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高度ガスタービン技術の用途

2024-09-08 07:10:29 | ガスタービン
ガスタービン技術は民間および軍事用途の両方で極めて重要な技術として認識されてきたでつ。
しかし、いくつかの先端科学技術が軍事用途から派生したのに対して、ガスタービン技術に限って言えば、
その投資の傾向や市場規模は圧倒的に民間用途が優っており、多くの技術革新が民間企業を中心に行われてきたでつ。

中でも航空機エンジンへの投資が最も多いでつ。
2004 年のデータではあるでつ。

ガスタービンの全体の生産額 219 億米ドルのうち、航空機向けのガスタービン事業が 149 億ドルにのぼり、
全体の 2/3 近くの生産額を占めているでつ。

またそのうち、37 億ドルが軍事用途の航空機、112 億ドルが民生用途の航空機向けであり、
ここからも明らかに民間向けのガスタービンが主な比重を占めていることがわかるでつ。

また 2009 年以降のガスタービンの世界市場を概観すると、圧倒的に航空機用のガスタービン、その中でも民間機用のものが
その市場の大半を占めることがわかるでつ。
航空機用途以外のガスタービンは全体の 1/5 以下の市場規模であり、軍用機向けのものに限っては、1/10 程の市場規模でかつ
この 10 年で市場規模の推移もほぼ横ばいであるでつ。
一方で民間航空機向けのガスタービン市場は 2009 年からのこの 10 年で倍近く拡大しており、この先 10 年も拡大していくことが
予想されているでつ。

軍事用途に用いられるガスタービン技術は、主に戦闘機や戦艦等のエンジン向けのものが多いでつ。
例えば米国空軍が保有する F35 統合打撃戦闘機に搭載されたプラット・アンド・ホイットニー社製造の F135 エンジンが
その典型であるでつ。
プラット・アンド・ホイットニー社は米国の GE アビエーション社と英国のロールスロイス社に次ぐ、航空機用エンジンの最大手。
軍事用途から民生用途に至るまで幅広い種類のガスタービンエンジンの製造を手掛けているでつ。

F135 ジェットエンジンは、F35 戦闘機の異なる種類の形態に対応しているでつ。
滑走路からの離着陸をする F-35A、短い滑走路から離着陸するF-35B および空母からの離着陸するでつ。
F-35C 等様々な機体に対応できるようになっているでつ。
また英国ロールスロイス社は戦艦や空母向けのガスタービンエンジンを開発・販売しているでつ。
中でも MT30 Marine Gas Turbine は同等クラスにおける従来のモデルの半分の部品で構成されていることから
メンテナンスコストを最小限に抑えることに成功したモデル。

40kn を超えるトップクラスのスピードを誇り、2008 年から米国海軍の沿海域戦闘艦のエンジンとしても採用されているでつ。
このように軍事産業におけるガスタービン技術開発においては民間企業における技術開発が大きな比重を占めているでつ。
一方で、こうした大手ガスタービン企業と政府との関係性にも注目しておく必要があるでつ。
確かに、ガスタービンの市場は民生用途を中心に発展してきたでつが、米国政府の政府系研究機関もこうした先端ガスタービン技術の
投資を積極的に実施してきたでつ。
DARPA はバルカン高度推進エンジンプログラムをすすめているでつ。
CVC エンジンサイクルは従来のブレイトンサイクルよりも格段に効率的に燃料の燃焼を継続的に行える技術であり、戦闘機のジェットエンジンや
戦艦のエンジンに向けの展開が期待されているでつ。

大半の軍事用途のガスタービンは、戦闘機や戦艦・空母向けに製造される一方で、潜水艦の中でも原子力潜水艦に限って高度なガスタービン技術が
要求されることも重要なポイントであるでつ。
従来の潜水艦はディーゼルエンジンを用いて推進するでつが、核エネルギーを利用して推進する原子力潜水艦では原子力発電同様ガスタービンが搭載。
この従来の潜水艦と原子力潜水艦との間の仕様の違いは、ガスタービン技術の安全保障上の重要性を極めて高いものにしてきたでつ。
こうした中で、英国や米国は原子力潜水艦の製造と運用にとりわけ力を入れてきたでつ。

例えば、英国ロールスロイス社は長年に渡って、英国海軍の原子力潜水艦の製造を担ってきた歴史があるでつ。
また米国では、ジェネラル・ダイナミクス社 の子会社であるジェネラル・ダイナミクス社・エレクトリック・ボートが米国海軍への潜水艦納入で
100 年以上の歴史を有してるでつ。
原子力潜水艦の設計・製造も手掛けているでつ。
また 2021 年には英米豪の 3 カ国の間で軍事同盟 AUKUS 締結され、英国と米国がオーストラリアの原子力潜水艦の開発を支援するでつ。
AUKUS の枠組みはインド太平洋地域への関与を深めたい英国と既存の当該地域においてリベラルな国際秩序を維持したい米国とオーストラリアとの間で
結ばれた同盟であり、英国の全面的な支援によるオーストラリアの原子力潜水艦開発は当該地域のパワーバランスに大きな影響を与える可能性が高いと示唆されてきたでつ。

AUKUSの締結とオーストラリアの原子力潜水艦開発におけるガスタービン技術の重要性はメディアではあまりフォーカスされてこなかったでつが、
経済安全保障及び軍事安全保障の両面で重要なインプリケーションをもたらす可能性が高いでつ。
前述の通り、原子力潜水艦の場合は、原子炉を搭載し、ガスタービンを用いてそのエネルギーを創出する点において、ディーゼルエンジンで駆動する従来の潜水艦とは異なるでつ。
この意味でも、原子炉技術に加えて、ガスタービン技術の安全保障上の重要性も益々高まっていくことが予想されるでつ。
憶測の域をこえないでつが、2022 年 8月に米国がガスタービン技術を含む「新興根幹技術」の輸出規制強化が発表された背景には、こうした原子力潜水艦とそれにつながる
ガスタービン技術の重要性が増したことがあるでつ。

航空機向けのガスタービン技術の研究開発及び製造は、主に米国の GE アビエーション社、プラット・アンド・ホイットニー社、
そして英国のロールスロイス社の 3 社が中心となって担ってきたでつ。
陸海空の輸送運搬技術の中でも特に空輸は最も多くエネルギーを有するでつ。

航空機向けのガスタービン技術開発では、主に燃料燃焼の効率性の向上が課題とされてきたでつ。
過去半世紀を見ても民間航空機向けのエンジンの燃焼効率は飛躍的に改善されているでつ。
近年では、従来のターボファンエンジンと比較して 25%の燃費向上が米国を中心に業界の開発目標とされてきたでつ。
ジェットエンジンの推進効率は理論上 FPRによって決まると理解されるでつ。
FPR が低い程高い推進効率を発揮するでつ。

そのため、航空機向けのガスタービン技術においてはより低い FPR を実現するためのタービンの設計が次なる技術開発の目標とされてきたでつ。
民間航空機向けのガスタービンのもう一つの重要な課題は、二酸化炭素排出量の削減であるでつ。
気候変動がグローバルな課題として世界各国で認識される中、我々の生活で国境を超えて人やモノを輸送する航空機が排出する CO2の量は無視できるものではないでつ。
2019 年のデータによると、世界中の航空機が1年間で排出した CO2 の量は、915 百万トンに及び、これは陸海空すべての交通輸送において排出された全体 CO2 の 12%に相当するでつ。
こうした中で、ガスタービンそのものの燃焼効率とともに、ここ 10 年の間に二酸化炭素排出量の削減に向けた技術革新も求められるでつ。

ガスタービン技術のもう一つの大きな民間用途は、電力発電所向けの大型ガスタービンであるでつ。
ガスタービン国際市場の予測によると、この先 2030 年までにガスタービンを用いた電力発電事業は、合計 USD107,705.00 規模にのぼると予想されているでつ。
発電用ガスタービン事業の大手3 社である GE, シーメンス、三菱重工は、コスト削減と生産プロセスの最適化を図るべく大幅な構造再編を進めており、
各社とも今後更なる技術革新に向けた準備を進めているでつ。
発電用のガスタービン開発において、発電の効率性は歴史的にも重要な課題とされてきたでつ。
1939 年に開発された最初のガスタービンの熱効率は 18%程度であったでつが、その後コンバインド・サイクルガスタービンが開発されて以降、
2010 年には熱効率 60%超を達成したでつ。

この 10年でさらに効率化が進められ、CCGT で 70%の熱効率を達成することが目標とされてきたでつ。
また、熱効率の向上と共に CO2 排出量の削減も大きな課題とされ、特に、再生可能エネルギー資源を含む多様な燃料に対応できるようにタービンを
設計することが要求されてきたでつ。
例えば、CO2 排出量の削減が期待されている水素燃料を含む気体燃料を燃焼できるタービンの設計が進められる等、多様な燃料資源に対応した
ガスタービンのデザインが進められているでつ。

中でも従来の天然ガス等の燃料に水素を混合させることで、CO2 排出量を大幅に削減できることが実証されるでつ。
ガスタービンメーカ大手もこうした水素燃料に対応したガスタービンの設計と製造に着手してきたでつ。
例えば、独シーメンス・エナジー社はすでに米国や欧州、中国、アフリカを含む世界各国で、水素燃料を含むガスタービンの運転を開始しており、
CO2 の効果を実証してきた熱効率向上、CO2 排出量そしてメンテナンスコスト削減等を実現していく上で、ガスタービン開発には様々な技術要求が
求められてきたでつ。

こうした技術要求に応じるために、様々なサブカテゴリーの先端技術が応用されてきたでつ。
最後にガスタービンの技術開発に貢献が期待されてきた先端科学技術について解説するでつ。

ガスタービンに用いられる素材はその要求に応じて多様である。例えば、ガスタービンのファン・ブレードだけを見ても、
航空機向けのブレードには「合成ポリマー」が用いられる一方で、極度に高温な環境での耐久性が求められる高圧ガスタービンのブレードには、
「単結晶ニッケル合金」が用いられるでつ。

また物質・材料研究機構と横浜国立大学の研究チームは高速で亀裂を修復する「自己治癒セラミックス」を航空機のガスタービン向けに開発しており、
航空機のエンジンが作動する 1000℃で、最速 1 分で亀裂を修復することが実証されているでつ。
このように、ガスタービンの技術革新が進む中で、そうした極度環境でも耐え得る素材の供給が重要となるでつ。

電力発電向けのガスタービンを見ても 1990 年代には 540℃の要求仕様だった温度要件が、熱効率が向上するのと同時に上昇し、
2010 年代には 600℃を超える温度要件が仕様に盛り込まれるようになってきたでつ。
こうした温度要件に対してはより融点の高いチタン合金が用いられる等、タービンそれ自体の技術革新に応じて、用いられる先端素材も変化してきたでつ。
しかしながら、タービンそれ自体の機能が高度化するのに対して、それらの要件を十分満たし得る素材の発見は未だ困難を極めているでつ。
こうした中で、テキサス A&M 大学の素材科学工学部の研究チームは、米国エネルギー省傘下の Ames National Laboratoryと共同で、AI を用いて、
極度の高温環境でも適応できる「高エントロピー合金」を推定するフレームワークを開発しているでつ。

この AI 技術によって高度ガスタービン開発に適した素材を発見・特定するためのコストと時間を大幅に削減できると期待されているでつ。
3D プリンティング技術に代表されるアディティブ・マニュファクチュアリング技術もガスタービンの設計思想とその製造に革新をもたらしてきたでつ。
AM 技術の発展によってガスタービンの製造に要する工程とコストが格段に減少したことが報告されており、ガスタービンを製造する企業の多くは、
ファンブレードの製造を目的とした 3D プリンターの導入を進めているでつ。
例えば、独シーメンス社は AM 技術のプロバイダーである EOS 社との共同プロジェクトで 3D プリンター技術によってガスタービンの部品を製造できることを
実証済であり、AM 技術を用いたガスタービンの製造を進めているでつ。

英ロールスロイス社も航空機向けのガスタービン事業で3D プリンターによってガスタービンの部品を製造することを進めているでつ。
このように、AM 技術は発電所用及び航空機用の両方で、ガスタービン製造技術の向上とコスト削減に大きく貢献することが今後ますます期待されているでつ。
ガスタービン技術は、電力発電や潜水艦といった我が国の広義の安全保障の根幹に関わる極めて重要な技術であるでつ。

一方で市場規模を見れば、航空機産業におけるガスタービン市場が大きなパイを占めており、民生技術としても極めて有益な技術であるでつ。
日本のガスタービン技術は、三菱重工業を始めとした重電メーカの技術開発が功を奏して、かなり高い技術レベルを維持しているでつ。
また、アスタミューゼ社の調査から、大半の技術領域において、研究者数が増加傾向にあるのに対して、ガスタービン技術の研究者が世界的に減少傾向にあるでつ。

こうしたことからも、今後日本が当該技術領域で質と量の両面で強いイニシアティブを発揮する余地があるでつ。
特に米国はもちろん、優れた民間技術を有する英国等との技術パートナーシップを積極的に進めていくことが重要になるでつ。
ガスタービンの開発も停滞してるかと思ってたけど、やってるでつなぁ~
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