ヒノキ科アスナロ属の「アスナロ(翌檜・明日檜)」。日本固有種で北海道南部~九州の山地に自生する常緑高木。樹高は10~20メートルで大きなものは30メートルにもなる。材にはヒノキチオールなどの精油が含まれ医薬品や化粧品などに利用されるが、材としてはヒノキに少し劣るようだ。葉の裏面には明瞭な白い気孔帯がある。
芥川賞作家“井上靖”の長編小説に『あすなろ物語』がある。天城山麓の小さな村で祖母とふたり土蔵で暮らしていた少年が、多感な青年時代を経て新聞記者となり終戦を迎えるまでの道程を6人の女性との交流を軸に描いている。明日はヒノキになろうと念願しながら永遠にヒノキになれないというアスナロの悲しい説話に主人公の成長を重ねて描いている。
多摩川“立日橋”の上空を旋回している「ノスリ(のすり※)」。タカ科ノスリ属の漂鳥で体長は130~140センチ。北海道~九州に分布している。農耕地、草原などでネズミやモグラなどを主食にしている。上空から急降下して野をスレスレに匍匐飛行する様子から“野を擦る”→“ノスリ”と名付けられたと言われている。
※のすりの漢字は狂の下に鳥
キジカクシ科(←リュウゼツラン科)リュウゼツラン属の「アオノリュウゼツラン(青の竜舌蘭)」。北アメリカ~メキシコ原産の多年草で数十年に一度開花してその後は枯死する一回結実性植物。このブログでは多摩ニュータウン界隈の植物を対象にしており、都心の日比谷公園や新宿御苑で育っている株は“番外編”として掲載している。写真は多摩ニュータウン南大沢駅付近の“輪舞歩道橋”から見られる株で、2021年夏に開花しその後枯死した。開花時は日比谷公園や新宿御苑ほど高くならずせいぜい2メートル程度で果実が出来たかどうかわからなかったが、久し振りに見てみると枯死した株の横で新しい葉が成長していた。