DALAI_KUMA

いかに楽しく人生を過ごすか、これが生きるうえで、もっとも大切なことです。ただし、人に迷惑をかけないこと。

湖の鎮魂歌(49)

2013-08-23 16:58:16 | ButsuButsu


ある新聞から琵琶湖の活断層に関する記事を書いてくれと頼まれた。

湖の中の断層についてまとめたものとしては、1990年に書かれた植村・太井子の論文がある。

地理学評論に書かれたこの論文では、西岸湖底断層系、南岸湖底断層系、東岸湖底断層系の3つに分類している。

ユニブームとエアーガンの測定結果を用いた診断で、現段階では質や量ともに最も信頼できるデータだと言える。

ネットで調べると、「活断層とは、最近まで活動しており、将来も活動する可能性のある断層である」と定義されている。

最近というのは、数十万年以降を指すらしい。

その意味では、40万年の歴史を誇る現琵琶湖は十分にその資格がある。

東西からの圧力によって沈降している湖なので、琵琶湖の断層はすべて逆断層に分類される。

私が自律型潜水ロボット「淡探(たんたん)」を用いて撮影した湖底映像の中に、断層を示唆するものがある。

文頭に示した図中の赤丸(A点)と青丸(B点)がそれにあたる。

A点で撮影された映像は、奇妙な形をしている。



まるで人が作ったようにきれいなブロックが並んでいる。

ひとつの段の高さが30cmほどだろう。

2010年12月18日に発見した。

この場所の水深は88.31mで、水温8.14℃、溶存酸素濃度12.1mg/L、電気伝導度130.67μm/cm、pH7.13であった。

植村・太井子が示している断層系の場所とは異なっているので、最近になって形成されたものなのかも知れない。

1976年に実施された国土地理院の測量と、2001年に行った私の計測結果の両方が正しいとすると、琵琶湖の深い場所における水深は過去25年間で30cmほど深くなっている。

なんとなく整合性がありそうな話である。

B点では、高さ数メートルにわたるきれいな断層面が見える。



おそらく見ている手前がずり落ちたのだろう。

2008年11月20日に撮影されたものだ。

水深は57.08mで、水温7.88℃、溶存酸素濃度4.34mg/L、電気伝導度135.2μm/cm、pH7.06であった。

これは南岸湖底断層系の近くに存在する。

そう言えば、英国の歴史家であるLisa Jardine教授 (1944-)の文章に次のような一節があったことを思い出した。

It is a basic requirement of scientific method that a tentative explanation has to be tested against observation of the natural world.

From the very beginning scientists have been suspicious whenever the data fit the hoped-for results too closely.

もっと予算と機会があれば、琵琶湖の底で起こっているこれらの興味深い現象を解明できるのだが。

そう思って、懸命にファンド申請書のマス目を埋めている今日この頃である。

びわ湖観察クルージングへの参加者募集

2013-08-23 10:42:03 | ButsuButsu


無料の企画です。

特定非営利活動法人びわ湖トラストと平和堂財団は、下記の予定で親子体験学習「びわ湖観察クルージング」を開催します。

ぜひご参加いただきますようご案内申し上げます。



1.日時:   平成25年(2013年) 9月7日(土曜日)

午前9時30分 大津市浜大津港にて受付

午前9時45分 ~ 午後4時30分 びわ湖観察クルージング

2.場所:   びわ湖

3.人数:   親子20組(先着順)、子供は小学生3年生以上で必ず父兄同伴のこと

4.参加費: 無料

5.プログラム (当日の天候によって若干の変更があることもあります)

午前09時45分  出港
水中ロボット開発の話 (川村貞夫 立命館大学教授)

午前11時00分  近江舞子寄港
水中ロボットによる湖底観察・透明度板工作

午後00時30分 出港
昼食

午後01時15分 沖の白石
北湖透明度の測定

午後02時00分 沖島寄港

午後03時00分 出港
びわ湖のふしぎな話 (熊谷道夫 日本陸水学会会長)
               南湖透明度の測定

午後04時15分 浜大津帰港
記念写真

午後04時30分 解散

6.申し込み びわ湖トラストホームページから入力 (http://www.biwako-trust.com/)

当日の持ち物についてもホームページを参照してください。

7.共催 特定非営利活動法人びわ湖トラスト、平和堂財団

8月22日(木)のつぶやき

2013-08-23 04:57:21 | 物語

ブダペストから(5)

2013-08-23 00:02:01 | ButsuButsu


タクシーの運転手が言っていたように、週末のブダペストはうだるような暑さだった。

気温はすでに、40度を超えているだろう。

日本を発てば冷涼な東欧で過ごせるという私の思惑は、見事に裏切られていた。

それでも、ひたすら王宮の丘を登っていた。

流れ出る汗が、手に持ったハンカチをぬらしていた。

目指していたのは国立美術館だった。

特に意味はないのだが、海外へ来たときに仕事の合間を縫って美術館を訪ねることにしていた。

時々、思いもかけない作品と出会うことがある。



チケット売り場で、印象派の特別展があることを聞いた。

見逃す手はない。

Impressionist artworks from three collections together in one grand-scale exhibition. From the end of June, masterpieces from the collections of the Israel Museum in Jerusalem, the Hungarian National Gallery, and the Museum of Fine Arts, Budapest will be on display in the Hungarian National Gallery. Visitors will have an opportunity to view paintings by French Impressionist and Post-Impressionist artists alongside outstanding works by the most important Hungarian painters of the period.

Our exhibition presents an exceptional and unique opportunity to see the paintings of such outstanding artists of French Impressionism and Post-Impressionism, such as Pissarro, Monet, Degas, Renoir, or Cézanne, Gauguin, and Van Gogh alongside works by their Hungarian contemporaries. The best known paintings of Pál Szinyei Merse, Károly Ferenczy, János Vaszary, Adolf Fényes, László Mednyánszky, and József Rippl-Rónai have never before been seen in such a rich international context.



驚いたのはゴッホの作品だった。

ポピーの赤が、こんなに鮮烈だったとは知らなかった。

ひまわりで有名な画家だが、その比ではない何かがあった。

しばらく凍り付いてしまった。

この赤い色は、尋常ではない。



そう言えば、昨夜、黒柳徹子がテレビで語っていた。

彼女の舞台を観に来た渥美清が、「元気いっぱいやればいいんだ」と励ましたという。

もちろん、懸命な努力の上での激励である。

創造は力だと思う。

文章でも、絵画でも、音楽でも、力のない表現は人の心を打たない。

それは生命力と言ってもよい気がする。

いやー、参った。

暑い坂道を登ってきた甲斐が会った。

とにかく、ゴッホはポピーがいい。