青くも、美しくもないドナウ河がとうとうと流れるブダの町には、多くの温泉がある。
どうも、黄色い壁の建物は、温泉らしい。
エルジェーベト橋のたもとにある、ルダシュ温泉もその一つである。
ぜひとも行かねば、と思って早々に訪ねてみた。
ひょっとして、と思ってホテルからタオルを失敬し、水着も持参しての挑戦だった。
入り口で3000フォリントを支払うと、腕時計の形の電子キーを受け取った。
温泉の入り口でキーをかざし、中に入る。
おじさんが何か布を渡してくれた。
ふんどしかな、と思ったが、どうも前掛けのようだ。
これをもって中に入ると、着替え用の個室に導かれる。
着ている物をすべて脱いで、前掛けをする。
風通しがよいが、なんだか頼りない。
シャワーを浴びてから湯船に入る。
38℃ほどのぬるめの湯だが、日本からの長旅の後で気持ちがよい。
18角形の天井には三角や丸の穴が開いていて、赤や緑の色ガラスを通して光が入り、湯面にきらめく。
のんびりと八角形の大きな湯船につかる。
周りには42℃や34℃など4つほどの小さな湯船がある。
ボーっとしていると、隣にゲイらしいカップルが来る。
そう言えば、湯船の真ん中で人待ち顔をしているのがゲイだとガイドブックに書いてあったのを思い出す。
1時間ほど暖まってから、シャワーを浴びて出る。
案内の人にタオルをもらって、体を拭く。
マッサージにも挑戦したかったが、マッチョの男性がごしごしとお客をしごいているのを見て、思わず遠慮した。
ホテルから持ってきたタオルは、そのままお持ち帰りとなった。
日本以外で入った、もっとも本格的なお風呂だった。
これ以外にも4ヶ所くらい温泉があるようだ。
時間が有れば挑戦したいものだ。