バラ科のヤマブキです。
北海道から本州、四国、九州に分布する落葉の低木です。林の縁や土手、草地など日当たりのよい場所で見られます。
地下茎がのびて広がるので群生します。地下茎から細い茎が立ち上がります、高さは1メートルから2メートル。
茎の途中から短い枝が出て、数枚の葉がつきます。葉や花の重みで茎は垂れます。
葉は卵形で先が尾のようにのびます、葉脈が目立ち、まわりには大小が重なった重鋸歯があります。
葉の付け根から花がさきます。黄色の花弁は5枚、雄しべ多数、雌しべは5個から8個。
古くから和歌などに詠まれた花で、「山吹色」はこの花の色です。
園芸種も多く、八重咲きの花もあります。八重咲きは雄しべや雌しべが退化して花弁に変化したもので実がつきません。
大田道灌の話が有名です。「七重八重 花は咲けども山吹の 実の一つだになきぞ悲しき」
大田道灌が狩りに出かけ、付近の農家で雨宿りをして蓑(みの、雨具)を借りようとしたところ、農家の娘が八重山吹の枝をさしだしたそうです。
大田道灌は「花が欲しいのではない」と怒って帰ったところ、物知りの家来に「山間の農家でお貸しする蓑がありません」と古歌で答えたのでしょうと教えてもらいました。
大田道灌は自分が古歌を知らなかったことを恥じて、一生懸命に勉強したそうです。