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行政裁判のこと(備忘録)

2018年09月26日 17時07分28秒 | 庁舎用地外移転補償騒動

今日はとても長い投稿
面白くもなんともないし、果たして読む人がいるかどうかも怪しいが
将来何らかの結果がでて、公式なものが発表されるかもしれないが
歴史上の一次資料として、また自分自身の備忘録としてとりあえず自分のために
残すものとする

現在(平成30年9月)新城市は行政裁判が続いている
その事実を知っている人は少ない
裁判があるのは知っているが、何に対して、誰が訴えられているか、
それを説明できる人は、おそらくこの裁判に関係する人以外は多くいないと思われる

裁判の訴状によれば新城市長に対し、約1200万円を市に返還するように求められている
それは新庁舎建設の用地買収・それに対する移転補償に関することで、
本来ならは適用外の物件であるにもかかわらず移転保証費が支払われているのは税金の不当な支出にあたり、
その無駄に支払った金額の返還を求めるものだ

問題となる物件(長屋)は、新庁舎用地予定地にある移転補償物件と同じ所有者のもので、
小さな道を挟んだところにある(現在は新しく家が建っている)
道を挟んだ離れた場所にある物件は、いくら同じ所有者の建物が庁舎建設予定地にあると言っても
普通は無関係とされ移転補償の対象外となり、移転補償費は支払われなくても良いことになっている
ところが今回はこの対象外と思われた物件にも支払われている

ここで、市長個人に返還を求めているのは、この対象となる物件の持ち主M氏と市長とは知り合いの間柄で、
そこに不適切な力が働いたのではないかと思われる状況があるからだ
裁判の準備書面、及び原告側の証人(K氏)によれば、市長とその物件の持ち主M氏とは、ある酒場で飲み食いをする間柄で、
またM氏の奥さんとは国際交流の海外視察(?)で同行しており、家族ともども見知らぬ関係ではないとされている

また現在M氏の問題となっているところには新しい家が建設されているが、
当初その土地は建築基準法の接道要件を満たしておらず、普通ならば新しく家は建てられない事になっていた
ところがその接道条件を満たすためかのような道路(仮称市道3号線)の設置が市長からいきなり議会に議案提出された

これは議会の賛成を得られず、結果的に廃案となった
この時の前後の議会で原告者の前市会議員K氏と市長の会話のやり取りがK氏側の方から法廷で明らかにされた
それは「何故、こんな道路を作ろうとするのか」と聞くK氏に対し、
市長は「それでなくてはM氏の家が建てられないじゃないか」と答えたとされている
だが市長は証人喚問でこれらの発言とM氏と市長の関係も否定した(付き合いなどはなかった)

二人の証人が話すことが違うのならどちらかが嘘か真実を言っていないことになるが、
(証人は知っていることを正直に包み隠さず話すと宣誓しているが)
法廷ではそこの追求はあまりなかった。
この他にも原告側と被告側の他の証人の発言が異なる場面があったが、
今回はそこについての整合性は問題とされなかったようだ
(宣言しても実際の裁判ではこのような矛盾はよくあることということなのだろうか)

一般的には行政裁判は訴えた側(市民側)が負けることが圧倒的に多いそうだ
そこにはどのような理由が存在しているのかはわからないが、ともかくそういうものらしい
その負ける要素がふんだんの行政裁判に敢えて原告側が踏み切ったのには
驚くべき証拠があったからだ(裁判では甲9号証と名付けられた書類)

新城市は移転補償に関してコンサルタント会社に調査を依頼した。
調査を委託されたコンサルタント会社は、新庁舎用地外の離れた場所にある物件ではあるが、
調べた結果移転補償の対象になりうると結論づけ、その書類(乙第15号証)を市に提出した。
市はそれを元に移転補償費を支払うのは適切と判断した

ところが問題は、その同じコンサルタント会社がその4ヶ月前にこの最終的な結論とは全く反対の意見を市に提出している(甲第9号証)
そこにはその問題となっている物件には人が住んでおらず、移転補償費を払う条件を満たしていないとの内容となっている

それが何故か、4ヶ月の間に結論がまるっきり変わっている
たまたま偶然に甲第9号証の書類を手にすることができた原告側が、この証拠をもって4ヶ月間に何らかの不自然な力が働き、
行政の判断が捻じ曲げられたのではないかと裁判に臨んだというわけだ

原告のうちの一人の前市議K氏は、豊橋市で不動産コンサルタント業を営んでおり、市議会議員の時代には市職員からもそれは知られており
時にはちょっとした不動産の扱いの解釈等の相談もあったようだ
ちょうど、市がコンサルタント会社から最初の書類(甲第9号証)が届いた頃に、
後に被告側の証人となるH氏が何気なくK氏に「この物件、移転保証に該当するのかどうか」と聞いたことがあった
その時K氏は「これは無理だ。仮に人が住んでいればなんとかなるかもしれないが、基本無理だろう」と答えをしている
(その時はこんなことになるとは思わなかった)
その後、H氏はK氏に「住民票があるから住んでいることになる、、、」といった内容の発言を、確認を求めるようにしたとのことだ(K氏の証人喚問)
※H氏の証人喚問ではK氏に相談したことも報告したこともないと言っている

いろんな経緯はあるが、コンサルタント会社が提出した2つの書類、甲第9号証(認めらない)、
乙第15号証(認められる)の違いが一番の大きなポイントで、裁判において証人喚問もこの部分がメインとなった

裁判のハイライトは証人喚問、それまで準備書面の交換であっという間の終了した裁判は、
7月16日には現役の市の職員H氏、元職員Y氏、8月1日の市長の証人喚問で、ようやくテレビドラマで見るような光景となった
(7月16日には原告側からK氏も証人台に立った)

新城市の新庁舎の移転補償等に関することは、本来は土木課・用地課がやるのだがその予算を計上したり、
その他のもろもろの法的な関係から、部や課を横断するような意思決定が迅速でトータルの視野と機能をもった総合政策部がその頃設けられ、
その部で行うことになった
証人に立ったのはこの時期の総合政策部の時の副参事のH氏と参事のY氏だ(Y氏はその後部長に昇格)

被告側は甲第9号証の存在を国会のような怪文書などとは言わず、その存在を認めていた
ここからは、証人喚問での話になるが、総合政策部はそもそも市長の判断で設置された
(意思決定の速さ、他分野に渡る情報の共有のため)、
そしてそのメンバーのうち直接関わっていたのは4人で、4人はそれぞれ別々の仕事に取り組んでいたとされる
この4人の間でそれぞれの仕事に関して情報共有ができていたかが問題となりそうだが常識的にはたった4人(部長・参事・副参事・主事)で
同じ部署の人間が何をしていたか知らなかったというのは理解しがたい、まして現在の進捗状況を参事が上司(部長)に連絡していない
とは普通は考えにくいし、その上司がその上の上司(副市長)にも報告が無いとは考えにくい
H氏の証言では組織で動いていたとあったが組織で動いているということは情報を共有しているということじゃないのかな
(このあたりはどのようにでも解釈できるような曖昧な表現の証言)
ただ一つ明らかになっていることは当時副参事のH氏は用地課よりも土木科よりも地元の人との接触が多く顔なじみで、
この件については中心人物だったということ
ところで総合政策部の重要な情報は、総合政策部自体が市長肝いりの組織であるし、当時において庁舎絡みは重要な案件だったので、
進捗状況は逐次市長に報告されたと思われるが、細かいところは聞いていないとは市長の発言
(どの程度のことが報告されたのか、ニュアンス的には法的なことは知らないので結果報告だけを受けていたような感じの発言)

コンサルタント会社からの最初の書類、甲第9号証の存在をどのように知ったか
と聞かれた庁舎の移転補償の仕事に取り組んでいたH氏は、土木科へのメールで、そこから転送されて知ったと答えている
そしてこの書類を受け取った一二週間後に、H氏は該当物件関係者であるM氏と相談し該当する物件(長屋)に人が住んでいるかを尋ねた
M氏からは、「今はいないが怪我をして病院に入っている」との答えを得て、コンサルタント会社に、住んでいる可能性もあり、なおかつ住民票もあると伝えた
その結果をきいてコンサルタント会社は、先に出した結果を変更し、その物件は庁舎用地内の物件と生活を一体化しており、
物件同士を分けて考えることはできず保証対象にするとの判断の書類を作った

ところが、原告側の調べによるとこのM氏のお母さんはすでに要介護5の認定を受け老人ホームに入っており、
結局一度もその家(長屋)には帰っていないことがわかっていた(老人ホームからの証拠あり)
H氏は住んでいないのに住んでいるとしたが、裁判で「どの病院に入っているのか調べなかったのですか?」と聞かれても、調べなかったと繰り返す
「でもそれ(住民票)だけじゃなく、(コンサルタント会社から得られた)写真にも生活感もあったので住んでいると判断した」
ともH氏は答え、幾つかの写真をその例として挙げた
しかしその同じ写真でコンサルタント会社は「住んでいない」と判断をしている

この判断をH氏一人で行ったのか、それとも総合政策部で共有していたのかが気になるところだが、H氏は組織でとの発言している
ところでH氏の上司のY氏は、とても奇妙なことにコンサルタント会社からの報告書(9号証)の存在を長いこと知らなかったと答えている
それを知ったのは、ほとんど一年後のことで当時議員だったK市から議会での質問に応えるために調べ物をしている時に知ったという
そして、最終的なコンサルタント会社の報告(15号証)は、見た時期も内容もあまり覚えていないとのも答えている
(その時は総合政策部の部長でありながら部下が何をしているか、自分がどのような決済をしたのかわからないと言う不自然な答えをしているということ)
そして、結果的に「住んでいないにもかかわらず、住んでいるとしたことに対してどう思うかと」の裁判所からの質問に
「いつか帰ってきたい希望がある限り住んでいるものとして考えるから適切な判断だった」と答えている

普通に考えれば、9号証にあるように保証はできないとの判断で一件落着とすればよいのに、親切にもM氏に相談に行き、
病院に入っているかどうか嘘かもしれないのに一方的に信用し、その病院の名前・所在地も聞かずにゴーサインにつながる情報を
コンサルタント会社に与えて、その結果、市にとっては損な結論を導いている

コンサルタント会社というのは客観的な第三者的なイメージを持ちやすいが、
現実的なところは依頼主の要望に応えた答えを出すというのが本当のところではないだろうか
依頼主からは継続して仕事をもらわねばならない、とすると、依頼主は何を望んでいるかを洞察・忖度する
そうしてこの一見正当なステップのように思われる過程は、適切なステップを踏んだというアリバイとされる(少し意地悪い見方だと)

H氏、Y氏が7月16日の証人喚問をどのような気持ちで臨んだのかわからない
特に元部長のY氏はすでに市を退職しており、それ故のしがらみはなさそうだが、
退職しているとはいえ自分に不利になることは、まっ正直に話すことは少ないだろうと想像がつく
(裁判官も人とはそんなものだ、と最初から思っているかもしれない)
ただあの裁判ではっきりしたことは、もし彼らの言うことが本当だとしたら、
市は恐るべき雑なステップで大金を払う決断をしているということで、
聞いていて少しばかり市に対して絶望的な気持ちが起きた(誰も責任を取らない、こんなことで市は大丈夫かと)
同時にこれらの答弁を聞いた裁判官の驚いたような、呆れたような顔が印象に残った

8月1日になって時間が取れるようになった市長の証人喚問があった
予め法廷で聞かれることは書面で出されているので、質問には滞ることなく答えた
要約すれば、M氏とは面識がない
移転補償の経緯は細かくは知らない、それらは専門職である担当に任せていた
総合政策部からは報告だけを聞いていた(お母さんは今はいないがいずれ戻ってくるとか)
市長だから何でも知っているわけでない(移転補償費に関する知識はない)
移転保証費の決済は部下の権限で行える事になっている(市長印があるとしても)

この日の市長はいつものように淀みない答弁が続いたが、一箇所だけ首をかしげるところ発生した
市長はある質問に応えて「駐車場のことは、」と突然言い出した
駐車場???? 

それまで「駐車場のこと」は誰も話していなかったし、証人喚問でも話題にも上がらなかった
ところで市長の言う駐車場のこととは、長屋が移転補償物件に該当するかどうかを調べる時に、M氏から長屋だけでなく、
そこから少し離れた駐車場も移転補償に物件に入らないかとの調査依頼があって、これは市からは該当しないとの結論になったことをいう
市長は詳しいことは何も知らない(報告だけだし知識もない)と言っていたが、そんな細かい本質とは関係ないようなことまで知っている(
なんだ、いろいろ知っているじゃないか)
それで総合政策部からは細かなことまで逐一報告を受けていたのではないかと疑いを持つことになったが、
誰でもそのように思ったようで、その発言のあと、原告側の弁護士からその点は追求された

正直なところ、これらの裁判を通じて一番気になったのは、繰り返すことになるが
(結審される結果がどうのこうのと言うよりも)市のあまりにもアバウトないい加減な進め方と、それに対する反省もないところだ
それほど小さくもない金額のことなのに、職員間の理屈だけが通るようなこんないい加減な進め方で物事が進めていって市は大丈夫かと、、

いやいや、本来は命令されたことしか行わない慎重な(臆病な)職員がそのようなことをしたのには何か理由があるはず、、、
そこからは残念ながら今の時点では想像の世界となる

人は嘘をつく
言葉にされたことだけを信じて、その上で判断することの限界を最近特に感じることが多くなっている(国政やわが町の政治倫理審査会)
もう少しおおらかに人を信じてやっていけるようにならないかな、、と切に思う

 

※現時点の年号が当初間違っていました。訂正しました。裁判は約2年続いています。


 










 


 

 

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