火力発電所では行われていないのが現状でつなぁ~
再生可能エネルギー大量導入時の同期調相機は、同期調相機はコンデンサ・リアクトルと比較し,
① 無効電力の発生・吸収の両方が可能
② 過渡安定効果をもつ,
という優れた調相機能をもっていることが分かるでつ。
さらに SVC と比較しても過負荷能力でまさっているでつ。
だけど,現在は設備費・運用コストが高いためにちと厳しいでつなぁ~
高コストな同期調相機が必要となる理由として以下が挙げられるでつ。
・ 再生可能エネルギーの急激な出力変化に対応する必要性
・ 太陽光・風力発電のような非同期電源の増加による周波数維持能力の低下に対する効果前項で述べたコンデンサ・リアクトルによる力率調整では,予測可能な比較的ゆっくりとした
需要の変化に対応し,タップ切替で接続設備の容量を変えるでつ。対して同期調相機では固定子の励磁強度を変更,つまり固定巻線に流す電流の量を変更するだけで消費・供給する
無効電力の量を調整できるでつ。よって,負荷の急変動への即応性をもつでつ。
さらに同期調相機は優れた電圧安定性をもち,電圧制御の下限範囲を超えても内部誘起電圧によって運転電圧80%程度までは一定の無効電力を供給し続けるでつ。
この性質から,負荷変動によって系統電圧が低下した場合でも電圧を回復させ,停電の発生やその拡大を防ぐことができるでつ。
周波数維持能力については,機器サイズと慣性力の定量的な効果の算定方法をこれまでの調査では見つけることができなかったでつ。
今後も引き続き調査を続けていくでつ。
航空転用型ガスタービンに対応する発電機サイズでは,同期調相機として運転したときの無効電力供給力は+70 ~ -30 Mvar 程度と見込まれるでつ。
よって,従来のような高圧変電所への設置ではなく,需要家側や再生可能エネルギーの発電設備に近い場所への設置が適していると考えられるでつ。
また,再生可能エネルギー発電設備の近くへ設置すると,負荷変動の激しい分散型電源が増えることによる電力潮流の大きな変化を防ぐ効果が見込まれるでつ。
よって,狭い範囲の系統でどのような性能が求められるかを検討していく必要があるでつ。
再生可能エネルギー大量導入時の同期調相機による系統安定化について,その有効性を検討。
まず,同期調相機が日本においてどのように使われ始め,また使われなくなったかを調査。
将来,再生可能エネルギーが大量に系統に接続された際に,同期調相機は無効電力制御の即応性,大きな電圧降下時の電圧回復性能,
回転エネルギーによる周波数維持能力によって系統安定に貢献できると考えられるでつ。
また,今回は同期調相機としての能力のみを述べたが,発電機として運転し有効電力を供給する場合も併せて系統安定に貢献できる運用方法を検討する必要があるでつ。
今後は,電力系統の過渡的な安定性も含めたより詳細な検討を実施し,航空転用型ガスタービンと同期調相機のセットをどこに設置するのが効果的かを探っていく
必要性があるでつ。