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◆温暖化ガス排出量のランキングと実態

2008年05月04日 | 企業/産業界の取り組み
今年4月1日からの京都議定書に基づく温暖化ガス削減の実行期間
(2008~2012年度)を前に,温暖化対策推進法の温暖化ガス排出量
公表制度によって,企業ごとの排出量が発表されましたね。

2006年度の温暖化ガス排出量の上位10社を挙げると,
(社名の後の数字は,排出量:CO2換算,万トン)

1.JFEスチール   6029
2.新日本製鉄   5933
3.住友金属工業  2214
4.神戸製鋼所   1742
5.太平洋セメント 1455
6.新日本石油精製 1053
7.住友大阪セメント 928
8.三菱マテリアル  893
9.宇部興産     877
10.日新製鋼    833

上位10社を見てみると,鉄鋼・セメント業界が
ほとんどを占めていますね。

実際,業界別で見ると鉄鋼・セメント・化学の3業界で
総排出量の約6割を占めるそうです。


今回の公表によって期待されるのは,
環境に配慮した経営をしている「エコ企業」を投資家や
消費者が判断する指標になるということ。

また,順位付けされることで,少なくとも同業他社を
意識した削減努力が強まるであろうこと,などです。

それに,CO2の排出に関して業界の特徴があることが
わかるということ。たとえば,上位の素材産業は,
工場用の燃料などを大量に消費するという構造をもち,
それがために排出量が多いんですね。


ただし,こうしたランキングを鵜呑みにせず,もう一歩
踏み込んで,その評価の特徴についても知っておきたい
ところです。

なぜなら,評価法によってもランキングって簡単に
替わってしまうものだから。


実は,というか当然のごとく,数値の算出法には異論も
あるんですね。

その1つが,法人単体(法人単位)での比較であること。
言い換えると,グループ企業の場合,グループ全体ではなく,
各法人(親会社・子会社)ごとに個別に順位付けされるんです。

たとえば,総合電機メーカーなどは,半導体部門や液晶部門など
多様な事業を展開しているので,当然排出量が多いはずなんですが,
工場を別会社にしているため,意外と低い順位に落ち着いています。

企業会計では,連結ベースで語られることが多いのに,
悪いイメージを伴う温暖化ガス排出量は,分散して評価されている
っていうのは,どうも違和感がありますね。

子会社も含めたグループ全体で省エネに取り組むように促すという
意味で,温暖化ガス排出量も連結ベースでの数値も出して欲しいですね。


評価法に対するその他の異論としては,
「間接排出方式」と「直接排出方式」のどちらを用いるかで
電力会社の排出量の評価が大きく異なるということ。


そのほか,CO2排出量の多い石炭火力発電を主体とした発電形態をとる
中国電力から電源供給を受けている会社は,計算の係数が大きくなり
どうしても排出量が多く計算されてしまうということ。


こうした反対の一方で,企業は一般的にCO2排出量しか公表しないが,
より温暖化効果の高いメタンガスを含めた評価をしているという点で
より実態を反映しているという声もあるようです。


長くなってしまいました。
今回も読んでくださってありがとうございました。

環境技術革新の最前線―CO2はこうして削減し、京都議定書をクリアする
山本 良一,小田 克郎
日科技連出版社

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コメント (2)
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