パンセ(みたいなものを目指して)

好きなものはモーツァルト、ブルックナーとポール・マッカートニー、ヘッセ、サッカー。あとは面倒くさいことを考えること

組曲「水のいのち」から第3曲「川」の思い出

2023年12月10日 10時25分40秒 | ダイアリー

昔のことはよく覚えているが、最近のことはさっぱりになりつつある
ヘッセは昔のことを懐かしむのは、老人の権利のようなことを言っている
日曜日の朝は少しばかり昔話をしたい気分

なぜ人は一目見ただけで惹かれてしまうのだろう
高校時代、教室の棟は学年ごとに別れてていて
自分のところからは一学年下の生徒が芝生に座って話しているのが見えた

その中のひとりの女の子を見た途端、急に切ない気持ちに襲われた
「fall in love at the first sight」まさしくこんなだった
遠くからは少しばかり気が強そうに見えて
でもその瞳はとても澄んでいるように見えた
(遠くからなのになぜそう思ったのだろう)

それからは、その人探すように向かい側の芝生を見たものだった
そのうちに彼女は野球部のマネージャーであることがわかった
自分はサッカー部でサッカーコートにボールをもっていくときは
わざと野球部のそばを通って、彼女がいるとどこかホッとして
いないとがっかりしたものだった

彼女の名前は、その当時読んでいたドストエフスキーの「白痴」の登場人物
ナスターシャ・フィリポヴナになぞらえナスターシャと勝手に呼んでいた
正式な名前がI Tと分かったあとでも、なぜかしらナスターシャのほうがしっくりしていた

何も接点がなくただただ憧れていた
そして一日に一度でも姿を見れるものなら、とても幸せな気持ちになれるのだった

その後、思い切って話しかけることがあったが、これは今思うと大失敗で
何故そんなことを初めての人に話したのかと自分でも驚くばかり
(何を話したかは今も覚えている、、しかし、それを聞かされた彼女は戸惑っただろう)
今は自分にも可愛い時代があったのだと振り返ることができるが
思い出だけに終わったのは、今思うと少し残念だった

その人の思い出は1つの音楽と結びついている
きみちゃん、と呼ばれた有名な音楽の先生は、音楽専攻の各学年の生徒の中から数人を
ピックアップしてコーラス団を作っていた
(多分合唱コンクールに参加するためのものだったと記憶している)
その合唱団にナスターシャが選ばれていた
自分のクラスからは別の生徒が選ばれた

これはとても残念だった
一緒の時間を過ごすことができる彼をとてもうらやましく思ったものだ

ある日その合唱団の歌を聴くことができた
ナスターシャはすぐに分かった
そして同級生の彼も、、
その時歌われたのが組曲「水のいのち」から「川」だった

この音楽には冒頭から衝撃を受けた
彼女がいるからだけでなく、曲の詞やメロディ、和声がストレートに
心に飛び込んできた

そしてこの歌は何年経ってもナスターシャと結びついて
今もその当時を思い出すキッカケになっている

時々、ナスターシャと可愛かった自分を思い出すために
この曲のレコードを聴いたりする
そんな時、いまでも心の何処かが痛くなる
懐かしい思い出、、、

3.川 /「混声合唱組曲 水のいのち」より


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