Ⅱ.撮影編
※長文にご注意下さい。所要約10分です。
1. 撮影ポイントはここに!
オルチャ渓谷でもっとも気になるのが撮影ポイント情報。
「どこを切り取っても絵になる風景」とはいうものの、やはりベストショットを撮るためにはそれなりの撮影スポットがあるようです。
そうした意味で、事前情報として今回とても役に立ったのは、前回ご紹介した『オルチャ渓谷で絶景ドライブ』と『Hill Towns of Central Italy』の2冊。
これがなければ、絶景を探してぐるぐる走り回らないといけないところでした。
そんな訳で、今回は実際に立ち寄った撮影ポイントを写真付きでご紹介します。
ちなみに、撮影場所の道路の写真はGoogleマップからの借用です。(冬の景色なのでちょっと寒々してます)
さて、どのポイントもこのような道路脇の退避スペースに車を停めて撮影します。
道路を走っていると路肩にこのようなスペースがあるので、ここに車を停めて撮影するのです。
有名な絶景スポットの路肩には何台も車が止まっているのですぐに分かります。
ただ、一般道なのに車がもの凄いスピードで走っていくので、駐車する際や車から降りる時は要注意です。
なお、以下にご紹介するポイントはすべて舗装された道路なので運転も楽。後日あらためて述べますが、未舗装の道路はかなり大変なので、できれば避けるのがベターです。
SP146号線
SP146はオルチャ渓谷のまさにメイン道路。サン・クイリコ・ドルチァからピエンツァ、モンテプルチャーノなどをつなぐ絶景ルートの1つです。
そんなSP146では、サン・クイリコ・ドルチァとピエンツァを結ぶ区間のうち、サンクイリコ寄りが絶景エリア。高台からアミアータ山までを一望でき、素晴らしい景観を堪能できます。
ここで撮影したのが、これらの風景。
中でも定番の風景がヴィタレッタ教会。丘の上に立つ教会で、糸杉と並んだ風景は非常に有名です。
そして、この写真を撮影したのはこの場所。
小さな門の前にちょっと広めの空き地がありますが、ここにたくさんの車が停まって撮影しているのですぐに分かります。
また、この門から小道を通って教会まで歩いていけるので、時間があれば訪れてみたいところ。教会の先もウォーキングコースが続いているので、そのまま丘の上を歩いていけます。
なお、少しピエンツァ寄りに移動して別の路肩で撮影したのがこれ。
ここだと手前の茂みが邪魔ですね。
いろいろ場所を変えてみましたが、ヴィタレッタ教会の撮影には、丘の上のウォーキングコースを歩いて探すのが良さそうです。
なお、SP146は道路脇の路肩もちょこちょこあるので、気に入ったところで車を停めて撮影できるのでかなり助かります。
糸杉と宿の牧歌的な風景がここかしこにあり、シャッターを押す指が止まらなくなる場所です。
ピエンツァ
SP146を走ってピエンツァの町に入ります。
この町の絶景ポイントはもっとも有名なカステッロ通り。
ドーモの裏手にあり、城壁越しにオルチャ渓谷の全景が見える絶景ポイントです。
時間の経過や流れる雲によって時事刻々と雰囲気が変わり、ずっと眺めていても飽きません。
ここからの風景をじっくり見たいなら、ピエンツァの宿に宿泊する価値ありです。
ドーモに隣接するピッコロミーニ宮の2階からもオルチャ渓谷の絶景が望めるそうです。残念ながら今回は開館時間に間に合わず見れませんでした。
一方、ピエンツァのふもとにコルシニャーノ教会があり、その敷地から絶景が見れるらしく、Googleマップにも撮影スポットのマークがあります。
ところが実際に行ってみると鬱蒼とした林に囲まれており、ほとんど風景は見えずじまい。
おかしいなと思いつつ、教会の周囲をウロウロしたのですが結局断念しました。
ちなみに、このコルシニャーノ教会へ行くには、SP146からわき道に入るのですが、とても細くて急な坂道を下ります。対向車が来たらアウトですのでご注意ください。
SP18号線
ピエンツァを出たらSP18を南下します。
高台から渓谷を見下ろすSP146とは対照的に、このSP18は渓谷の谷あいを走ります。
そのため、道路の両側に広がる緑の丘陵地を見上げる形になるのですがこれがまた感動的。
丘と丘の合間からは、オルチャ渓谷が望めます。
車を停められる路肩の数が少なめなのはちょっと残念でしたが、SP146と比べて観光客も少ないので、気兼ねなく車を停められます。
そんななか、今回撮影した場所のひとつがここ。
ここは三叉路になっている広めの空き地。ちょっとひらけた場所なので、オルチャ渓谷が見渡せます。
また、後ろを振り返るとちょうどピエンツァの町が見えるのですが、なんと手前にはゴミ箱が整列。
どうやらここはゴミの収集ステーションだったようです。
もう少し南下したあたりの路肩から撮影したのがこの風景。
で、これを撮影したのはこの路肩。
ちょうどアミアータ山まで見渡せる場所で、オルチャ渓谷独特のうねるような緑がよく見えます。
道路の反対側は小高い丘になっており、丘の上には木立と納屋の風景が印象的でした。
SP88号線
ちなみに、このSP18の途中から分岐するSP88という道路があります。
これは、モンテキエッロという小さな町に通じる坂道です。
急な坂道を登るのですが、その坂道からもオルチャ渓谷が見渡せます。
これが意外と絶景なのですが、坂道ということもあってちょうど良い路肩が見つからず、残念ながら撮影できませんでした。
そんなSP88ですが、日本に帰国してから重大なことが分かりました。
このSP88でモンテキエッロに到着する少し手前の脇道から、なんと糸杉のクネクネ道が見えるのだそうです!
拡大するとこの通り。
そう、ラフオッチェ庭園から見たあの風景と同じような景色がここにもあったのです。つまり、オルチャ渓谷に糸杉のクネクネ道は2つあるのです!
Googleマップには「Photo Spot Toscana」とのマークがあります。
いやー、そうと知っていればなんとか車を停めたのにと、残念無念です。事前の調査不足を反省しました。
SP40号線とラ・フオッチェ庭園
さて、再びSP18を南下するとSP53にぶつかるので、そこを東に曲がるとSP40に入ります。
SP40は山越えルートのため、オルチャ渓谷はあまりよく見えません。
そんな中で唯一の絶景がこれ。
ブログでご紹介したSP40からのクネクネ道です。
これは道路沿いにあるDopolavoro La Foceというレストランの駐車場からの風景。
ただ、すでにブログでご紹介した通り、この駐車場よりもラ・フオッチェ庭園からのこちらの風景がベスト。
ちょうど良いアングルで撮影できるので、レストランの駐車場よりもラ・フオッチェ庭園にお立ち寄りください。
それにしても、クネクネ道が2つあるとはまったく想定外。返す返すも事前の調査不足を反省しました。
SP53号線
さて、来た道を再び戻り、こんどはSP53に入ります。
これはオルチャ川に並走する道路で、SP18と同様、丘陵地を見上げながら走る絶景コース。
この道路は路肩以外にも農道やウォーキングコースなどがあるため、駐車しやすいルートです。
その中でもここはかなりの絶景。
そして、これを撮影したのはこの路肩。
前回ご紹介したウォーキングコースの入口で、ピエンツァまで続く砂利道です。
小高い丘に糸杉がポツンと立っており、風になびく緑の草がとても印象的な場所です。
一方、道路の反対側はオルチャ川が流れています。川そのものは見えませんが、川沿いに並んでいる木立とロッカ・ドルチャの要塞が見えます。
ここも観光客がまったくいないため車を停めやすく、撮影しやすいポイントでした。
SR2号線
SP53を西に向かって進むと、SR2に突き当たります。
これはもともとローマからフィレンツェを結ぶ中部イタリアの幹線道路。カッシア街道と呼ばれ、オルチャ渓谷の西端を走るルートです。
このSR2を少しだけ南下すると見えるのがこの風景。
アグリツーリズモに糸杉という典型的なオルチャ渓谷の風景です。
そして、この風景を撮影するにはこの路肩がベスト。
ただ、スペースが狭いうえ、SR2から分岐するSP323との交差点が近いので車の通行にご注意下さい。
ちょっとだけSR2を南下してこの宿に近づくと、周辺の路肩はこんな感じ。
入口付近に広めのスペースがあるため、たくさんの車が停まって撮影の観光客がたむろしていました。
糸杉の木立はとても大きく、見た目もインパクトあり。一見の価値ありです。
さて、このSR2を北上すると、サン・クイリコ・ドルチァを過ぎたあたりから素晴らしい渓谷の緑が広がります。
道路幅も広くなって爽快なドライブになります。そして丘陵の谷間を抜けると、今回の旅行で最大の絶景ポイントである糸杉のサークルが見えてきます。
実は、糸杉のサークルそのものが素晴らしいというよりも、周囲に広がる緑と黄色の丘陵地が絶景なのです。オルチャ渓谷でベストスリーに入る絶景ポイントです。
ただ、困るのは路肩での駐車。退避スペースがそれほど広くありません。
そのため停車する車でいっぱいになるのです。
しかも、SR2はまるで高速道路のようで、車がもの凄いスピードで走っていきます。少しでも路肩からはみ出すのは非常に危険。
今回は路肩が満車状態だったため、スペースに空きができるまで何度もSR2を行ったり来たりして、ようやく駐車できました。
当日の様子がこの写真。
しかし、それだけしても見る価値のあるポイントですので、ぜひ立ち寄られることをオススメします。
2. 撮影ポイントの混雑ぐあいはまずまず
オルチャ渓谷の撮影ポイントをご紹介してきました。各ポイントの路肩や空き地は決して広くないのですが、実際は次の理由からそれほど混雑していません。
1)そもそも観光客がそれほど多くありません。多い時でもひとつのスポットで10人程度。
2)その観光客も、撮影が終わればすぐに立ち去ってしまう。
というわけです。
今回立ち寄った撮影ポイントの中でもっとも苦労したのが、前述のSR2沿いにある糸杉サークルの路肩。
最大の理由は、ここがけっこう広い丘の上にあるため、観光客の滞在時間が長くなるためです。
他の撮影ポイントのように、パシャと撮影してサッと立ち去るということにはならないのが最大のネック。
そのため、いったん車を降りたら20〜30分はかかると思います。
結局、路肩に駐車できるまで、SR2を行ったり来たりの繰り返し。ここを除けば、車の駐車で苦労するポイントはありませんでした。
ちなみに、観光客が多かった撮影ポイントは次の3ヶ所でした。
1)SR2沿いの糸杉のサークル
2)SR2沿いのアグリツーリズモ
3)SP146沿いのヴイタレッタ教会
3. 日の出、日の入の時間は?
オルチャ渓谷は朝日や夕日の風景も大変美しく、見逃せないとのこと。
GWの時期は、だいたい日の出が朝の6時半、日の入が夜の8時頃です。
ところが、朝の6時半はまだ寝てる時間ですし、夕方(夜?)の8時はちょうど夕食時に当たることから、今回は撮影タイミングを逃しました。
うまく時間を合わせて撮影しないといけません。
なお、ヨーロッパは日本よりも日没が遅く、夕方の6時を過ぎる頃からようやく日が傾いていく感じ。そのため、かなり遅くまで撮影できることになるので、ついつい撮影に没頭してしまいます。
4. 雨が降ると地面は粘土地獄に?
オルチャ渓谷で雨が降るとかなり大変だそうです。
今回の訪問で雨に降られたのは2日目の午後だけ。ちょうどその時間帯はラ・フオッチェ庭園にいたため、渓谷の中の状態は分かりませんでした。
しかし、多くの情報を見ると、雨が降ると地面がぬかるんで足元がかなり悪くなるそうです。
オルチャ渓谷はもともと粘土質の土壌を開墾して整備した土地。地面は普通の土ではなくて、粘土のかたまりです。
そのため、雨が降ってぬかるんでしまうと、あたり一面が粘土地獄となって足を取られてしまうのです。
ネット上の旅行記などでは、粘土がこびりついた靴や車のタイヤの無惨な写真などがあり、震撼させられます。もはやこれでは撮影どころではありません。
そのため今回の訪問では、雨に備えて長靴を持参したのですが、結果的には利用することもなくラッキーでした。
長靴でなくとも、100均で売っている雨用の靴カバーなども役立つと思います。ビニール手袋なども持参すると、靴やタイヤの粘土を落とすのに役立つかも。オルチャ渓谷へ行かれる際はぜひ携行されてはと思います。
一方、粘土質の土壌のため、晴れて乾燥すると白い石灰のような地面になります。そのため、未舗装の地面を歩くと靴や車も石灰のような砂で真っ白になるので、念のためご注意下さい。
さて、次回は「レンタカー編」。オルチャ渓谷での重要な移動手段についてご紹介します。
つづく