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パンセ(みたいなものを目指して)

好きなものはモーツァルト、ブルックナーとポール・マッカートニー、ヘッセ、サッカー。あとは面倒くさいことを考えること

全能感の誘惑

2025年04月08日 09時55分21秒 | まとまらない話

一度経験してみたいものに、野球の監督、指揮者、そして政治的なトップがあるらしい
それらは自分の下す命令を疑うことなく従うという一種の全能感に満たされるからと思われる

経験から振り返ってみると確かにサッカーの監督(野球ではないが)によってチームのカラーは違う
フォーバック、スリーバック等のフォーメーションの選択だけでなく選手を起用するポジションも違う
それは小学生のサッカーチームでも明らかに見られた
自分の率いたチームは超攻撃的でそれいけドンドンだった(一点でも多く得点したほうが勝ち)
別の仲間は率いたときは、後ろに重心がある「負けないサッカー」を目指していた
どちらが正解かはわからない
大人の世界なら勝点を多く重ねるほうが正解ということになりそうだが
小学生の時点では伸びしろを考えると評価基準は勝ち点だけではない

自分が率いたチームは最初に戦術とかイメージしたフォーメーションがあって
それに人を配するというという決め方ではなかった
まずはポジションなしに全く自由にどこでも動ける試合をしてみて
前目に行く子ども、心配性で後ろにいる子をみて
その性格に合わせてポジションを決めた
同じポジションに重なるときは我慢ができるタイプに無理を聞いてもらった

とりあえずポジションを決めて試合をしてみる
すると、どうも不自由そうだな、、と思えることがある
それを見て彼らがもっと自由にプレーできる方法を考え形をいろいろ変えてみる

流行りの勝率の良さそうなフォーメーションをあてはめるというよりは
人間には個性があるから個人個人の特性にあったものを中心にした

話は変わって指揮者の仕事を(素人が)想像してみる
指揮者は楽譜を読み込んで自分なりの解釈、表現を自覚する
そしてそれをオーケストラの奏者に伝え、思い浮かべた解釈が
完全に実現されるように練習をする

だが奏者も専門的な技術者なので音楽に関する解釈や理解は
全面的に指揮者とは一致するとは限らない
自己から自然発生する表現意欲は、それを使わないと勿体ないし
奏者も満足感を得られない

練習を完璧にして音を合わせるというタイプの指揮者が一般的と思われるが
フルトヴェングラーの指揮は「振ると面食らう」のジョークがあるように
わかりにくかったそうだ
運命の冒頭の音を出すタイミングは、指揮棒を見れば誰でもわかるというものではなく
奏者は「今だ!」と感じた時に音を出したそうだ
すると感じ方によって多少のズレが生じる
そのズレた音は、あっていないと評価するより、どこか味があるとの評価を
フルトヴェングラーはしていたそうだ

彼の指揮した音楽が他の人と違うのは、奏者の自発性みたいなものが
圧倒的に感じられることだ
確かに指揮者によってコントロールされている
しかし奏者が触発された感覚は猛烈な熱気を持って音楽に集中する
それは指揮者と奏者の共同作業のように思える

サッカーでも、個々の臨機応変な自由な判断がなされるというのが
自分の求めたものだった
約束事を守るほうが現実的だったとしても、どこか選手に
任せるところがあるというのが好きだった

今度は政治的な問題に対して想像してみる
大統領や首長のやりがいとは何だろう
世の中を良くしたいという使命感が自分の力で達成できることもあるが
今のトランプ大統領を見ていると、どうもそうではなさそうに見える

彼が実感しているのは(やりがい・生きがいは)「全能感」ではないだろうか
マックス・ウェーバーの支配という定義を思う浮かべるまでもなく
とりあえずは法的な支配によって、彼の判断は実現される
(それ何であろうと)
官僚とか職員は、専門的な知識とか広範な知見によって
現実的な方法を考えうると思われるが、その自発的な能力は必要とされない
必要なのは命令に従うだけ

例えばそのような環境で音楽やサッカーは、面白いのだろうか
少なくとも職員・奏者・プレーヤーは満足できているのだろうか
人の力を借りるということは、自分の思い通りではないとしても
結果的に良いものが生まれる可能性はあると思えるのだが、、さて


まとまらない話

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